人事マネジメント「解体新書」第79回
「社内SNS」でコミュニケーションを活性化させる(前編)
~SNSがもたらす効果・効用と具体例
近年、社内コミュニケーションを活性化するために「SNS」(Social Networking Service)を活用する企業が増えている。FacebookやTwitter、LINEなどのソーシャルメディアが個人の間で急速に普及してきたことで、社内コミュニケーションのあり方に大きな変化が起きているからだ。今回は、社内コミュニケーションにSNSを活用する意味と期待される効果や効用、具体的な活用例について紹介していく。
「社内SNS」が導入されてきた背景
◆個人利用が進んだSNSを、社内コミュニケーション向けに活用
2011年に起きた東日本大震災では、既存のツールやメディアよりも、SNSによる情報交換のほうがリアルタイムな情報把握の面で威力を発揮した。日頃の私たちのコミュニケーションのあり方が、新たな局面を迎えたことを意識せずにいられない出来事だった。
SNSは、人と人とのつながりを促進するコミュニティー型のWebサイト。有名なものには、Twitter、Facebook、LINEなどがある。ネットワーク上で友人・知人間のコミュニケーションをスムーズに行う手段を提供し、趣味や嗜好、居住地域、出身校、友人の友人といった“つながり”を通じて、新たな人間関係を構築する場を提供する会員制のサービスだ。この仕組みを社内コミュニケーションに取り入れたのが、社内SNSというわけだ。
息抜きに訪れた休憩スペースや社員食堂などで、他の部署の人たちと何気なく雑談をしているうちに、仕事のアイデアや新しい企画が浮かんだ経験のある人は多いのではないだろうか。これは、普段の職場と異なる場所や人間関係による刺激がもたらした効果だと言われている。これと同じように、気軽に情報交換できる場を社内イントラネット上に作り出したシステムが社内SNSである。
◆コストパフォーマンスが向上し、急激に普及することに
SNS導入に関しては2006年頃にも動きがあったが、うまく浸透しなかった。その頃のSNSと言えばmixiやGREEだが、プロフィール情報や個人ページを共有することが中心だった。その後、さまざまな機能を持つSNSが登場し、若者を中心にTwitterやFacebook、LINEを利用する人が急激に増えていった。
社内SNSの導入に当たっては、無料サービスが充実してきたことが大きい。以前はハード・ソフトを購入するか、ASP(Apllication Service Provider)と契約しなければならなかったので、費用対効果が大きな問題だった。ところが、2011年にクラウドサービスが提供され始めたことによって導入負荷が軽減、費用対効果も向上し、急速に利用が広がっていった。さらには企業情報システムの分野にも広告収入モデルなどが導入されるなど、コストをかけずに手軽に始められるようになった。SNSを取り巻く状況が大きく様変わりしたことで、社内向けに応用できる環境が一気に整ってきたのだ。これが、最近の社内SNS導入に拍車をかけることになった。
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