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第30回:「タレントマネジメント」の時代 (前編)
~ポストHRM・HCへ。いま、多様な人材の適切な配置・活用が求められている

解説:福田敦之(HRMプランナー/株式会社アール・ティー・エフ代表取締役)

「タレントマネジメント」――。日本では馴染みの薄い言葉かもしれないが、欧米では一般的な使われ方をしている。特にアメリカにおいては、優れた人材を社内で選抜し、育成していく手段・施策として活用されてきた。さらに現在では、包括的な人材戦略という方向性の下、従業員個々の能力やスキルを把握し、企業として必要な人材を「適材適所」で活用するという方向へとシフトしているようだ。この背景には、従業員の働き方や雇用形態の多様化、企業で求められるスキルや知識の複雑化・高度化などの内部要因に加え、ニーズが多様化し激変するマーケット環境、グローバル競争の激化などの外部要因があると考えられる。こうした状況は、日本企業でも同様だ。実際、これまでのように一部の人材がトップダウン方式で牽引するやり方は、昨今の変化の激しい経営環境に的確に対応しきれないだろう。何より、労働力人口の減少は待ったなしであり、組織に属するあらゆる人材が、適切な場所でその力を十二分に発揮することが必須となってきた。いわば全員野球、トータルフットボールによる「結果」が求められているのであり、だからこそ個に着目した「タレントマネジメント」なのである。まず前編では、タレントマネジメントが求められる背景と、その考え方について紹介していく。

タレントマネジメントが生まれてきた「背景」

■人材マネジメントに対する考え方の変化
バブル崩壊後の環境変化に伴い、近年、人材マネジメントのあり方は大きく変化してきた。思えば、右肩上がりの成長を実感できた時代、終身雇用や年功序列制度を保証する一方で、従業員には全面的な忠誠行動が求められた。そこでは、多分に組織と従業員が縛り・縛られる関係があった。しかし、変化が激しく、かつグローバルな競争へと環境が移り変わっていくに従い、企業には競争優位性の確保を目指した行動が、強く求められるようになってきた。このような状況に遭遇した結果、これまで日本企業を支えてきた終身雇用や年功序列を基軸とした人事戦略は、舵取りの方向を変えていった。

まず、多様な雇用形態からなる「人材ポートフォリオ」を組織内に構築、正社員はよりコアな業務へとシフトしていった。ベースとなる考え方は「自由と自己責任」となり、身分や人材要件に応じた機能的な貢献が求められていった。組織と従業員の関係は、縛り・縛られる関係から、お互いに選び・選ばれる関係へと変化していったのである。

このような関係下では、人材マネジメントのあり方も変わってくるのは当然である。そして、働く人の就労観や価値観も変わってきた。人材の流動化が進んでいくに従い、仕事や組織に対して、そこで働く意味や価値を見いだせるようなマネジメントや施策が提供できないと、優秀な人材ほど他の企業へ移っていく。そういう時代になってきた。

■「成果主義」が機能不全に…
一方で、年功的賃金体系から個々人の役割や仕事の成果・業績に応じて配分を決める「成果主義」の賃金体系が導入されていった。求められる成果を出した人には多くを報い、そうでない人には減額を強いるもので、厳しい経営環境の中で万人に報いることはできないが、一部のハイパフォーマーには多くを報いていこうとする発想である。一見、合理的な制度改革のように思えた。しかし、現実は必ずしもそうならなかった。

実際、成果を評価するといっても、その時々のマーケットの状況や顧客の特性に影響されることが多い。また、成果重視の方法では、仕事のプロセスや目に見えない努力というものが軽視されがちである。そんなことが積み重なっていった結果、働く人のモチベーションやチーム内のコミュニケーション、協働意識が下がってしまい、「不機嫌な職場」が当たり前の風景となっていった。同じようなことは、「年俸制」や「目標管理制度」などを導入した企業でも起きている。

