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HR調査・研究 厳選記事 掲載日:2017/06/05

40代・50代社員の課題と役割に関するアンケート
管理職・非管理職別に期待役割と実践度、活躍支援に向けた課題を調査(労務行政研究所)

4 40代・50代社員に対する課題や方向性  

40代・50代社員の本人に関する課題内容[図表13]
「キャリアビジョンがなく、受け身の姿勢で仕事を進めている」が3.48点でトップ

これまで示してきた管理職と非管理職に対して期待している役割とその実践度を踏まえて、40代・50代社員の個々人のレベルで、どのような課題を抱えているかについて尋ねている[図表13]。なお、ここでは、組織風土、人事制度、業務配分等の外的要因によるものではなく、あくまで「個々の社員」に焦点を当て、個人レベルで想定される課題について当てはまるものを上位五つまでランク付けしてもらった。ここでは1位=5点、2位=4点、3位=3点、4位=2点、5位=1点として、加重平均し得点化した。

最も高かったのは、「キャリアビジョンがなく、受け身の姿勢で仕事を進めている」で3.48点。以下、中央値の3点以上だった項目を挙げると「高い目標を設定せず、難しい課題に挑戦しようとしない」3.28点、「役職解任、等級のダウンなどを理由に、モチベーションが下がっている」3.16点、「後継の指導がうまくできない」3.14点、「管理職になれないことを理由に、モチベーションが下がっている」3.05点、「組織の中核という自覚がなく、自発的に行動せず、周囲を巻き込もうとしない」3.02点と続く。

これらから見ると、例えば第一線から外れるなどして状況が変化しても意識の切り替えができずに、これまで培った知識・能力・スキルを活かした新たな活躍の場や、やり遂げたいことが見いだせないまま、日々の業務に埋没している様子がうかがえる。

【図表13】40代・50代社員の本人に関する課題内容(規模計、上位五つ)
【図表13】40代・50代社員の本人に関する課題内容(規模計、上位五つ)

活性化に向けた効果的な施策[図表14~15]
評価制度65.7%、研修・面談62.6%

40代・50代社員の活性化・活躍促進に向けて効果的だと思う施策(複数回答)のトップ3は、1位「役割を明確にし、正しく評価するための仕組みを整備する」65.7%、2位「キャリア研修やキャリア面談など、気づきを得たり将来を考えたりするための機会をつくる」62.6%となり、この2項目は6割を超えた。3位は「成果に応じた賃金制度を構築することで、業績への貢献に見合った処遇を実現する」48.5%で、2位と約14ポイントの差が付いている[図表14]。

この上位2項目について規模別に見ると、1位の「役割を明確にし、正しく評価するための仕組みを整備する」に関しては、1000人以上の56.8%に対して300人未満が75.9%と、20ポイント近くの差が開いており、中小企業では有効な施策と認識している傾向が強い[図表15]。逆に、2位の「キャリア研修やキャリア面談など、気づきを得たり将来を考えたりするための機会をつくる」に関しては、1000人以上が81.1%と8割を超えたのに対し、300人未満が51.7%となり、約30ポイントの差が付いている。これと同様に、「個人的な悩みなどを広く相談できる『キャリア相談室』等を設置する」に関しても、1000人以上が29.7%だが、300人未満が6.9%と23ポイントほどの差が付いている。このように研修や面談、相談窓口といった大がかりな仕掛けを入れるとなると、こうした規模による違いが浮き彫りになってくる。

一方、産業別に見ると、製造業では「キャリア研修やキャリア面談など、気づきを得たり将来を考えたりするための機会をつくる」で72.7%(非製造業の54.5%より約18ポイント高い)、「個人的な悩みなどを広く相談できる『キャリア相談室』等を設置する」で31.8%(非製造業の7.3%より約25ポイント高い)となり、キャリア関連の施策については、製造業が非製造業より高い割合を示し、両者の考え方の相違が見て取れた。

【図表14】40代・50代社員の活性化・活躍促進に向けて効果的だと思う施策(規模計、複数回答)
【図表14】40代・50代社員の活性化・活躍促進に向けて効果的だと思う施策(規模計、複数回答)
【図表15】40代・50代社員の活性化・活躍促進に向けて効果的だと思う施策(複数回答)
【図表15】40代・50代社員の活性化・活躍促進に向けて効果的だと思う施策(複数回答)

活性化・活躍促進に向けた今後の方向性[事例2]
仕組み・制度、現場のマネジメント、キャリアに対する本人の意識づけといった、三位一体の取り組みが重要

最後に、40代・50代社員の活性化・活躍促進に向けた現在の施策・取り組みと今後の方向性に関して、各社から挙げられた自由意見を集約した[事例2](省略)。その中から代表的な回答を抽出すると、以下のような方向性が読み取れる。

[1]人事制度の再構築:年齢によらない処遇制度、能力・貢献度・成果に応じた適正な評価の実現

[2]管理職のマネジメント力強化:マネジメント研修、評価者研修、OJTのノウハウやスキルの明文化などで管理職のマネジメント力を強化する

[3]期待役割の明確化:40代・50代社員の期待役割を明確にした上で、研修や面談の機会を通じて、会社が求める役割・スキルなどを具体的に伝える

[4]キャリアパスの明確化:社内のキャリアパスを明確にするとともに、社外も含めた多様なキャリアパスを検討する

[5]キャリア意識の醸成:キャリア研修やキャリア面談を通じてキャリア意識を高め、今後のキャリアプランを策定

[6]期待役割とキャリアプランの統合:職場(上司と本人)でキャリアについて対話する機会をつくり、会社として期待する役割と本人の価値観やキャリアプランの統合を目指す。その際、実際に活躍する場面についても検討し、現在の業務における創意工夫、新たな職域の創造、部門横断のプロジェクトへの参画、職務・役割の変更、現場での実践を通じた能力開発など、主体的で前向きになれる働き方ができるように支援する

【調査要領】

1. 調査名
「40代・50代社員の課題と役割に関するアンケート」

2. 調査対象
労務行政研究所ホームページ上で「WEB労政時報」に登録いただいている民間企業から抽出した人事労務担当者6352人

3. 調査期間
2016年12月8〜22日

4. 調査方法
WEBによるアンケート

5. 集計対象
100社(1社1名)。業種別、規模別の内訳は[参考表]のとおり。

6. 利用上の注意
図表の割合は、小数第2位を四捨五入し小数第1位まで表示しているため、合計が100.0にならない場合がある。また、本文中で割合を引用する際には、実数に戻り再度割合を算出し直しているため、図表中の数値の足し上げと本文中の数値とは一致しないことがある。

[参考表] 産業別、規模別集計対象企業の内訳
参考表:産業別、規模別集計対象企業の内訳

注)* ここでは、一般財団法人労務行政研究所が行った((調査期間:2016年12月8日〜22日)「40代・50代社員の課題と役割に関するアンケート」をもとに、『日本の人事部』編集部が記事を作成しました。詳細は『労政時報』第3926号(2017年3月10日発行)に掲載されています。
◆労政時報の詳細は、こちらをご覧ください → 「WEB労政時報」体験版
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