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HR業界TOPインタビュー「人・組織」ビジネスを牽引する希代の経営者

仕事への原動力は一貫して「好奇心」
今は日本の医療に人材という観点から向きあう

エムスリーキャリア株式会社 代表取締役

羽生 崇一郎さん

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羽生 崇一郎さん(エムスリーキャリア株式会社 代表取締役)

日本社会の少子高齢化とともに、医療に対する需要も急速に変化しつつあります。さまざまなニーズに対応できる医療提供体制をスムーズに整えるには、医師や看護師、薬剤師など医療に関わる人材の最適な配置を促す仕組みが欠かせません。医師の場合、かつては大学医局などが中心に担っていたこの役割を、近年では民間企業が果たすことが増えてきました。「医療と人材」をコンセプトに成長する企業のなかでも、トップクラスの存在として注目されているのがエムスリーキャリア株式会社です。同社の設立時から部門責任者として関わり、2015年からは代表取締役を務める羽生崇一郎さんに、自身のバックグラウンドから日本の医療が抱える課題、医療分野における人材サービスの存在意義と今後の可能性、医療従事者のキャリアに向きあうときに欠かせない視点など、幅広いテーマについて語っていただきました。

プロフィール

羽生 崇一郎(はにゅう・そういちろう)/1979年、兵庫県神戸市生まれ。九州大学大学院にて環境心理学を学んだ後、IBMビジネスコンサルティングサービス(現・日本IBM)に入社。ITコンサルタントとして4年間勤務。2008年株式会社エス・エム・エスに転職。2009年、エムスリーキャリア株式会社設立と同時に転籍し、薬剤師、医師の各人材紹介事業部の責任者を歴任。2015年より現職。

ITコンサルティングから「医療と人材」の領域へ

ITコンサルタントとしてキャリアをスタートされていますが、学生時代から目指していたのでしょうか。

当初はまったく考えていませんでした。そもそも会社勤めにあまり魅力を感じられず、学部生のころも就職活動はせず、大学院に進んで研究者になりたいと考えていました。九州大学農学部での専攻は農業経済。市民農園をテーマに、街のなかで農地をどう生かすかという研究をしていました。そのうちに都市計画に関心を持つようになり、大学院の都市計画コースに進みました。専門分野は環境心理学です。空間や都市について心理学的な面からアプローチする新しい領域で、フィールドワークを中心に研究しました。深夜の公園で時間をつぶす若者やホームレスなどから話を聞きながら、自分の知らなかった世界を見ることができて、非常に刺激的でした。

ただ、環境心理学はまだ新しい学問で、研究者のポジションを得られる人はごくわずか。研究者として生きていくのは自分には厳しいと考えるようになりました。そんなときに読んだのが、大前研一さんの著作です。「これからのビジネスパーソンには英語・IT・財務の知識が必須」と書かれていました。就職するならそれらを身につけられる環境がいいと思って選んだのが、新卒で入社したIBMビジネスコンサルティングサービス(IBCS)でした。

ITコンサルタントとして、どんな経験をされたのでしょうか。

大手企業のシステム改修やERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)パッケージ導入といった大規模プロジェクトです。自分でプログラミングをするのではなく、要件定義やプロジェクトマネジメントといった業務を、メンバーあるいはリーダーとして担当しました。

学生時代はビジネスにまったく関心がなかった私が、企業の仕組みやビジネスの考え方をひと通り身につけられたという意味では、とてもよい環境、経験だったと思います。ただITコンサルティングの仕事に興味ややりがいをものすごく感じていたかというと、正直いってそれほどでもありませんでした。入社4年目の28歳のとき、先に転職していた同期から新しい仕事に誘われ、面白そうだなと思って私も転職することにしました。

周囲にも20代で転職される方は多かったのですか。

同期が53名いましたが、私が転職したときには他のコンサルティング会社や事業会社へ転職した人、起業した人など、すでに半分近くが転職していたと思います。ですから、入社4年での転職が早いとは思いませんでした。また個人的な体験として、19歳のときに旅したネパールをはじめ、就職してからもインドやカンボジアなどを旅行する機会がありました。急成長するアジア社会の勢いに触れて、いつかそれら国々の経済発展に関わる仕事をしてみたいという気持ちが強くなり、ITコンサルティング以外の経験を積み重ねていこうと決めました。

そのときの転職が現在の仕事に直接つながっています。

羽生 崇一郎さん(エムスリーキャリア株式会社 代表取締役)

IBCS時代の同期が転職し経営企画室長を務めていたのが、株式会社エス・エム・エス(SMS)。エムスリーキャリアの親会社の一つです。最初は「医療・介護」「人材」と聞いても具体的なイメージはわかなかったのですが、高齢社会において医療や介護はとても重要な分野になっていくだろうということだけは、素人なりにわかりました。

SMSは2003年創業で、私が入社した2008年は東証マザーズに上場したばかり。経営陣も含めてまだ若く、新しい会社だったことと、社会的な課題にビジネスを通して関わる経験は面白そうだなというくらいの考えで、入社しました。

しかし、最初から壁にぶち当たりました。入社してすぐに命じられたのが、中小介護事業者の市場調査。自分なりに1ヵ月かけて調査し報告を上げたのですが、当時の社長から「まったく使えない、頼んだ意味がない」と言われたんです。今でこそ経営的な視点が欠けていたからだとわかるのですが、当時は何が駄目なのかもわからず衝撃を受けました。その後は新しい仕事を与えられず、どうしようかと思っていたときに、人材紹介部門の責任者から声をかけられ、部長と現場をつなぐマネジメントを補佐する仕事を担当することになりました。

スカウトされて入社したのに、厳しいスタートになったわけですね。

とはいっても、マネジメントの補佐としては役に立てていたこともあり、数ヵ月後には会社の中期経営計画を議論するメンバーに加わることになりました。また、当時のSMSの課題の一つに事業を担える人材の育成があり、「トライしたい人はいるか」と聞かれたので立候補したところ、人材紹介部門の一分野だった薬剤師の人材紹介の責任者を担当することになりました。ただ、当時の薬剤師の人材紹介部門は15名前後の小さな組織。今から振り返ると高い成長率で事業が伸びていたものの、成長企業であるSMS全体から見ればごく一部でしかなく、存在感が薄い。自分の事業理解も浅く、経営陣からはほとんど評価されていませんでした。


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