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イベントレポート掲載日:2015/06/26

ATD 2015 International Conference & Expo 参加報告
~ATDに見るグローバルの人材開発の動向~

[ 取材・レポート ] 株式会社ヒューマンバリュー 主任研究員 川口 大輔

ATD2015 基調講演・セッションを通して人材・組織開発の動向をさぐる

基調講演から学ぶ

ATDでは、さまざまな分野におけるオピニオン・リーダーや有識者、経営者や実践家による基調講演が行われますが、今年は例年以上に各スピーカーの評判が良かったことも印象的でした。以下に3名の素晴らしい基調講演者から得られた学びを紹介します。

グローバル・ビジネスをリードする
講演者:アンドレア・ジュング氏

アンドレア・ジュング氏(Andrea Jung)photo

一人目の基調講演者は、化粧品会社エイボン(Avon)社の元CEOであるアンドレア・ジュング氏でした。ジュング氏は、エイボン社の126年の歴史上で初めての女性CEOであり、化粧品会社では、創立者を除いて初めての女性CEOです。ジュング氏は、エイボン社を単なる化粧品会社ではなく、女性のための会社へとして再定義し、世界中の何百万もの女性が自足できる経済的自立を可能にしたという功績を持っています。

講演は、CEOとしてエイボン社を率いた体験に基づいて、グローバル・ビジネスをリードする上でのポイントやリーダーシップの哲学が語られました。

「グローバル・ビジネスをリードするためには、世界中の人々が理解できるビジョン、バリューが必要」「リーダーシップは、パワーではなくインフルエンス(影響)」「企業は常に変革を必要とし、CEO自身が最もその意識を持つ必要がある」といったメッセージは、実際にCEOとしてグローバル企業の変革を成し遂げてきた実践者の言葉として、説得力を持って受け入れられていたように思います。

そして、講演の後半は、特に女性の可能性について言及されました。ジュング氏は、「社員としてもエグゼクティブとしても顧客としても、女性は最も急速に成長している新興市場であり、女性の持つポテンシャルは企業にとってクリティカルです。女性の昇進を公平に扱わない会社に成長はないと思います」と語り、女性の活躍の場を平等にすることの重要性を訴えていました。

また、そうした社会全体への投げかけに加えて、ジュング氏自身が過去に差別を受けたり、家庭と仕事の両立で葛藤したりした体験を振り返りながら「人生は常にフェアではありません。それでいいのです。そこで犠牲者になる必要はないのです。自分自身が目的に向かって、一歩ずつ前進し、失敗から学び、その状態を変えていく人間になることが大切です」という個人の想いに基づいたメッセージを語られていたことが、印象に残りました。

そして、グローバルなビジネスをリードする上での最後のポイントとして、ソーシャル・グッドを挙げていました。「うまくやる事(Doing Well)も大事ですが、良いことをする(Do good)のも同様に重要です。仕事で成果を収めるだけでなく、自分の人生を考えることが大事です。意味のある人生をもって、いい仕事ができます。社会に貢献していると知って心の安らぎを得られるのです」

ジュング氏は、現在グラミン・アメリカ(Grameen America)にて、マイクロ・ローンや、トレーニング、サポートを通して国中の女性やその家族の経済問題を解決するため、組織の拡大に取り組んでいます。現実を受け入れながら、自分のコンパスに従って人生を生き、未来を切り拓いてきたジュング氏のストーリーやあり方に、私も大きな刺激を受けました。

クラウド時代における学習と創造性
講演者:スガタ・ミトラ氏

スガタ・ミトラ氏( Sugata Mitra )photo

二人目の基調講演者は、“Hole in the Wall”や“School in the Cloud”といった教育への新しいアプローチに関する社会実験で知られ、TEDでの受賞経験もあるであるスガタ・ミトラ氏でした。

