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HR業界TOPインタビュー「人・組織」ビジネスを牽引する希代の経営者

株式会社セルム 代表取締役社長

加島 禎二さん

経営者は「会社の所有者」ではない
良い人材を集め、会社のポテンシャルを最大化することが使命

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株式会社セルム 代表取締役社長 加島 禎二さん

多くの企業が抱える「次世代の経営人材をどうつくるか」という課題。企業ごとに事業内容や歴史、組織風土が異なるため、画一的なソリューションで対応することが難しいテーマです。こうした課題の解決を得意とし、大企業を中心に毎年多くの「次世代経営人材開発プログラム」を提供している株式会社セルム。同社を率いるのは、2010年から代表取締役社長を務める加島禎二さんです。前職のリクルート映像では「企画の加島」と言われるトップ営業として名をはせ、セルム入社後も企画・営業の「職人」として第一線で売り上げをけん引していました。そんな加島さんが経営を意識するようになったきっかけ、現在の同社を支える哲学、将来への展望、さらには人事関連業界の現状分析やそこで働く人たちへのメッセージなど、「人材開発のプロ」が胸に秘めた会社や仕事への熱い思いを詳しくお聞きしました。

プロフィール

加島 禎二(かしま・ていじ)●1967年、神奈川県生まれ。上智大学文学部心理学科卒業後、1990年、株式会社リクルート映像に入社。営業、コンサルティング、研修講師を経験。1998年に創業3年目の株式会社セルムに参加し、2002年取締役企画本部長に就任。現在は約1000人におよぶコンサルタントネットワークの礎を作る。2008年から常務取締役関西支社長、2010年に代表取締役社長に就任し現在に至る。

「企画の加島」と言われたリクルート映像時代

―― リクルート映像の営業としてキャリアをスタートさせたそうですね。どのような新人時代だったのでしょうか。

大学時代の専攻は認知心理学で、言語と心理の関係を研究する、科学に近い分野でした。しかし、学んだことを直接生かすよりも、出版社を経営していた父の影響で、編集者になりたいと思っていました。そのため、出版社をはじめとしたマスコミを中心に受けたのですが、マスコミは非常に狭き門。頑張って就職活動をしましたが、まったく採用されません。どうしようかなと思っていた時に、たまたま目にしたのがリクルート映像の求人でした。会社を訪問してみると映像プロデューサーとしての採用もある、と言われました。大学では劇団サークルに所属していましたので、現場の雰囲気が似ている映像制作の仕事も面白そうだと思って、入社を決めました。

ところが、入社すると営業に配属。まるで話が違うのですが、実はマスコミを受験していた時にも、いくつかの会社から「編集者は無理だけど営業なら」と言われたことがありました。「ひょっとしたら自分は営業に向いているのかもしれない」と思って、まずはやってみることにしました。当時のリクルート映像は、採用向け会社案内ビデオの制作、教育研修ビデオの販売や会員制でのレンタルが主力。入社2週目くらいから、研修も兼ねて飛び込み営業とテレアポの毎日。でも、1年目、2年目はさっぱり売れませんでした。

転機となったのは入社3年目。上司が、それまでの体育会系の人からいわば頭脳派の人に変わりました。それをきっかけに「自分が提供している価値とは何だろう」ということを考えるようになったのです。営業は商品やサービスを売るのが仕事ですが、本当に大事なのは、商品やサービスを売った後に活用してもらうこと。しかし、十分に活用できていない顧客が多かったのです。「ならば自分は活用方法を売ろう!」と考えました。そこで、いろいろな活用事例を調べて提案するようにしたところ、とたんに成績が上がって、自分の「勝ちパターン」が出来上がりました。

―― 具体的には、どのような営業スタイルに変わったのでしょうか。

売りたい商品があると、どうしても「その商品を買ってくれそうか」ということでしか顧客を見なくなりますよね。でも、その視点をいったんはずして顧客に向き合うと、顧客が抱えている課題がよく見えてくるのです。その課題を解決することこそがビジネス。そうして「一緒に何かつくりませんか」という営業スタイルに変わっていきました。もちろん既存の商品も売りましたが、自分で企画したものをどんどん売っていきました。研修ビデオではなく研修そのものを売ったり、大手企業が全国の営業所に置くワークシートを制作したり、営業パーソンがいい笑顔をつくれるようになるトレーニングビデオを開発したりしていました。

そのうち「企画の加島」と言ってもらえるようになりました。自分でも既存商品を売るだけでは満足できなくて、自ら企画しないとストレスになるくらい。考えてみると、セルムで今の仕事を始める素地は、このころにもう出来上がっていたような気がしますね。

―― 30歳でセルムに転職されます。そこにはどのような思いやきっかけがあったのでしょうか。

リクルート映像では、やがては部下を持って管理職へという流れが見えていました。しかし、ご存じのようにリクルートグループは、独立して起業する先輩が非常に多い会社です。私も刺激を受けて、独立・起業を真剣に考えるようになりました。ちょうどそのころに知り合ったのがリクルートOBでもあり、セルムを創業したばかりの磯野卓也だったのです。

最初は「自分で会社を立ち上げたい」という思いが強かったので、「セルムで一緒にやらないか」と誘われたものの、返事をずっと先のばしにしていました。ところが、事務所を見にいくと創業者も含めてたった三人のまさにベンチャー企業。「ここなら、自分で起業するのと同じ感覚で仕事ができるかもしれない」と思って転職を決意しました。特定の商品やサービスを売るのではなく、顧客に合わせてソリューションを創っていくコンサルタント会社なので、自分のやりたい仕事ができそうだという予感もありました。

しかし、いざ仕事を始めると、リクルート映像時代とはまったく勝手が違いました。初受注は宇都宮の結婚式場での営業研修。私が講師を務めました。謝礼5万円とギョーザをもらって帰ったのを覚えています。その次は、石油の販売代理店オーナーの息子さんの家庭教師でした。リクルート映像であれだけ深くつきあっていたはずの大手企業からは、まったく受注できないのです。いかに自分がリクルートの看板で仕事をしていたのかと、がく然としました。でも、食べていくためにはどんな仕事でも取らないといけないので、とにかく必死でしたね。


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