エイジレス社会
エイジレス社会とは?
「エイジレス社会」とは、年齢で区別することなく、全ての年代の人々が意欲や能力に応じて活躍できる社会のこと。内閣府は、2018年に取りまとめた「高齢社会対策大綱」の中で、エイジレス社会を目指すことを宣言しました。高齢者の健康寿命が伸びていることもあり、これまで「支えられる側」であった高齢者が元気なうちは「支える側」に回ることができると、社会の意識を変える狙いがありました。しかし、企業の受け皿が十分ではないのが現状であり、エイジレス社会を実現するためには企業の努力が不可欠となっています。
「働けるうちはいつまでも」
年々増加する、働きたい高齢者
少子高齢化の流れに歯止めはかからず、政府も少子化を「国難」と位置づけています。生産年齢人口は1995年の約8700万人をピークに、20年間で約1000万人減少しました。一方、「令和3年版高齢社会白書」によれば、65歳以上人口は3600万人を超え、総人口に占める高齢者の割合は28.8%となりました(いずれも推計)。2065年には、約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上になるという試算も出ています。
「高齢者」と一口に言っても、その定義はさまざまです。文脈や制度によって対象範囲が異なり、一般的な「65歳は高齢者」という一律な定義は、現状にあったものではなくなってきています。人生の中で日常生活に制限のない期間を指す「健康寿命」が延びて、「元気なお年寄り」が増えているからです。
高齢社会白書によれば、全国の60歳以上の男女を対象にした調査で、収入を伴う仕事を65歳くらいまでしたいと回答した割合は25.6%にとどまっています。収入のある仕事をしている人では、約9割が70歳くらいまで、もしくはそれ以上と回答しています。
年齢階級別の就業率にみると、男性は55~59歳で91.3%、60~64歳で82.6%、65~69歳で60.0%と、60代後半でも過半数が働いています。女性の場合は55~59歳で72.8%、60~64歳で59.7%、65~69歳で39.9%が働いています。60代以上の就業率は年々上がっているものの、就業希望者との間にはまだ開きがあります。
このように働きたいと考える高齢者が多くいる一方で、企業の受け皿は万全とはいえません。制度上は65歳以上まで働けることになっていても、一定の年齢を超えると仕事内容や待遇が変わってしまい、以前と同じようなモチベーションでは働けなくなることもあるからです。さまざまな雇用・勤務形態を用意したり、賃金の規定を見直したりするなど、企業には、今後ますます増えると思われる「働きたい高齢者」の受け皿となる取り組みが求められています。
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