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ニュース
人事サービス 雇用・採用
掲載日:2017/10/23

中小企業で毎年の定期採用を基本としているのは、26.8%。2016年度の採用活動を実施した49.1%の企業が「目標人数を採用できた」~『「採用と社員教育」特別調査報告』:中小企業家同友会全国協議会

中同協・企業環境研究センターでは、中小企業における採用と社員教育の実態を把握するとともに、採用と社員教育に関する課題を明らかにするためアンケート調査を行いました。

 

2017年 中同協「採用と社員教育」特別調査(PDF)(抜粋)】

[II]採用活動の実施状況とその内容

(1)採用活動の実施状況
大企業の多くは、毎年、定期採用を実施しているのに対し、中小企業の場合は、採用頻度にばらつきがみられる。中小企業の採用活動の頻度は、「必要に応じて適宜、採用活動を実施」(53.2%)がもっとも多くなっている。人員の欠員状況や仕事量の見通しなどに応じて、採用活動を行っているものと思われる。毎年の定期採用を基本(「毎年、定期採用を実施」と「ほぼ、毎年定期採用を実施」)としているのは、26.8%となっている。定期採用が中心ではないことがわかる。また、「実施していない」割合は14.5%となっている。

(2)2016年度の採用活動
ここからは、2016年度の採用活動に絞って、実施状況や実施内容についてみていくことにしたい。まず、採用活動の実施状況については、「採用活動は行わなかった」が29.0%となっている。採用を実施した中では、「中途採用(若年者、35歳未満)を中心に実施」がもっとも多く、次いで、「新卒・第二新卒を中心として実施」となっている。いずれも、若年層を対象とした採用活動であり、「中途採用(中高年、35歳以上)」の割合は相対的に低くなっている。

採用活動において行っていることは、「ハローワークへの登録」の割合が突出して高くなっている。それ以外には、「自社のホームページでの求人」(37.8%)や「就職サイトへの登録(Jobway以外)  」(31.2%)、「親族・知人などへの紹介依頼」(30.5%)が比較的に高い割合となっている。「同友会の合同説明会」や「Jobwayへの登録」など、同友会の採用活動やツールも一定程度、利用されている。

なお、2016年度の採用人数の結果については、採用活動を実施した49.1%の企業が「目標人数を採用できた」と回答している。「採用できたが目標人数に達しなかった」割合は34.7%、「1人も採用できなかった」は16.2%となっている。ほぼ半数の回答企業は、採用目標人数に達したということである。

さらに、1人でも採用した企業に、採用時の目標に対して実際に採用した従業員の満足度をたずねたところ、「非常に満足している」(12.7%)と「満足している」(45.6%)があわせて約60%を占めている。   「不満である」(11.4%)や「非常に不満である」(2.4%)は、合計で13.8%となっている。また、 「どちらともいえない」は 27.8%となっている。このように、採用に満足している企業の割合が、不満である割合を上回る結果となった。

 

[VII]定着率と定着率向上への取り組み

(1)定着率の現状
企業経営にとって採用、社員教育と合わせて、社員の定着も重要な課題の一つである。実際の会員企業における定着率はどのような状況なのだろうか。

2013年度に採用した正規従業員のうち、2017年4月1日まで働き続けている割合についてたずねた。有効回答の2,009社のうち 2013年度に「採用していない」と回答した企業が581社で 28.9%あったことから、7割以上の企業が同年に採用をしたということになる。

採用した企業のうち、定着率が「80%以上」と回答した企業が51.4%と、社員の3年定着率が8割を超える企業が半数以上であることがわかった。続いて「60%以上80%未満」が18.0%、「40%以上60%未満」が15.5%と続く。一方で「20%以上40%未満」が6.4%、「20%未満」が8.6%となり、約15%の企業で定着率が4割以下、かつ定着率「20%未満」の企業割合が「20%以上40%未満」の層をわずかに上回った。

人材確保難の状況下で、苦労して採用した社員が定着せず辞めてしまうのは、企業にとっても大きな損失となる。「VI 社員教育・研修の目的や位置づけ」でも指摘されていたように、社員教育・研修の目的として「新入社員、若手社員の定着」を重要視している企業は94.9%にも及ぶ。人材の計画的、組織的な採用と社員教育を継続していくことが定着率向上の鍵となる。

(2)定着率向上への取り組み
では、社員の定着率向上のために具体的にどのようなことに取り組んでいるのだろうか。最も回答が多かったのは「職場における人間関係への配慮」(54.3%)で、前節においても「社内コミュニケーションの円滑化・向上」が重要だと回答した企業が98.4%と最も多かった。それだけ多くの企業で社内の雰囲気に対して細心の注意を払い、優先的に取り組まれていることがわかった。

続いて、「賃金の上昇(基本給・ボーナス)」が52.9%、「休日をとりやすくする」44.5%、「残業時間を減らす」35.5%、「福利厚生の充実」33.4%となった。社員が安心して働ける環境を築いていくために、社内の雰囲気への配慮に加え、制度面の整備も同時に取り組まれている。

その上で社員一人ひとりの家庭環境や社員のキャリアアップなど意欲面への対応、すなわち「本人の希望を生かした配置」32.1%、「仕事と家庭の両立支援策の充実」27.7%、「OJTの実施」32.8%、「資格取得制度」29.5%に進んでいくという流れがあるようだ。これらは社員の「やりがい」につながる要素でもある。

これらの回答から推察されるのは、職場の人間関係や制度面の整備によってしっかりと労働環境の土台を築いた上で、社員の力が発揮できる条件が充実していくことにより、さらなる定着率の向上につながっていくという労働環境整備の成長ステップである。

 

<調査要領>
(1)調査時 :2017年6月1~30日
(2)対象企業 :中小企業家同友会会員
(3)調査の方法 :同友会活動支援システム「e.doyu」のアンケート機能を活用し、直接入力を得た
(4)回答企業数33,902社より2,009社の回答を得た(回答率5.9%)

 

◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

(中小企業家同友会全国協議会 http://www.doyu.jp/  /10月19日発表・同会プレスリリースより転載)

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