若手社員の不足 どう解決するか
古橋 孝美(ふるはし たかみ)
パートタイマー白書や学生を対象にした就職活動に関する意識調査など、当研究所が独自で行っている調査から見えてくることを考察します。
貴社で、もし正社員経験のない人を正社員雇用するとしたら、何歳くらいまでの人ならOKですか?
また、正社員経験のある人とない人がいたならば、どちらの人を採用しますか?
「いや、年齢は関係ない!」「やっぱり20代までかな…」「正社員だったかどうかではなく、熱意を見る!」「…でも、正社員で働いてなかったんでしょう?」――ぱっと浮かぶのはどのような返答ですか?
労働力調査(総務省)の平成25年平均結果において、非正規雇用で働く25歳から34歳の者が現職に就いた理由で最も多いのは、「正規の職員・従業員の仕事がないから」。その割合は3割を超え、他の年齢層よりも高く、不本意な形で非正規雇用に身をおいている者が多いことがうかがえます。
その一方、人材不足、特に“若者”に対する企業の渇望感は大きいようです。弊社が発行した『平成26年版パートタイマー白書』を見ても、「20代・正社員」が不足していると回答した企業は全体の56.3%、「30代・正社員」でも47.3%にも上る結果となっています。たった半分の企業と思われるかもしれませんが、「40代・正社員」の不足を感じている企業が22.0%、「50代・正社員」では8.3%であることを踏まえると、若年層に対する不足感が強いことは明らかです。
“正規の仕事に就きたい”非正規雇用の若者と、“若手の正社員が不足している”企業。一見、互いのニーズが合っているようにも見えますが、企業側が非正規雇用者を正社員として雇い入れるには、冒頭の質問のようにいくつかの壁があるようです。
前述の『平成26年版パートタイマー白書』を見ると、正社員で働いた経験のない者を正社員として雇い入れる場合、採用対象とする年齢の上限を設けている企業は全体の4分の3に上りました。中でも、20代までの採用を想定している企業が半数に上ります。
さらに、企業に対して20~30代の正社員を採用する際に、正社員での職業経験と非正規雇用での職業経験のどちらを重視するか聞いています。結果は、「正社員での職業経験を重視する」21.5%、「どちらかと言えば、正社員での職業経験を重視する」31.5%となり、約半数の企業が、“正社員で働いたことがある”という実績を重く見ていました。
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