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HR業界TOPインタビュー「人・組織」ビジネスを牽引する希代の経営者

株式会社SmartHR 代表取締役 CEO

宮田昇始さん

人事・労務の常識を変えるクラウドサービス「SmartHR」
「自分たちの代表作をつくりたい」という思いが原動力に

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株式会社SmartHR 代表取締役社長 宮田昇始さん

社会保険や雇用保険をはじめとする企業の人事・労務手続きには煩雑(はんざつ)な書類作成や役所への申請業務が多く、人事担当者の悩みの種となっています。そのような手続きをオンラインで完結してしまう画期的なクラウド人事労務ソフト「SmartHR」が、急速に利用企業数を伸ばしています。サービス開始から2年足らずで、利用企業は6,900社以上(2017年10月現在)。半年ごとに倍増する勢いです。この注目のサービスを開発・運営しているのが、2013年創業の「SmartHR」(創業時の社名はKUFU)。Webディレクターとして活躍していた当時20代の宮田社長が、エンジニアで技術部門の責任者・内藤副社長と二人で起業しました。現在は順調そのものの同社ですが、立ち上げからの2年間は試行錯誤の連続だったといいます。起業時の思い、サービス確立までの開発秘話、さらに今後の展開や経営についての考え方など、人事・労務の常識を変えつつある若きリーダーのこれまでとこれからについて、詳しくお聞きしました。

プロフィール

宮田 昇始(みやた・しょうじ)/ 大学を卒業後、IT企業でWebディレクターとして勤務。医療系Webサイトの開発会社に転職後、難病と言われる「ハント症候群」を患うが、リハビリを経て完治。その後、2013年、株式会社KUFUを設立。2015年にSmartHRのサービスを開始し、導入社数を急激に伸ばしている。2017年4月1日、株式会社KUFUの社名を「株式会社SmartHR」に変更し、事業は現在も急成長中。

Webディレクターの経験と人生観を変えた闘病生活

―― 20代で起業されています。学生時代から事業を起こしてみたいという思いはあったのでしょうか。

その頃はまったくありませんでした。経営学部に在籍していましたが、ごく普通の大学生。卒業後も7年くらいは会社勤めをしていました。サラリーマン時代も起業後もインターネットの仕事をしているので、「学生時代からインターネットに興味があったのですか」とよく聞かれるのですが、それもまったくありませんでした。私は1984年生まれで、大学生の頃はちょうどmixi全盛期でしたが、私は斜に構えてmixiどころかインターネットにも接続していませんでした。

ネットに興味を持ったきっかけは、就活で内定をもらっていた企業でのインターン。広告部門に内定していたのですが、たまたまインターンで行ったネットメディアの企画を考える部門の仕事がとても面白く、そこではじめてインターネットの力を感じることになりました。「ぜひインターネットに関わる仕事がやりたい」と希望を出して、メディア事業部での採用に変更してもらったのが今に続く第一歩です。

―― インターネット業界でのキャリアのスタートはどのような仕事だったのでしょうか。

職種はWebディレクターです。といってもインターネットに詳しかったわけではないので、最初は苦労しましたね。エンジニアやデザイナーの先輩たちに怒られながら、仕事を覚えていきました。企業のWebサイトを構築したり、独自にマネタイズできるWebサービスの企画を考えたり……。1年くらいすると周囲にも認めてもらえるようになって、そこからさらにインターネットの世界にのめりこんでいきました。この会社では丸3年勤務しましたが、リーマンショックの影響などで事業環境が厳しくなってきたこともあり、最初の転職をすることになります。自分で企画して立ち上げたWebサービスも売却することになって、CFOと一緒にその基本合意にまでこぎつけたところで退職しました。

1年ほど知人の会社を手伝った後、医療系Webサイトの開発会社に入社しました。仕事は一貫してWebディレクターです。いろいろな経験ができた時期でした。ところが、新しい会社で働きはじめて半年くらいたった頃、思わぬ闘病生活を強いられることになってしまいます。

―― 非常に珍しい病気だったそうですが、仕事にもかなり影響が出たのでしょうか。

株式会社SmartHR 代表取締役社長 宮田昇始さん

「ハント症候群」という難病で、私くらいの重症レベルになるのは、10万人に1人と言われました。簡単に言うと、耳の中の三半規管に水ぼうそうができてしまう病気。三半規管を通る神経が傷つけられてしまい、耳は聞こえない、味覚もなくなる、顔面も麻痺(まひ)する、といった症状が出ます。三半規管自体もやられるので、見える世界がぐるぐる回っていて、立っていることもできません。一時は車椅子が必要なほどで、完全に仕事どころではなくなってしまいました。一週間ほどで退院したのですが、傷ついた神経が元通りになるかどうかは、医師にもわからないような状態でした。Webディレクターは、エンジニアやデザイナー、クライアントなどとのコミュニケーションがとても大事な仕事です。しかし、耳が聞こえない、顔面も麻痺している、という状態ではスムーズなコミュニケーションはとても無理だと思われました。休職して自宅療養していた2ヵ月間、「これからどうなるんだろう」という、まさにお先真っ暗としか思えない毎日が続きました。

結果的には神経もなんとか回復し、仕事に復帰できることになったのですが、そういう経験をしたことで、「これからは自分の好きなことをして生きよう」と強く思うようになりました。当時勤めていた会社では、仕事面は順調だったのですが、病気を経験したことで価値観が変わり、ある程度整理ができたところで退職し、フリーランスになる道を選びました。

―― その後、株式会社KUFU(現在のSmartHR)を立ち上げられるわけですね。

会社をつくること自体にはさほど興味はなかったんです。フリーランスで仕事をしながら仲間を探して「自分たちのWebサービス」をつくりたかった、というのが本当の気持ちでした。当時、インターネットは、仕事として関わるのも面白かったのですが、プライベートで使うインターネットも非常に刺激的でした。TwitterやFacebookが急速に普及し、SNSを通じた同世代・同業界の人たちとのつながりがとても濃くなっていったんです。インターネットが暮らしを変えていく実感がありましたね。そういうインターネット業界での仕事をこれからもずっと続けていくためには、何か代表作といえるものが欲しい。周囲に新しいビジネスを立ち上げたり、会社を経営していたりする仲間がたくさんいたので、ごく自然にいつか自分もやるだろうな、という気持ちでした。実際に会社を立ち上げたのは2013年1月。29歳の時です。


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