リケジョ
リケジョとは?
「リケジョ」とは、理系女子あるいは理工系女子の略で、数学、物理、化学といった理系分野の進路を選択し専攻している女子学生や、企業などで科学技術の研究開発に携わっている女性の研究者・技術者を総称する言葉です。日本社会の少子高齢化が進む中、リケジョにはものづくりの新たな担い手としての期待が高まっており、近年は企業にも、教育機関にも優秀なリケジョの獲得に乗り出す動きが少しずつ広がっています。
企業が求める女性目線のものづくり
文系より理系を選ぶ女子学生も急増
理系といえば男性の学問という考えはもはや古い固定観念に過ぎず、昨今は「リケジョ」ブームだといわれています。理系男子に比べると比率はまだ少ないものの、その数は増加傾向に。電機、自動車関連をはじめ大手製造業が理工系の女子学生の採用に力を入れるなど、産業界からの注目も高まり、企業や社会でリケジョが活躍できる場は広がる一方です。少子高齢化の進行で、消費者も働き手も数が減っていく中、その半分を占めるのが女性であることを考えれば、これからのものづくりには女性ならではの視点や生活感覚が欠かせません。開発現場に、より多様な意見や考えを集めたほうがビジネスチャンスにつながりやすい――リケジョブームの背景には、企業のそうしたねらいがあると考えられます。
日産自動車では、女性中心の開発チームを編成。女性らしいエンジニアリングの視点を活かした2012年発売の新型車は、売上台数社内トップの大ヒット商品となりました。それまで75度しか開かなかった後部座席のドアを、子どもを乗り降りさせやすいように90度近くまで開くようにしたところ、子育て中の女性に好評を博したのです。同社では女性技術者をさらに増やそうとリケジョの採用活動に力を入れており、リケジョ対象の説明会を開いて社内の託児所に案内するなど、働きやすさをアピールしています。国内の研究者・技術者に占める女性の比率は約14%。増えているとはいえ、欧米諸国の水準と比べるとまだ半分にも足りず、その要因として、家庭と仕事の両立や子育て期間後の職場復帰に対する支援不足が挙げられています。企業が優秀なリケジョを獲得するためには、実際に理系の専門知識を活かして活躍しているリケジョ社員の仕事ぶりを女子学生にPRし、理解を促すことも重要でしょう。日立製作所では、現役のリケジョ社員が会社説明会やイベントで学生と直接話す場を設けています。
ものづくりの新しい担い手として期待されるリケジョには、社会や産業界に人材を送り出す教育現場も熱い視線を注いでいます。首都圏の女子高では理系のクラスが増設され、トップ校になると文系より理系を選択する女子学生が多いことも珍しくありません。早稲田大学理工学術院(旧理工学部・研究科)では、キャンパスをリニューアルする際に女子トイレの設備を充実させるなどして、女子に好まれる環境づくりを目指しています。
文部科学省の学校基本調査によると、日本の大学(学部)に在籍する学生は256万人(13年5月時点)で、このうち理・工・農・保健の4学科のいずれかを専攻する女性は全体の10.7%にあたる27万人でした。10年前に比べ8万人増加し、比率も3ポイント上がっています。リケジョブームが一過性のブームで終わることはなさそうです。
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