「逆指名」からの紹介ルート開拓
進めやすい場合もあれば、そうでもない場合も
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募集の有無を見きわめるところから
「では、A社とB社に確認をとっていただけないでしょうか。どちらの会社も前職と同業界の成長企業で、非常に注目しているんですが、ネットでいくら調べても求人情報がなくて困っていたんです」
Fさんは、前職の経験を生かして転職をしたいと、企業を逆指名した転職希望者だった。早速私はA社とB社について調べたが、二社とも、確かにネット上には求人募集が出ていないようだ。
いざ「逆指名」をもらっても、そこから苦戦することもある。新興企業や日本進出から日が浅い外資系企業の場合、求人の開拓の際にはまず、採用の権限を誰が持っているのかを確認するところから始まる。特に採用情報を表に出してない企業の場合、トップの頭の中には採用予定があっても、それ以外の社員は誰も知らない、ということもある。そのため、できるだけトップとコンタクトをとることが重要だ。
知人にあたってみると、たまたまA社の社長と知り合いだという。社長を紹介してもらい、直接Fさんのことを相談してみたが、A社ではしばらく採用を控えるそうで、紹介が難しいことが分かった。
次に、B社に連絡してみた。採用担当者がいるというので電話で相談してみたが、別の業務と兼務で採用を任されているらしく、とても忙しそうだ。
「うちを希望してくれている人材がいらっしゃるんですね。前職で○○のエンジニアをされていた方ですか。興味はありますよ。ただ、明日からまた出張なんです。とりあえず、先にFさんの資料をメールで送っておいてもらえますか」

「いえ、実はですね……」
人材の資料といえば個人情報の最たるものだ。それを見てもらうには、まず相手先企業を訪問し、会社の実態を確認して、紹介のためのしかるべき契約書や確認書を取り交わす必要がある。特に採用に慣れていない人が担当している場合は、基本的な人材紹介の説明から始めなくてはならない。
「そんな手間がかかるんだったら、すぐには厳しいかなあ」
そう言う担当者に、できるだけやり取りの負担を減らせるように協力すると約束し、何とかFさんを紹介できた。その後、Fさんは無事面接に合格し、B社に入社することになった。
なかなか門戸を開いてくれなかった企業でも、採用の実績ができると、紹介会社に協力的になってくれることは多い。これも、難しい新規開拓をやる気にさせてくれる理由の一つだ。
「新しい求人情報をお送りしたので、ぜひご紹介ください」
以前は募集の有無さえ秘密にして教えてくれなかった企業から、毎週のように求人依頼が送られてくるようになることも珍しくない。
非常にありがたいことだが、それが特殊な求人内容であれば、同時に「もししばらく紹介できなかったら、契約を見直されるかも」という、新たな心配が浮かび上がってくるのだった。
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