講演は、ミトラ氏自身が手掛けたさまざまな実験のストーリーをもとに、そこからの学びや発見を紹介する形で進められました。物理学者であるミトラ氏は、1999年、ニューデリーのスラム街の壁に穴を開け、インターネットにつながるPCをインストールし、どんなことが起きるか見てみるためにその場を後にしました。するとほとんど同時に、スラムの子どもたちがコンピューターを使って遊び始め、その使い方やインターネットへのアクセスの仕方を互いに教え合いました。講演の中では、実際に8歳の少年が6歳の少女に使い方を教えている映像が流されました。この実験では、9ヵ月で子供たちのコンピューターを使う能力が、ゼロから西洋社会で、オフィスで働く女性の能力まで高まるという結果が出たそうです。

この実験の中には、知識を教える教師は存在しません。好奇心にあふれた子供たちの集団が、安全なスペースに集い、インターネットにアクセスし、自由に探索・活動できる環境を与えられると、子供たちはお互いに協力し合って、楽しみながら自分たちで学びを促進し、想像を超えた成長につながっていくという実際の映像を観て、私も感銘を受けました。

また、さらなる研究の中では、英国で退職後の教師を集めて、1週間に1時間ボランティアで、スカイプを通してインドの子供たちと交流し、褒めたり、励ましたりする「グラニー・クラウド(おばあちゃんクラウド)」という取り組みが行われました。こうした実験から、何も教えなくとも、ポジティブに応援してくれる親切な関与者がいることで、子供たちの学びが加速されることが明らかになったとのことでした。

スガタ・ミトラ氏( Sugata Mitra )photo

プレスルームで、各国の記者たちに話しかけるミトラ氏。プレスルームもミトラ氏の到着を今か今かと待ち焦がれている雰囲気に包まれており、人気の高さが伺えました。

ミトラ氏は、学習者が自律的に学びを進めるこのような場のことを“Self-Organized Learning Environment(自己組織化する学習環境)”と呼び、そうした環境を生み出す重要性を語っていました。今年のATDでは、ラーニングのあり方が、「決められたゴールに向けて権威から与えられる知識を適切に学ばせ、均質化した人材を育てるような機械論的・客観主義的な世界観」から、「一人ひとりの強みや主体性を大切にし、日々の経験や他者との関わりの中から自律的・協働的に学び、創造性を育んでいくような生命論的・社会構成主義的な世界観」にシフトしていることが見受けられましたが、ミトラ氏の講演はその流れを象徴的に表しているように感じられました。

ミトラ氏の講演を通して、あらためて人の成長の可能性や本質に触れることができ、私にとって最もインパクトの大きかった時間となりました。ATDのミッションが、トレーニングからタレント・ディベロップメントへとシフトする中、ミトラ氏の講演を聴きながら、あらためて人と成長に携わる仕事に従事する職業人として、自分たちの役割やあり方について考え直す機会になった人も多かったのではないでしょうか。また、発表も素晴らしかったのですが、ストーリーを語るミトラ氏の純粋で人間味あふれる存在感やユーモアに聴衆も魅了され、講演はスタンディング・オベーションで終了しました。

Unthink(思考をやめる)
講演者:エリック・ワール氏

エリック・ワール氏( Erik Wahl )photo

最後の基調講演は、国際的に有名なグラフィック・アーティストであり、アートを通してビジネスの世界で活躍するエリック・ワール氏でした。ワール氏は“Unthink(邦題:『アンシンク UNThink 眠れる創造力を生かす、考えない働き方』、講談社)”の著者としても知られています。

ワール氏の講演は、言葉ではなく、絵を描くところからスタートしました。U2の音楽が流れ、背景に象徴的な映像が流れる中、黒いキャンバスにあっという間にU2のボノの肖像が描かれていく様は圧巻でした。

ワール氏は、私たちが分析的、論理的になりすぎ、問題解決の枠組みに閉じてしまうことに警鐘を鳴らします。たとえば、高校生に向かって「この中で絵を描ける人は?」とたずねると統計的に10~20%しか手を挙げませんが、幼稚園で同じ質問をすると、全員が飛び上がって手を挙げるそうです。ワール氏は、「人は誰でも、子供の頃はクリエイティブなエネルギーにあふれています。しかし、成長していく過程でそうした想像力や新しいものを創る力が失われていってしまうのです」と投げかけます。

