人事DXの推進状況に関する実態調査を実施
大企業人事部門の約半数が「人事評価・タレントマネジメントシステム」利用中で導入率が上昇、3割以上が「生成AI」を利用し、検討企業は前回調査より約15%増加
~パーソルワークスイッチコンサルティング、大企業の人事部門における第2回ベンチマーク調査結果を公表~
「はたらいて、笑おう。」をビジョンに掲げるパーソルグループのパーソルワークスイッチコンサルティング株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小野 隆正、以下「パーソルWSC」)は、客観的事実に基づいたデータ比較・分析の実現を目指して、単体で従業員数1,000人以上の企業を対象に、「大企業の人事部門におけるベンチマーク調査 第2回」(正式名称:第2回 人事DXの推進状況に関する実態調査)を実施しました。
第2回では、「企業や人事部門の体制」「人事部門の予算規模」「人事部門のアウトソーシングなどの導入」「人事部門のIT・デジタル活用」「人事部門の従業員向けの取り組み」について調査しました。
この調査によって、下記が明らかになりました。
▶ 人事部門の人員不足やIT投資に対する予算不足が認識されている。
▶ 人事業務をアウトソーシングする割合は全体的に増加傾向にあり、特に「育成・研修」のアウトソーシング実施率が上昇している。
▶人事部門のIT・デジタル活用では、 「人事評価・タレントマネジメントシステム」 「生成AI」の導入率が上昇している。
▶ Well-being向上に向けて取り組んでいる企業は約5割であり、大手企業から導入が進んでいる。
■エグゼクティブサマリ
企業や人事部門の体制:企業の半数が人事部門の人員が不足していると回答
- 大企業において、全従業員数に対する人事部門の人員比率の平均は0.98%、中央値は0.78%。
- 海外人事以外の機能において、半数以上の企業で人員が不足していると回答されている。
人事部門の予算規模:拡大するIT投資に対して不足する予算
- 全社売上高と人事部門の予算比率の平均は0.31%、中央値は0.14%。
- 人事部門の費用に対する評価として、3割以上の企業がITシステム費の不足を感じている。
- 昨年度と比較し、4割以上の企業が人事部門の予算総額を増やしている。また、約4割の企業がITシステム費を増やしている。
人事部門のアウトソーシングなどの導入:企業がアウトソーシングを実施する割合は増加傾向にある
- 「採用」「入退社手続き」「人事戦略・制度設計・配置」を除き、企業が人事業務をアウトソーシングする割合は増加している。
- 特に「育成・研修」のアウトソーシング割合は前回調査と比較して約2割増加しており、売上上位50%の企業の半数がアウトソーシングを実施。
- 各人事機能におけるコンサルティング企業の利用割合は1〜2割程度で、売上上位25%企業の約半数は人事企画コンサルティングの利用経験がある。
人事部門のIT・デジタル活用:二極化する人事部門のIT・デジタル活用と業務効率化
- 人事評価・タレントマネジメントシステムの導入割合は前回調査と比較して約2割増加。
- 導入を検討している企業も約2割あり、さらなる導入が進むと期待される。
- 生成AIを導入・検討中の企業は5割超、DXに取り組んでいる企業も5割超と、人事領域のデジタル活用状況は二極化している。
人事部門の従業員向けの取り組み:約5割の企業がWell-being向上の取り組みを推進
- 「人事手続き支援」「育成・研修」「評価」は7割以上の企業が取り組んでいる一方、「採用者・異動者のオンボーディング」に取り組んでいる企業は約4割と、他の支援と比較して進んでいない。
- Well-being向上に向けて取り組んでいる企業は約5割であり、大企業から導入が進んでいる状況が読み取れる。
■主な調査結果
1.企業や人事部門の体制(人事部門の機能別の人員数)
・回答企業のうち、半数以上が海外人事以外の機能で人員が不足していると感じている。
・特に採用や人事企画では「足りていない」という回答が2割を超えており、他の項目と比べて不足を感じる割合が高い。
2.人事部門の予算規模(人事部門の費用)
・3割超の企業が、人事部門の費用総額(特に、人件費、ITシステム費)が不足していると回答している。
