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【ヨミ】オン ボーディング オン・ボーディング

「オン・ボーディング」(on-boarding)とは、組織の一員やサービスのユーザーとして新しく加入したメンバーに手ほどきを行い、慣れさせるプロセスのことです。企業人事の領域では、新規採用した人材の受け入れから定着、戦力化までの一連の流れをいいます。on-boardは、船や飛行機に乗っているという意味。会社という乗り物に加わった新しい“乗組員”を、組織の文化やルール、仕事の進め方などにいち早くなじませ、パフォーマンスを引き出すための教育・訓練プログラムをオン・ボーディング・プログラムといいます。新卒社員や若手にかぎらず、中途入社した経験豊富なプロフェッショナルやマネジメント層まで対象に含め、新メンバーと既存メンバーとの統合を図るのが特徴です。
(2016/2/29掲載)

オン・ボーディングのケーススタディ

“新人研修”とは違う継続的な戦力化施策
職場全体で個々の資質に応じた受け入れを

自ら退職した人の割合を示す「離職率(自発的離職率)」。日本では“七五三現象”に代表されるネガティブなイメージでとらえられがちな指標ですが、米国では、むしろ離職率が上昇すると、それは労働市場および国内経済の健全性を示す兆候であるとして、歓迎される傾向にあります。雇用の流動性が高く、数年おきに転職して、キャリアアップしていく勤労観、人生観が根付いているからです。ところが近年は、そんなアメリカでも、新人が入社して6ヵ月以上続かない、新人の二人に一人は組織の期待に応えることができないといった実態が問題視されるようになり、そうした課題感を背景に「オン・ボーディング」という概念が注目を集めています。

オン・ボーディングとは、「船や飛行機に乗っている」状態を表す形容詞“on-board”から派生した造語で、企業による新規採用者の受け入れプロセスを意味します。新規採用人材の受け入れというと、従来は入社後の限られた期間に、集中的に実施されるオリエンテーション、すなわち新人研修が一般的でしたが、それだけでは早期離職防止の効果は薄く、離脱は避けられたとしても戦力化までに時間がかかります。そこで、より継続的に行われる教育・訓練の取り組みとして、オン・ボーディングの重要性が浮上してきたのです。

「組織社会化」の文脈で論じられることが多かった従来の受け入れ施策は、主に新卒や若手のメンバーを組織の文化や価値観にどう“順応”させるかが主眼であり、そのために全員一律の新人研修として実施されてきました。これに対してオン・ボーディング施策は、これまで対象に含まれなかった、経験豊かなプロフェッショナルやマネジメントにも適用。個々のキャリアや能力・スキルの特徴に応じてカスタマイズされたプログラムを提供し、職場全体で新メンバーを受け入れます。既存メンバーとの“統合”を創出し、あくまでも組織全体の生産性を高めることが、オン・ボーディングの目的なのです。

新卒者はもちろん、即戦力と見込んで採用した転職者でさえ、最初から自分の力だけでスムーズにパフォーマンスを発揮し、組織内で活躍していくことは容易ではありません。自社に適した人材を見つけ出すのが困難な時代。せっかくコストをかけて採用した新メンバーが、個人の資質とは関係のない理由からつまずき、離職やモチベーション低下に追い込まれてしまうことは、企業にとって大きな損失です。即戦力を即戦力として機能させるために、本人だけでなく、上司・同僚を含めた職場の総力として、オン・ボーディングに取り組む必要があるのです。

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