唯一無二の「クリエイター・エージェンシー」として
事業を拡大
ドキュメンタリー番組も、事業も、必要なのは
「勇気・希望・愛・感動」
株式会社クリーク・アンド・リバー社 代表取締役社長
井川幸広さん
キー局で制作されるテレビ番組の実に45%にスタッフが関わる
独自のビジネス形態の御社ですが、人材派遣に代表される、一般的な「人材会社」との違いについてわかりやすくお聞かせいただけますか。
私たちは、自社のビジネスの軸として「派遣」をやっている感覚はありません。あくまでも、プロのクリエイターが成長していくための一つのステップ、最初の入口として派遣がある、という考え方です。たとえば新卒など、まだこの業界で一人前とは言えない人の場合は、派遣契約のほうが安定しますし、仕事にも専念できると思います。
そこから経験を積んで、年収ベースで700~1000万円以上稼ぎたいという場合には、派遣ではなくフリーランス(個人事業主)が適しています。この場合の契約は、一本いくらという形で引き受ける「業務請負」。そこでは私たちも、個人事業主に対して一本いくらで仕事を紹介します。さらに実績を上げて影響力のある監督になると、当社でファンドをつけて作品をつくっていく、あるいはテレビ局や映画会社を巻き込んでプロジェクトにしていく、などの関わり方になります。派遣からスタートして、ここまでが一つの「線」になっています。
クリエイターの成長段階に応じてサポートできる体制があるということですね。
そうです。当社は自社スタジオを持ち、テレビ番組やゲームなどの制作・開発も行っています。ゲーム部門だけでも、常駐しているクリエイターは約350人。さまざまな会社の開発業務を受託しています。この面だけを見れば、当社は「開発会社」です。しかし、クリエイターとして成長するためには社内の仕事だけでなく、社外の技術やトレンドに触れたほうがいいのは間違いない。だから、外部の大手ゲーム会社のプロジェクトにも参加してもらいます。派遣、請負といったスキームにこだわるのではなく、一人ひとりのクリエイターにとってベストの環境を用意するということです。
テレビ番組の場合も同様です。制作会社としても全国で上位10社に入るくらいの実績がありますが、請負で番組制作を行いながら、クリエイターを派遣・紹介してほしいというテレビ局があれば、その要請にも対応します。当社はキー局が制作する番組の約45%に何らかの形で関わっているわけですが、それが可能な理由としては、業務請負と人材派遣をケース・バイ・ケースで使い分けられることも大きいと思います。
もちろんクリエイターにとっても、局の垣根を超えて活躍の場が広がることになります。よく新卒の学生に言うのが、「クリーク・アンド・リバー社に入るのではなく、テレビ業界に入るつもりで入社してほしい」ということ。当社で同期会をやると、NHKから民放まで主要局すべてで働いているクリエイターが集まりますよ。先輩まで入れれば、1,000人以上。テレビ業界全体を網羅する人脈が、すでにできています。そういう会社は、ほかにないでしょう。そのネットワークを味方にしながら企画を練ったり、お互いに切磋琢磨したりできる環境がある。クリエイターにとってクリーク・アンド・リバー社という組織は、欠かせないインフラになってきていると思います。
日本を代表するHRソリューション業界の経営者に、企業理念、現在の取り組みや業界で働く後輩へのメッセージについてインタビューしました。