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日本の人事部 HRアカデミー2019 夏期講座従業員の「仕事」と「育児」の両立支援
~いま、人事が取り組むべきこと~

日本の人事部「HRアカデミー2019」夏期講座「従業員の「仕事」と「育児」の両立支援~いま、人事が取り組むべきこと~」

従業員の仕事と育児の両立を支援するうえで欠かせない「育児休業制度」。しかし、その利用状況を見ると、男女間に大きなギャップが存在する。女性の育休取得率が80%台であるのに対して、男性は10%に満たないのだ。男性が育休を取得しないのは、「業務の多忙」「育休を取得しづらい雰囲気」など、職場環境にまつわる要因が大きいという調査結果がある。「夫婦共同で子育てに取り組める環境づくり」が強く求められている今、人事が取り組むべきことは何なのか。法政大学 キャリアデザイン学部 教授の坂爪洋美氏を講師に迎え、参加者全員で議論した。

Profile
坂爪 洋美氏
法政大学 キャリアデザイン学部 教授

(さかづめ・ひろみ)人材ビジネス業に従事後、和光大学現代人間学部を経て、2015年4月より現職。2001年慶應義塾大学大学院経営管理研究科単位取得退学、博士(経営学)。専門は産業・組織心理学、人材マネジメント論。ダイバーシティの中でも、特に女性のキャリア形成ならびにワーク・ライフ・バランス推進における管理職の役割について研究を進める。

社員の育児を支援することで企業は何を得るのか

さまざまな角度から考えることができる、今回のテーマ。まずは「仕事と育児の両立に関する、自社の課題とは何か」というテーマで、参加者がテーブルごとに意見交換を行うアイスブレークが行われた。

冒頭、坂爪氏は「企業が行う育児支援」について考える際の一つの視点を示した。

「社員の育児を支援することによって、企業にどんな『良いこと』があるのか。このテーマについて考える際に、大変重要なことです。たとえば中小企業では採用が厳しいので、育児支援によって女性に活躍してもらう。大変シンプルですが、わかりやすい例です。育児支援によって得られる企業のメリットを人事の皆さんが具体的に発信していくことが、育児支援に経営層や管理職を巻き込んでいくうえで大変重要です」

この日は、二つの角度からグループワークを行った。

「まず、現状の育児支援策と女性のキャリアの関係にどのような課題があるのかを考えます。もう一つは、男性の育児参加に関する課題です。女性だけが育児を担う状況が変わらないと、日本全体で働き方の柔軟性を高めていくことはできません。そのため、男性の育児参加は大きな課題といえます」

グループワークに先立って、データによる現状の共有が行われた。「第一子出産後に就業を継続する女性の割合」を見ると、2010年以降は全体の53.1%が仕事を続けており、正社員に限ると69.1%となっていることがわかる。「育児休業取得率」は、2018年には女性が82.2%で、この10年ほどはほぼ横ばいの状態が続いている。一方、男性の育児休業取得率は6.16%と低く、取得期間も5日未満と短い。女性の育休が長期化しているのと対照的だ。

「このデータからは、男女で育休取得率だけでなく、取得期間の差も固定化しつつあることがわかります。つまり、育児の負担が女性に偏っているのです。では、なぜ男性の育休は短いのでしょうか。子育て支援に関する認証を得ようとする場合、男性社員の育休取得が条件になることがあります。そこで、企業としては『短くてもいいから』と取得100%を目指すケースがあるのではないでしょうか。認証を目指すのはそれぞれの企業の判断ですし、育休の取得自体は良いことです。ただし、形骸化が進む危険性も意識しておく必要があります」

続いて、子育て中の女性社員を支援する「短時間勤務制度」の利用データが示された。

「利用期間でいちばん多いのは『子どもが3歳になるまで』ですが、直近では『6歳まで』利用する人の割合が増えています。制度を長く利用できる選択肢があるのはいいことですが、あまり長いとその間は仕事ができず、『女性は家事・育児』という役割の固定化につながりかねません。データを見ても、育児の負担が女性に大きく偏っていることは明らかです。2019年の厚生労働省の研究会でも、育児負担の女性への偏りを認めた上で、男性の育児参加を中心に、男性を含めて仕事と家庭の両立を実現させる取り組みが必要だ、という意見が示されました」

企業の育児支援策を細かく見ていくと、有期雇用の女性は正社員の女性よりも、育休の取得率が低い。また、企業規模別に見ると、中小企業よりも大企業の方が育休を取得しやすい、というデータもある。また、短時間勤務については、フルタイム勤務者が感じる「不公平感」や短時間勤務者の「肩身の狭さ」などが報告されていた。

