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強さと優しさが増収増益の原動力
ランドセルの協和が実践する「人を大切にする経営」とは

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株式会社協和 専務取締役 若松秀夫さん

背負いやすいランドセル「ふわりぃ」で知られる株式会社協和は、ランドセルの国内生産シェア2位で、少子化にもかかわらず10年連続で増収増益を続けています。また、社員のほか、取引先や地域を大切にする姿勢が評価され、2013年には『日本でいちばん大切にしたい会社大賞』審査員特別賞を受賞しました。好調な同社の原動力となっているのが、実質的に経営指揮をとる、専務取締役の若松秀夫さん。しかし、若松さんは「特別なことをしてきたわけではない。なんのために会社があるのか、なんのために働くのかを考えてきた結果」と言います。同社が好調である理由は何なのか、若松さんにお話をうかがいました。
(聞き手:株式会社natural rights代表取締役 小酒部さやか)
■プロフィール
株式会社協和専務取締役 若松秀夫さん Photo
若松秀夫さん
1950年生まれ。大学卒業後、大手ファスナー会社に入社。約10年のパリ駐在員経験を経て、1982年、実父の経営する株式会社協和に入社。ランドセルの自社ブランド化に手腕を発揮するほか、海外旅行ブームに着目してスーツケースなどの旅行用品事業を立ち上げ、この部門は現在、20億円近い事業となるまでに成長させた。現在、専務取締役。

離職もリストラも一切ないことが堅実な経営につながる

――貴社は産休取得者の復職率が100%で、離職もリストラもゼロだと聞きました。社員が定着する秘訣は何でしょうか。

弊社の主力商品であるランドセルは、今でも手で作る工程が多く、経験を積んだ人材はとても貴重な存在です。離職は会社にとって大きな損失なので、ライフイベントに限らず社員が働き続けられるよう、いろいろと工夫しています。

例えば、教育費は家計の大きな負担となるので、補助を出すことで「この会社で働き続けても大丈夫」と安心してもらえるようにしています。育児補助は、1年以上在籍する従業員(パートを含む)の子供に、出産のタイミングと、小学校・中学校・高校にそれぞれ入学するタイミングで、合計100万円を支給しています。また、小学校入学時にはランドセルも支給しています。このような動きによって、社員の会社に対する帰属意識や士気は高まり、それが堅調な会社経営につながっていく、と信じているのです。会社が何のために存在しているかを考えていれば、このような取り組みは自ずと出てくると思います。

――若松さんは、会社はどのような存在であるべきだとお考えですか。

会社とは、強くて優しい存在であるべきです。また、会社には三つの目的があります。一つ目は、従業員の幸福度を高めること。二つ目は、消費者の方が買いやすい、安定した価格で商品を提供すること。三つ目は、仕入れ先と対等な立場で、公正に取引すること。この三つを常に心がけています。

――「消費者の方が買いやすい、安定した価格で商品を提供する」ことについて、具体的にお聞かせください。

弊社は、誰でも購入できるように、求めやすい安定価格でランドセルを供給しています。障がい児のニーズにあわせてオーダーメイドも承りますが、通常と同じか、それよりも安い価格でご提供しています。

他社の商品にはブランド化された高価なランドセルもありますが、子どもたちに余計な優越感や劣等感を覚えさせてしまうので、私は反対です。子どもたちのために、私たちは何ができるのか、また、何をすべきなのかを考える責任があると思っています。

子どもたちに等しくランドセルを使って欲しいと願っているので、震災などの理由で購入できない子どもたち宛てに、ランドセルを贈っています。まとめて自治体や組織に寄付するのではありません。たくさんランドセルが届いても、人手不足などが理由で子どもたちに届かないケースがあるので、一人ひとりに贈っています。


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