他社にない事業を手がけ、
困っている顧客に寄り添い続けて40年
絶大な信用を誇る朝日新聞との提携で次のステージへ
株式会社学情
中井清和さん
“共歓共苦”の精神でピンチのときこそお客様に寄り添う
他社との違いという意味では、中堅・中小・ベンチャー企業の採用支援に強いことも、学情ならではの際立った特徴といえます。なぜそこに着目されたのですか。
中堅・中小企業が採用で一番困っているからです。一番困っているお客様に寄り添っていきたいというのが、このビジネスを始めたときからの思いでした。もちろん中堅・中小だけのお付き合いに限ってしまうと、学生のナビの利用や会員登録を広げる上では不利になりますから、基本的には、学生の人気企業ランキングのベスト100に入るような企業までは広くお付き合いするようにしています。しかし、メインはやはり中堅・中小。先ほど申し上げた「就職博」は、まさにそういう発想から生まれました。大企業や有名企業なら、放っておいても学生が向こうから集まってきますが、中堅・中小ではなかなか集まってくれない。だから逆に学生を集め、直接会えるようにして採用に結びつけていくわけです。
昨今の売り手市場で、中堅・中小の採用事情は厳しさを増しています。
人間も会社もそうですが、いいときはみんなそばに集まり、ともに喜び合います。しかし悪いとき、ピンチのときは寄ってきません。逆に離れてしまいます。だから私は悪いとき、ピンチのときこそ、困っているお客様のそばにいたい。それが弊社の経営理念――「お客様との共歓共苦」ということなのです。採用関連業界でも、同業者の多くは、調子がいいお客様にはべったりとくっついていくけれど、ピンチになると誰も寄り付かない。潮が引くごとくというか、手の平を返すような現場を、数多く見てきました。
でも本当は、困っているときこそ支援すべきであり、まさに今がそのときなのです。だから、弊社の社員は忙しい。採用担当の方とは通り一遍のお付き合いではなく、たとえば大学にも同行して、その企業を一緒にアピールしたり、人手が足りなければ、学生の家に電話をかけるお手伝いをしたり、媒体社でそこまで対応するところはなかなかありません。もちろん無料です。お客様とは、お金もうけの相手としてではなく、一人の人間として付き合いなさいと、普段から指導していますから。
13年からは、朝日新聞社・朝日学生新聞社と資本業務提携を締結。従来の新卒採用サイトを大幅リニューアルした「あさがくナビ(朝日学情ナビ)」など、双方のシナジー効果が現れる強力な人材ソリューションを次々と発表されています。
30年以上前、弊社が就職情報事業に進出した直後に、大阪の朝日放送から後援を受けており、その縁でグループ会社の朝日新聞社とももともと交流はありました。それがなぜ資本業務提携に至ったかというと、一つは、企業としての持続可能性を考えたとき、大手マスコミと手を組む必要があると判断したためです。私自身の行く末を考えても、いずれは経営を退かなければなりません。その後も組織と事業を継続し、発展させていくためのパートナーとしては、大手マスコミということで、やはり朝日以外ない、と思いました。また弊社は、関西に強いけれど、関東では大手に水をあけられています。その差は何かというと、やはり社会的な信用力や知名度なんです。全国ブランドの朝日にそこを補ってほしいという狙いもありました。現に、関東エリアでの売上は倍増、倍増で来ています。これは朝日のブランド力だけでなく、人材面によるところも大きい。現在は「あさがくナビ」のコンテンツ制作を、朝日のスタッフが担当しているのですが、やはり編集力が抜群です。他にも社員教育や研修、適性検査など、さまざまなサービスの展開に朝日の人材が関わってくれるようになり、弊社の社員も大いに刺激を受けています。朝日に資本を持っていただくことで、学情という企業を、次のステージへと引き上げることができる。私はそう確信しているのです。
なるほど。資本業務提携に込められた社長の思いに、改めて仕事や会社に対する、強く深い愛着を感じました。
採用関連の仕事は、けっしてお金もうけだけではできません。企業の命運を握り、学生の人生を担う。そのくらいの覚悟がなければ、やってはいけない仕事だと、私は思っているんです。その責任の重さが、仕事のやりがいでもあり、醍醐味でもある。たとえばお客様にご挨拶にうかがうと、トップや役員の方がその会社の幹部社員や期待の若手を「学情さんで採用した社員ですよ」と紹介してくださることがあります。これに勝る喜びはありません。われわれが支援した人材が、お客様の会社で活躍しているのを見ると、本当に嬉しいです。
日本を代表するHRソリューション業界の経営者に、企業理念、現在の取り組みや業界で働く後輩へのメッセージについてインタビューしました。