そしてワール氏は、創造性を妨げるものとして、自分にとって快適な環境の中に居着き、居心地の良い箱から出れなくなってしまうこと、失敗への恐れや不安、論理的・分析的・標準的な思考への慣れなどを挙げます。分析的な考え方は必要ではあるが、十分ではありません。感性を大切に、感情的なつながりを生み出すこと、失敗を恐れずに枠を飛び越えてチャレンジしていくことの重要性を訴え、そこにアートの力があるのではというメッセージを伝えていました。

エリック・ワール氏( Erik Wahl )photo

キャンパスに即興で絵を描くワール氏

一つひとつのメッセージはシンプルなものでしたが、ワール氏自身が、ビジネスの世界で自分自身を見失ったときにアートへの情熱を再発見することを通して再生してきた体験と合わさって、説得力のあるメッセージとして受け取られていたように感じました。

そしてワール氏は最後に、創造力を解放していく上で、私たち人材開発に関わる人々の重要性を訴え、講演を締めくくりました。

ここ数年のカンファレンスの基調講演者を振り返ってみても、たとえばPlayの精神やクリエイティビティの大切さを伝えたケヴィン・キャロル氏(2014年)、情熱と才能を解放する教育を推進するケン・ロビンソン卿(2013年)、ジャズの精神からイノベーションを語るジョン・カオ氏(2012年)など、毎年のようにクリエイティビティやイノベーションをテーマにした講演が行われています。今年は「タレント・ディベロップメント」という言葉が多くの場面で聞かれましたが、3名の基調講演を聴く中で、多様性、自律性、創造性といったものが、まさにタレントそのものであり、そうしたタレントをいかに解放していくかが、今私たちが対峙する最も大きな問いの一つであるように感じました。

コンカレント・セッションから学ぶ

上述した基調講演に加えて、ATD2015ではプレセッションや出展者セッションを含めると450以上ものセッションが行われました。その中から、私が参加したセッションを中心にご紹介し、そこから人材開発のトレンドの一環を垣間見たいと思います。

1)誰からでも学び合える環境を創る

近年のATDでは、「インフォーマル・ラーニング」「学習環境デザイン」「ラーニング・エコシステム」といったキーワードを軸に、働く人々が経験や相互作用から学び合える環境を築いていくアプローチを扱ったセッションが増えているように思います。

そうした観点から、今年特に興味深かったセッションのひとつに、ランディ・エメロ氏による“SU117:Are You Ready for Modern Mentoring?(あなたは、現代のメンタリングのための準備はできていますか?)”があります。

エメロ氏は、メンタリングを、「『他者』の『経験』から学ぶこと」と定義し、70:20:10(CCLが1980~90年代に行った研究で、人間は経験から70パーセントを学び、人との関わりから20パーセントを学び、クラスルームから10パーセントを学ぶというもの)の内、メンタリングは20パーセントに当たる部分として、重要視しています。今年のカンファレンスでは、エメロ氏のセッションに限らず、この「70:20:10」の考え方が多くのところで引用されていました。

そして、エメロ氏は、これまで企業で行われてきたメンタリング、つまり、人事部のマッチングによって、シニアと若手リーダー層が同じ人と1対1の関係を結び、定期的に会って長時間をかけてメンタリングを行うようなスタイルでは、今の時代はうまくいかないと投げかけます。その背景には、ソーシャル・ネットワークの環境で育ってきたミレニアル世代は、そうした硬直的で一方向的な学びのあり方を好まないことが挙げられていました。

そこで、今日的なメンタリングのあり方として、誰もが学習者であり、誰もがアドバイザーになれるような、メンタリングのネットワークを創り、より多くの人の経験やストーリーから、気軽に、短時間で、時にはバーチャルで、フラットに学び合えるような環境を創っていくことが推奨されていました。

実際にセッションの中では、二人一組のペアになって、短い時間で交互に役割を変えながら、お互いの体験から学び合うといったことを、ペアを変えて繰り返す演習を行ったのですが、そこからは、私たちが複数の他者の体験から学べること、そして与えられるのではなく自ら働きかけて学ぶ力を身に着けていくこと、相手に答えを教えて誘導するのではなく、体験を語って、そこから学んでもらうことの重要性が肌身感覚で伝わってきたような気がします。