「特に中小企業の場合、育休や短時間勤務中の仕事をカバーできる代替要員を持つ余裕がなく、誰かがカバーしなければならないことが職場の中に不公平感を生みだし、育休取得者の肩身の狭さにつながっています。もちろん、バッファとなる要員を機動的に運用することで育休や短時間勤務を円滑に利用できるよう工夫している企業もありますが、そうなるとますます『そこまで頑張って育児を支援することで、企業にどんな良いことがあるのか』を考えなければなりません」

坂爪 洋美氏(法政大学 キャリアデザイン学部 教授)

仕事と育児を両立している女性をめぐる課題とは

坂爪氏は一つ目の課題として、育児をしながら働く女性の「キャリアのあり方」を挙げた。

社員は仕事の結果によって、評価される。しかし「育児で頑張っている女性」に対しては、仕事の結果よりも「育児で頑張っていること」の方が評価されてしまうことがある。つまり、評価軸がぶれているケースがあるのではないかと坂爪氏はいう。

「配慮される側は、その方が楽かもしれません。しかし、企業は育休や時短勤務で人が足りなくなり、代わりの要員を手配することについて、『何のためなのか』をもっと考える必要があります。女性の戦力化が目的なら、サポートしながら育成する、という視点が必要です」

現在管理職になっている女性には、時短勤務などの育児支援策をあまり利用せず、男性と肩を並べてバリバリ働くことで昇格していった人が多い。一方、子育てを重視してきた女性は、短時間勤務などによってキャリア形成が中断し、「マミートラック」といわれる、比較的楽なポジションで仕事を継続していることが多い。

「このように、二極化していていることは問題です。育児支援策を積極的に利用しながら、将来的に管理職などを視野に入れた活躍ができる、第三の道があってもいいと思います。企業にとっても、成長して活躍できる人材が増えるのは望ましいことでしょう」

坂爪 洋美氏(法政大学 キャリアデザイン学部 教授)

このように働き方を多様化していくには、人事の関与が重要になってくる。

「配慮と同時に、成長機会を提供していくべきです。配慮して大事にしすぎると、『好意的差別』になってしまいます。育児中の女性に対して、成長につながるような的確な指導をしていない管理職がいるのなら、人事は注意しなければいけません」

フルタイム勤務と短時間勤務の女性社員への「育成期待」と「育成行動」を比較した調査がある。その結果を見ると、フルタイムの女性に対しては「将来、管理職やリーダーになりそう」「会社を担う存在になりそう」「中長期的なキャリアが展望できる」といった期待があり、「キャリア相談、アドバイス」「新しい仕事、やりがいのある仕事へのチャレンジを促す」「仕事の質を厳しくチェックする」といった支援がより積極的に行われている。しかし、時短勤務の女性に対しては、そういった期待や支援が明らかに少ない。

「ワーク・ライフ・バランスへの配慮と引き換えに、成長機会が失われています。人は期待されて成長しますから、最初から『自分は期待されてない』と感じると、本来伸びるものも伸びなくなり、機会損失になります」

では、なぜ管理職は育児支援策利用中の女性に期待しなくなるのか、また、指導することに前向きではなくなるのか。坂爪氏は、「アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)」が作用している可能性があるという。子育て中の女性は仕事より家庭を重視する、昇進を望まないといった先入観で判断している、というのだ。

「思い込みを修正するには、対話が不可欠です。しかし実際は、管理職と時短勤務の女性社員が話す機会は少ないでしょう。特に近年は、管理職も働き方改革で長時間労働を抑制されています。部下と対話する時間は優先順位が低いと考えられ、真っ先に削られているのではないでしょうか」

◆グループワークI

ここまでの坂爪氏のプレゼンテーションを受けて、各テーブルで参加者によるグループワークが行われた。終了後、いくつかのグループが話し合った内容を発表し、全体で共有した。

テーブル(1):女性従業員それぞれの意識の違いが大きく、現場でのフォローの難しさにつながっている、という声がありました。

坂爪氏:一人ひとりの意識が異なることは、当然あるでしょう。ただ、その意識自体も企業や社会全体の空気によってつくられているかもしれません。会社からの働きかけやロールモデルの存在によって、変わっていく可能性はあります。

テーブル(2):過大な配慮をしてしまう背景には、コミュニケーション不足があるように感じました。キャリアプランを自ら宣言できるような環境であれば、周囲の支持を得やすいと思います。

坂爪氏:女性側にも自分自身のことを話すスキルが必要ですね。上司に引き出してほしい、というのは甘えです。自分はどうしていきたいのかを考え、伝えていくことが大変重要です。

坂爪 洋美氏(法政大学 キャリアデザイン学部 教授)