・前回調査と比較すると、「足りていない」と回答した企業が全体的に増加し、「人件費」は1割強、「ITシステム費」は1割弱増加した。
3.人事部門のアウトソーシングなどの導入(人事機能のアウトソーシング状況)
・「育成・研修」「社会保険」「給与計算」を除き、7割超が人事業務を内製化している。「育成・研修」「社会保険」「給与計算」はアウトソーシングを検討・実施している割合が比較的高く、「社会保険」「給与計算」は約1割の企業が完全にアウトソーシングしている。
・前回調査と比較すると、人事業務をアウトソーシングする割合は「採用」が減少、「入退社手続き」「人事戦略策定・制度設計・配置」が横ばいで、他は増加傾向にある。特に「育成・研修」では約2割増加した。
4. 人事部門のIT・デジタル活用(人事部門の利用システム/生成AIの導入状況/DXやBPRへの取り組み)
・人事部門で利用しているITシステムは、勤怠管理、給与計算が8割を超えている。
・人事部門で利用を検討しているITシステムでは、人事評価・タレントマネジメントが2割弱と他のシステムと比較して高い。
・前回調査と比較すると、人事評価・タレントマネジメントシステムの利用率は約2割高く、導入率が上がっている傾向にある。
・すでに3割以上の人事部門が生成AIを導入しており、約2割が検討中という回答だった。
・前回調査と比較すると、導入済み企業は約15%増加した。
・DXに取り組んでいる人事部門は5割を超える。
・組織や業務の変更、システム導入、アウトソーシングなどを進める際にBPRを 行う企業は約3割だった。
5. 人事部門の従業員向けの取り組み(全社のWell-being向上に向けた取り組み)
・上場別でみると、上場企業は未上場企業よりもWell-being向上に向けた取り組みが約3割高い。
■サービス責任者コメント
パーソルワークスイッチコンサルティング株式会社
人事コンサルティング事業部
人事DXコンサルティング1部 部長
粥川 泰地
近年、国内外の企業経営においてDX化が急速に進む中、データの整備や活用、ファクトに基づく分析の重要性がさらに増しています。ビジョンの策定や明確化と同様に、経営戦略に必要な取り組みとして、自社だけではなく他社のデータと比較・分析することも、企業の成長に繋げるための重要な手段として捉えられています。
弊社は、専門性の高いコンサルティングカンパニーとして、さらなる付加価値を提供するため、企業におけるベンチマーク調査の取り組みを2023年度より開始しました。このたび、取り組みの第2弾として、大企業(単体で従業員数1,000人以上の企業)の人事部門を対象にベンチマーク調査を実施しましたので、その結果をお届けいたします。
企業経営者や担当者が直面する「自社の間接部門の人数や人件費の比率は適切か」といった組織体制の適正化に関する懸念や、過去の経験や感覚に基づく意思決定による課題を、ベンチマークを活用したコンサルティングサービスの提供を通じて解決に導きます。そして、「ビジョン×ファクト」に基づく最適な組織運営の実現を目指してまいります。
<調査概要>
【大企業の人事部門におけるベンチマーク調査 第2回】
(正式名称:第2回 人事DXの推進状況に関する実態調査)
■調査期間:2024年11月~2024年12月
■調査手法:以下、2種の調査方法で実施し、回答を合算
・郵送による調査依頼 郵送・WEB回収
・メルマガ会員へメール依頼 WEB回収
■調査対象:
・対象企業:従業員数1,000人以上の企業
・対象者:人事部門に所属し、同部門内での人員数、人員構成、費用構成について回答可能な人物
■分析対象:有効回答数195件 ※一部回答含む。1設問で分析対象となる最大のサンプル数。
※表やグラフの数字は小数点以下第1位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は100%にならない場合がございます。
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(パーソルワークスイッチコンサルティング株式会社 /2025年9月29日発表・同社プレスリリースより転載)
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