テーマはメンタリングでしたが、そこを切り口として、今日的な学習モデルの実践のあり方の探求がなされていて、最初の印象以上に深い洞察を得られるセッションでした。(※ランディ・エメロ氏は、今年の10月に台北で開催されるATD Asia Pacific Conference 2015の講演者として招聘されるようです)

2)Bite-Sizeのラーニング

今年のカンファレンスでは、「Bite-Size(バイト・サイズ)」という言葉がさまざまなところで聞かれ、現場において5分~7分といった短い時間で学習を起こしていくことを意図した取り組みが見受けられました。

こうしたBite-Sizeの学習が広がっている背景には、大きく二つの点があるように思います。一つは、長時間のイベントとしての学習だけではなく、短い時間で繰り返し学習していくことが、行動変容や学びの定着に影響があると、神経科学(ニューロサイエンス)等の研究調査から明らかになってきたこと。もう一つは、そうした学習を可能にするモバイル技術の進化です。

たとえば“SU221:Nano-Coaching: Using Mobile to Make On-the-Job Learning and Coaching Practical(ナノ・コーチング:オン・ザ・ジョブ・ラーニングとコーチングを実用的にするために、モバイルを活用)”では、モバイル端末を用いて、ナノ・コーチングという、通常よりも、焦点を絞り、短いインタラクションで行う、コーチングを展開し、社員が経験や会話を通して学習することを促進するシステムを構築している例が紹介されました。

具体的には、学習者がある課題(たとえばセールスのデモを行うなど)を実施して、それを自分の携帯で撮影し、ビデオやオーディオ、ドキュメントなどで提出します。そうするとコーチが、課題が提出されたことを認識し、成果に対してコーチングを行っていきます(この際、コーチングを行うためのガイドラインがある)。そして、コーチを受ける対象者に対して、短いフィードバックを繰り返し行うという形で続けられます。またコーチ同士がお互いのコーチングのあり方を学び合い、進化させていくといった一連のサイクルを、モバイルを通して行い、成果を上げているとのことでした。

コーチングのスタイルも、1対1で時間をかけて行う、といったものではなく、複数のコーチとコーチー(N対N)の関係のもとで、時間をかけずに行っていくという形に進化してきていることが興味深かったです。その点で、(1)で紹介したモダン・メンタリングとの共通性も感じました。

3)パフォーマンス・マネジメントの見直し

近年は、ATDに限らず、人事・人材開発の領域の中で、「パフォーマンス・マネジメント(評価マネジメント)」の見直しが話題に上がることが増えているように思います。その背景には、神経科学(ニューロサイエンス)の見地から、レーティング(評価段階付け)偏重による評価マネジメント(パフォーマンス・マネジメント)では、組織やチームにおけるコラボレーションやエンゲージメントが大きく下がり、期待されるパフォーマンスは上がらないという調査結果が多くあることが挙げられます。ここ数年で、たとえばマイクロソフトやGEなど、レーティング(評価段階付け)偏重の評価マネジメント(パフォーマンス・マネジメント)をやめる米国のメジャーカンパニーも増えています。

私が参加した“M311:Replacing the Shattered Humpty Dumpty of Performance Management(パフォーマンス・マネジメントの取り返しのつかない状況を取り替える)”においても、これまでGEやNASAなどにおいて、組織変革やパフォーマンス・マネジメントに関わる仕事に従事してきたパトリシア・マクレガン氏によって、そうしたテーマが扱われていました。

マクレガン氏からは、現在パフォーマンス・マネジメントが現場で機能していないため、社員が目標を低く設定しがちであることや、評価を行うマネジャーの信頼が低下していることがますますパフォーマンス・マネジメントの仕組みを精緻化・肥大化させ、それが逆に仕組みの柔軟性を奪い、現場に適応しづらくしているといった悪循環が示されました。

