職場のモヤモヤ解決図鑑【第85回】
来月からキャリア面談!? 上司が、まず確認すべきことは?
自分のことだけ集中したくても、そうはいかないのが社会人。昔思い描いていた理想の社会人像より、ずいぶんあくせくしてない? 働き方や人間関係に悩む皆さまに、問題解決のヒントをお送りします!
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山下 健悟(やました けんご)
関東圏のメーカー課長職45歳。20人ほど部下がいる。部下がもっと働きやすく、活躍できるチームを目指し、試行錯誤の日々。
キャリア面談説明会のお知らせを受け取った山下さん。タイプの異なる部下を思い浮かべ、キャリア面談で何をすればいいのかと頭を抱えています。キャリア面談は、部下の希望をヒアリングするとともに、企業として可能なサポートを示す場です。今回は、キャリア面談で上司が押さえるべきポイントについて紹介します。
キャリア面談とは? 意味と目的
キャリア面談とは、従業員が中長期的なキャリアの展望について企業に伝えるための場。企業は、従業員が希望する配属や業務、受けたい研修内容などをヒアリングするとともに、企業としてのキャリアプランを提案します。
キャリア面談の導入が進む背景には、働き方の多様化があります。終身雇用制度が崩壊した現代では、「正解のロールモデル」は存在しません。企業には、従業員一人ひとりが持つキャリアのあり方を理解し、それをサポートすることが求められます。キャリア面談は、従業員がキャリアに関する課題や悩み、希望を相談する良い機会となります。
キャリア面談のメリットとは?
キャリア面談は、企業・従業員双方にとってメリットがあります。
従業員メリット |
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企業メリット |
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キャリア面談では、部下が主体です。しかし、冒頭の大林さんのようにキャリアの希望をうまく言葉にできない人もいます。そういう場合は、業務内容や経歴に共通点のあるロールモデルをもとに、キャリアの選択肢を示すことで、キャリア形成をサポートできます。
一方、朝井さんのような意欲あふれるタイプは、現実的なキャリア選択肢に基づいて話をすることがポイントです。なんでもかんでも「叶う」と企業が伝えてしまっては、キャリアに関する要望が叶わなかったときに、不満につながる可能性があります。部下それぞれの要望に向き合い、成長をサポートすることが重要です。
面談をスムーズに行うための準備
キャリア面談では、上司が社内制度やキャリア支援施策について話します。しかし、具体的にどのような制度があるのか、把握していないケースも多いのではないでしょうか。キャリア面談の前に、以下のポイントを確認することで、面談をスムーズに進行できます。
社内の制度を確認
社内制度やキャリア支援内容について確認します。従業員のキャリアを支援する取り組みは、企業によってさまざまですが、プロジェクトやポジションの公募制度、キャリア開発支援窓口、資格取得奨励金、非正規から正社員への転換制度などがあります。
社内のツールを確認
キャリア面談の前に、部下の経歴や仕事内容、キャリアへの意向について情報を集めます。近年では、タレントマネジメントシステムなどを用いて、従業員の情報を一元管理している企業も少なくありません。面談シートなどのツールを事前準備で活用し、部下への理解を深めます。
ロールモデルの確認
面談対象者のロールモデルになりそうなキャリアを確認します。
年次 | 新卒入社3年目、女性 |
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職種 | 営業 |
現状 | 営業として成績が上がってきた。顧客の反応も良い。営業の仕事に面白さを感じているが、企画の仕事にも興味を示しているという話を耳にした。 |
企業側の要望 | 現状、営業職の女性リーダーが少ないため、将来的にはリーダー的ポジションに育てたい。 |
ロールモデル | 15年目の女性社員。新卒で入社し、これまで営業部と企画部の2部門に所属してきた。育休、時短勤務をへて、現在はフルタイム勤務。営業部の係長として活躍している。営業と企画の役割の違い、それぞれの面白さを知っていること、また、結婚や育児を踏まえたキャリアの重ね方が参考になる。 |
年次 | 中途入社10年目、男性 |
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職種 | 開発 |
現状 | フロントエンドエンジニアを担当。システム開発歴は長い。システム開発のスペシャリストを目指していたが、他の経験も積むべきか悩んでいる。 |
企業側の要望 | プロジェクトマネジャー、マネジャーのポジションの人員が手薄なため、興味があれば早いうちから担ってほしい。 |
ロールモデル | 15年目のプロジェクトマネジャー。7年前に中途で入社した。入社後はプロジェクトリーダー、プロジェクトマネジャーを務める。前職ではマネジャーを務めていたこともあり、それぞれの業務の特徴や求められるスキルに詳しい。どのような視点でプロジェクトマネジャーに興味を持ったのかなども含めて、参考になる。 |
【まとめ】
- キャリア面談は、従業員がキャリアプランについて、企業側に意向を伝える場
- 上司は、面談前に社内制度やロールモデルなどの情報を集めておく必要がある
- 上司には、活用できる制度を伝えることなどにより、部下のキャリア形成を支援することが求められる
自分のことだけ集中したくても、そうはいかないのが社会人。働き方や人間関係に悩む皆さまに、問題解決のヒントをお送りします!