結局、いくら合理的だからといって、精緻にルールや仕組みを作っても、運用する現場のマネジメントのあり様によって、その合理性や評価結果の納得性が大きく左右されてしまうのだ。そして、マネジメントに対する不信感が芽生えてくる…。成果主義を導入したものの、こうした悪循環を起こしているケースが少なくない。

■組織と人材の二極分化が進む
競争が激化した現代社会では、選ばれるものと選ばれないものとの二極化が加速してきた。組織側から言うと、従業員に対して働く意味や動機付けを提供できない場合は、マーケットでの競争力を失うだけでなく、優秀な人材の流出を招くことになる。

その理由は近年、企業と従業員の関係が相互選択的な関係へと移行しているにも拘らず、企業のマネジメントが追い付いていないからに他ならない。働く人は自分の「市場価値」や「キャリア形成」「能力発揮」「チャレンジの場」などを強く求めている。そうした意識の変化に対応した人材マネジメントを提供できていないのだ。現実的に、そうしたモチベーションファクターを提供できないと、優秀な人材の採用やリテンションができず、組織風土の沈滞、生産性の低下、業績低迷といった負のスパイラルに陥ってしまう。

逆に、働く人に対してその貢献に値する魅力ある仕事や機会を提供し、成長を実感させることのできている企業では、優秀な人材を確保し、マーケットでの競争優位性を保ち、先々の成長軌道を描いていく、という好循環を生み出している。この両者の違いは、非常に大きいものがある。

■タレントマネジメントの時代へ
前述したように、多くの企業が年功序列から成果主義へと転換したものの、その多くが「結果主義」に陥ったように思う。単純な結果主義ではどうしても処遇が「衛生要因」に偏ってしまい、従業員の意欲や満足度を引き出すことができない。「動機付け要因」が欠けているからだ。このような状況を何とかするために、個々の才能を引き出し、それを活性化させる職場づくりを行い、全社的な観点からより統合的、戦略的、組織横断的にマネジメントを進めていくことが求められるようになってきた。そうした中で、期待される結果を引き出す効果的な手法として注目されてきたのが、「タレントマネジメント(Talent Management)である。

そもそもタレントマネジメントは、個々の人材活用に力点を置いて、グローバルな視野で人材開発を進めていくものである。この10年あまりの間、マーケットの変化に迅速に対応できる人材をいかに見つけ出し、育成していくか。その実現のために、人材の開発を全社的に協力して推し進める機運が高まってきた。そして、人材活用・育成の場を部門内だけでなく、広く社内全体や関連会社、さらには海外の組織も含めたグローバルな視点で人材活用の機会を探そうとする動きが出てきたのである。

特にその対応は、グローバルに展開する企業で早かったように思う。グローバルな視点から、人材育成、人材開発の情報を一元化することで、人材活用の機会を増やしていった。以前は一部のハイパフォーマーをどう確保するかが注目されたタレントマネジメントだったが、今日では、組織にいる個々の能力を引き出し、組織全体の競争力の底上げを図っていくという方向に変わっていったのである。

人材の採用、選抜、適切な配置、リーダーの育成・開発、評価、報酬、後継者養成等の各種の取り組みを通して、職場の生産性を改善し、必要なスキルを持つ人材の意欲を増進させ、その適性を有効活用し、成果に結び付ける効果的なプロセスを確立することで、企業の継続的な発展を目指すこと

また、米国人材開発協会ASTDでは、

仕事の目標達成に必要な人材の採用、人材開発、人材活用を通じで、仕事をスムースに進めるための最適の職場風土、職場環境を構築する短期的/長期的、統合的な取り組み

としている。

■人的資源から、「人」重視という考え方へ
ところで日本企業を見ると、以前言われていた「人事労務管理」から「人的資源管理」(HRM)という考え方が一般的となってきた。人材の持つ、企業目標を達成するための資源としての役割が強調されてきたのだ。人材とは、企業の目的や戦略を達成するために供給される資源であると。そして、人材の資源としての価値も、企業に対する戦略達成への貢献度で決まってきた。