マクレガン氏からは、「VUCAの環境において、組織のあり方、構造や仕事の流れが、これまでのようなピラミッド型にはならずに、よりフラットでネットワーク型になってきています。つまり、組織のあり方が、機械的な組織から、生命体(Living Systems)としての組織へと変わってきているのです。そうしたことがパフォーマンス・マネジメントにどんな影響を及ぼすのかを探求し、人々のマインドセットを変革しながら、パフォーマンス・マネジメントのリ・デザインを行う必要があります」とのメッセージが語られました。

そして、新たなパフォーマンス・マネジメントで大切な視点として、以下の5点を強調していました。

  1. 「評価」「上司と部下」「マネジャーの役割」「ヒエラルキー」といった古い考え方やプロセス、ツールを取り除く
  2. 生命体のシステムにおいて、何のためにパフォーマンス・マネジメントを行うのかを明確にする
  3. パフォーマンス・マネジメントは、制度や給料、プロモーション、キャリアといったものを指しているのではないということをコミュニケーションする
  4. パフォーマンス・マネジメントのキーとなるイベントを「新たな文化」に向けたコミュニケーションの場とする
  5. 組織の境界を越えたサポートなど、パートナーシップとしての役割を開発する

マクレガン氏のセッションの中では、ハウツーや新たなシステムの導入といったものではなく、今の時代の中で、パフォーマンス・マネジメントは何のためにあるのかということを探求すること、会話をすることの重要性が語られていたことが本質にあるように感じました。

4)フェイスブック、グーグルの取り組み

今年のコンファレンスでは、たとえばフェイスブックやグーグルなど、IT業界をけん引し、イノベーションを生み出している企業におけるタレント・ディベロップメントの取り組みが紹介されていたことも印象に残りました。こうした企業事例に数多く触れられることもATDの醍醐味であるように感じます。

たとえば、“M109:Executing the Talent Strategy by Democratizing and Leveraging Development(人材開発を民主化し、活用することでタレント戦略を実行する)”では、フェイスブック社でリーダーシップ開発を担当するケアミ・ルイス氏らが同社の取り組みを紹介しました。

セッションの中では、同社がラーニングのデザインで大切にしている信条が語られていましたが、その一つに、“I learn from everyone around me(私は、周りにいるすべての人から学ぶ)”が挙げられています。これは、自分よりも経験のある人からのみ学ぶというのではなく、自分の身の回りにいる人、誰からでも学ぶといったところを重視しており、たとえばマネジャー同士のフェイスブック・コミュニティーなど、社内にある多くのラーニング・コミュニティーが紹介されていました。その他にも、昨今広がりを見せている「ハッカソン」を通して、実際に人々と協働してモノを創り出していくプロセスから学習するなど、社会構成主義的な学びのあり方が重視されていることが伺えました。

また、“TU307:The Challenge of Scale: Designing Learning Experiences for a Growing Global Audience(スケールの挑戦:増加している世界中の聴衆のために学習経験をデザインする)”では、同じくシリコンバレーにあるグーグル社の事例が紹介されていました。その中では、グーグルのタレント・ディベロップメントの大きなビジョンとして、「どのようにして教師のいないクラスルームを作るか」「全ての社員をラーニングデザイナーにするにはどうするか」といった観点が掲げられ、皆で学び合える環境や仕組みづくりが推進されているとのことでした。たとえば、ハングアウトを利用したプログラムを開発したり、ビデオプログラムを開発したり、MOOCSのようなラーニングプラットフォームを開発したり、ラーニングデザインのコミュニティーをつくり、グーグルラーニングサミットなどを行いながら、波紋が広がるような取り組みを行うなど、学習環境の構築のあり方にも創造性が活かされていることが印象的でした。

以上、ここまで私が参加したセッションを中心にATD2015の様子を紹介してきました。たくさんあるセッションのすべてに参加できたわけではありませんが、全体的に学習のあり方が根本的に変わってきていることが、コンセプトだけではなく、実践面からも感じられたカンファレンスであったように思います。本レポートを通して、グローバルにおける人材開発の潮流が少しでも感じていただけたら幸いです。

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