日本企業が再び成長するためには「モノの見方を変える」ことが不可欠
原理・哲学に基づいた理念を継承し、日本企業を変革
株式会社 ヘイ コンサルティング グループ
高野研一さん
信念を持って「モノの見方を変える」
現在の日本企業の人事部門の現状と課題について、どのようなことをお感じになっていますか。
終身雇用制が、日本企業の強みの一つだと言われた時代がありましたが、今は全く違います。産業革命や20世紀の産業構造に合った人事の考え方に対して、情報革命の時代、21世紀に合った人事のシステム、哲学、原理とは何なのか。その問題に今、日本企業の人事部は直面しています。日本企業では、海外の企業と違ってラインのマネジャーは採用や解雇の権限を持っていません。人事部が持っています。人事部が人材という重要な経営資源のコントロールタワーとなっており、これは日本企業固有の特徴です。海外の企業は状況が異なります。海外の企業と比べると、日本企業の人事部は非常に大きな権限と責任を持っていることになります。そのような人事部として、今、何ができるのか、ということです。
「経営者」として大切にされていることをお教えください。
二つあります。一つは、先ほど申し上げた創業者の理念を、後の世代に伝えていくことです。当社のもう一人の創業者、エドワード・ヘイが作った職務評価のモノサシによって人種・性別・年齢に関わらず、人材を登用することが可能となりました。企業社会の民主化に貢献したのです。多様な人材を活用できる仕組みを構築することが、企業の業績向上につながる。それがヘイの到達した哲学です。創業者が試行錯誤して、たどり着いた原理・哲学によって、今の我々の活動が成り立っています。その原理・哲学を新しい時代に、新しい社会のテーマに適用して、ヘイグループを発展させていくことが私の役割です。
もう一つは、日本企業、日本社会に貢献することです。グローバル化や情報革命の波が押し寄せる中で、ヘイグループの知見を生かして、日本企業に貢献できる領域が拡大しています。これまで申し上げたような日本企業が抱える数多くの課題をいかに解決するか。経営者として私が常々考えていることです。
最後に、人事向けサービスをはじめ、企業のサポート業務に携わる皆さまへメッセージをお願いいたします。
今、我々は時代の転換点にいます。その中で、日本企業固有の課題を解決しようとすると、モノの見方を変えることが必須となります。しかし、「モノの見方は本当に変えられるのですか?」という質問をよく受けます。苦労して変えようとしたけれど、変えられなかったという人が多いということです。しかし、今一度、変えられるという前提に立たなければなりません。実際、花王やザ・リッツカールトンのように、組織として変えることに成功している会社もあります。
例えば明治維新など、日本の長い歴史の中で、何かが大きく変わった出来事の裏には、「変えられる」と信じて、仲間と一緒に変革を成し遂げた人物がいたのです。それは現代でも同じです。大胆な仮説を置いて、検証するということを、1社だけではなく、皆で共に考える場を持ち、多くの人事部が協働していけば、社会自体の変革にもつながっていくように思います。
社名 | 株式会社 ヘイ コンサルティング グループ |
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本社所在地 | 東京都千代田区霞が関3-8-1虎の門三井ビル 10階 |
事業内容 | 人事・組織のコンサルティング アセスメント・能力開発支援ツール トレーニングプログラム 報酬データサービス 従業員意識調査 |
設立 | 1979年 |
日本を代表するHRソリューション業界の経営者に、企業理念、現在の取り組みや業界で働く後輩へのメッセージについてインタビューしました。