男性の子育て参加に関する課題とは

続いて、男性の子育て参加に関する問題が取り上げられた。

「諸外国と比較すると、日本の男性は子育てへの参加が低い水準にあります。家事を行う時間は非常に短く、ほとんどの家事・育児に関する負担は女性に偏っているのが特徴です。これは、共働き家庭でも変わりません」

では、なぜ日本の男性は家事や育児に参加しないのか。坂爪氏は、まず「長時間労働」の問題があるという。さらに、職場には「育休を取得しにくい空気」がある。その背景には「育休を取るのは理想的な従業員ではない」という価値観があると考えられる。災害のときでも会社に行かなければいけない、と思ってしまう同調圧力のようなものだ。「男性の育休取得が、こうした日本の社会や職場の風土を変え、働き方の柔軟性を高める一つのきっかけになる可能性がある」と坂爪氏はいう。ただし、男性が育休を取ればそれでいい、というものではない。

「最終的には、男性が家事・育児の『戦力』にならなければ意味がありません。それができてはじめて女性の負担が減って、もっと女性が働きやすくなり、キャリア形成につながるからです。社会全体の生産性も高まるはずです」

その変化は少しずつだが見えはじめている。おそらく50年後には相当な変化が起こり、女性の家事・育児負担が軽減されるだけでなく、男性の働き方の柔軟性も高まっているだろう。

「ただ、50年はかなり先の話です。もっとドライブをかけていくためには、人事の頑張りが重要です。男性が家事・育児に取り組んだ方が女性の戦力化が促進され、会社業績も向上するというロジックにどこまで信ぴょう性を持たせられるか。社内の男女比の違いによって会社ごとに温度差はあるでしょうが、とても大事なポイントです」

では、男性が家事・育児の「戦力」となるためには何が必要か。男性の育休取得促進に取り組む「イクメンプロジェクト」で表彰されているような企業では、組織風土を変えること、管理職の意識とかかわり方を変えることに取り組んでいるという。

「長時間労働の抑制、キャリアについて上司とビジョンを共有すること、働く時間・場所の柔軟性を高めることなどです。男性に育休を義務化してはどうか、という議論もあります。なぜ男性だけなのかと思うかもしれませんが、男性の方が取りにくいという現実があるなら、変えていくべきでしょう。

もう一つ重要なのは、男性が実際にできる家事は何か、ということです。せっかく育休を取ったのに、ただのんびりと過ごしているだけでは意味がありません。ただ、企業が男性従業員の家事力向上まで支援するべきなのかというと、疑問もあります」

ここで、いくつかの企業が男性従業員の家事・育児力向上をサポートしている事例が紹介された。また、その情報を踏まえてグループワークが行われた。

坂爪 洋美氏(法政大学 キャリアデザイン学部 教授)

◆グループワークII

テーブル(3):育休を取得する人は「変わった人」だと見られてしまうような状況がまだあります。しかし、実際に取得した人からは「育休を経験したことで幅が広がった、成長できた」というポジティブな意見を聞いています。

坂爪氏:そういう意味でも、男性が家事能力を身につけることは重要です。本来、企業がやるべきことではないかもしれませんが、現実的には、企業しかできるところがないのではないかと思います。

テーブル(4):企業、ひいては日本社会の文化が変わらないとどうしようもないことではないでしょうか。一社だけでなく、社会全体での取り組みが必要だと考えます。

坂爪氏:会社を超えた社会の力が大きいのは間違いないですね。ただ、一社だけでも「こういう取り組みをしている」というのは対外的なアピールになります。採用が難しい中、求職者から選ばれる会社になるためにも意味があることだと思います。

「仕事と育児の両立」だけでなく「キャリア」も支援していく

坂爪 洋美氏(法政大学 キャリアデザイン学部 教授)

「ヨーロッパには、『ダイバーシティ・インクルージョン』から『インクルージョン・アンド・エンゲージメント』へと考え方を変化させている企業もあります。ダイバーシティだけでは成果につながらない、仕事にコミットして成果を出していくエンゲージメントがないと意味がない、ということです。この考え方を育児支援の問題に当てはめると、特に女性についてはインクルージョンにとどまっていて、エンゲージメントの側面が弱いように感じます。働き方の違いを認めるだけでなく、お互いに肯定していく視点が必要です。

また、男性が長期の育休を取得しても、成長機会が損なわれないような組織環境をつくっていくことも重要ですが、そうなると自律的に働いて自分の意思で休みを取る人、いわば、企業側から見るとわがままな人が増えるかもしれません。今後は、そういった人たちをうまくマネジメントすることが企業にとって重要です。仕事と育児の両立だけでなく、キャリアも支援するのです。長期的な変化を見通しながら、育児支援という問題を考えていかなければなりません」


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