しかし、人材マネジメントを考えたとき、それだけではないと思う。人はモノや機械ではない。人は日々成長し、組織に対する貢献度や発揮する価値を絶えず変化させていく。単にその時々の戦略達成における資源ではなく、自ら長期的に価値を高め、成長していく。そういった意味でも、企業と人はともに投資し、開発していくパートナーという関係にあるといえるのではないか。

つまり、人的資源というよりも、人材マネジメントには「人」としての視点を持たなくてはならない、ということである。人は心を持ち、成長していくからこそ人なのである。今日の人材マネジメントには、そのような人としての心を大切にし、心のあり様を理解し、共感を示し、その成長を支援していくという視線がとても大切になってくると考える。

働く側からすれば、自分を単に資源としてではなく、人としての価値と尊厳を認めてくれて、それを高めてくれるための能力開発、機会提供をしてくれる企業でこそ、働く意欲が高まり、能力やスキルも磨かれ、パフォーマンスが向上していく。

一方で企業側も、個人の自立性やタレント性を重視した権限委譲型の組織へと移行してきている。これからの人材マネジメントは、そうした人の心を理解し、さらには成長に対して支援し、投資していくという考え方を持って、戦略を達成していく方向に進んでいくことだろう。タレントマネジメントとは、このような「人」重視の考え方の延長上に出てきたものと言える。

タレントマネジメントの目指すもの

■人材に関する取り組みを一体化、全社的な取り組みに
今まで、タレントという言葉は、優れた才能を持つ限られた人を指す傾向が強かったが、最近のタレントマネジメントは「全ての人、一人ひとりが才能、個性、強みを持ったタレントである」という意味を強調している。全ての人材をタレントとみなし、人材要件を“見える化”して情報を共有、その人材の持つ能力を最大限に活用することを目指しているのである。そのため、タレントマネジメントのカバーする領域は、人材の採用から始まり、適正な配置・配属、能力開発・人材育成、評価、昇進・昇格、リーダーの育成など、非常に幅広くに及ぶ。

ポイントは、これまで各部門がバラバラな方針で行ってきた人材に対する取り組みを、一体化していこうとすることである。会社の目標を達成するためには、何よりも全社的に実施する取り組みにしていく必要性があるからだ。従業員一人ひとりを“見える化”し、その情報を共有することで、人材の活用と育成を連動させていく。タレントを全社的に活用する風土・文化を醸成し、支援していくのである。そのためにも、組織の壁を低くし、共通の目標達成に邁進する仕組みを構築していくことが重要である。

タレントマネジメントが目指すもの(個に着目した人材活用・育成サイクルの実現)

■一人ひとりに着目したアプローチが、企業の「人材価値」を高めていく
タレントマネジメントを実践し、人事・人材開発の役割を統合したシステムを構築するためには、まず、タレントの採用や育成などに対する「方針」を明らかにすることが不可欠である。いくらシステムや施策を整備しても、それを活用するのは働く一人ひとりである。それには、組織にいる人が皆、長期的な視点からタレントを育てていくことに興味・関心を持ち、行動に移していく風土・文化も同時に育んでいくことが大切である。単にシステムや施策を構築するだけでなく、前述したように「人」という視点に立脚し、戦略や組織文化の形成の観点から取り組む姿勢を忘れてはならない。

これからの組織の成長を実現するためには、個人の関心や希望を尊重し、個人の強みを活かし合うタレント活用文化を醸成し、組織と従業員の絆・関係性を高めていくこと(エンゲージメント)が、より重要になってくると思われる。

だからこそ、個人を詳しく知り、データベース化、可視化していく。そのプロセスの中から各人の持つ能力・スキルをはじめ、アウトプットされた成果や業績、さらにはその影響力や可能性までを含めた内容を皆で共有していく。こうした一人ひとりに着目したアプローチこそが、企業の人材価値を高めていく。

このようなタレントマネジメントを、具体的にどのように進めていくかについては、「後編」で詳しく述べていく。

「後編」に続く

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「HRペディア「人事辞典」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

(後編に続く)
この記事ジャンル 組織開発手法

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