仕事探しにおける月給検索額の動向を調査
仕事探しの際に検索する月給額は、2024年9月時点で平均35万円以上、3年間で8.2%増加
インフレーションの影響で、求職者が検索する月給は全体的に上昇傾向
世界No.1求人サイト「Indeed(インディード)」の日本法人であるIndeed Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:大八木 紘之)は、国際的なエコノミックリサーチ機関であるIndeed Hiring Labのエコノミスト 青木 雄介によるレポート「高まる賃金期待:インフレ下で求職者は月給35万円以上を検索」(11月6日公開)の主要ポイントについてまとめました。
Indeedで求職者が仕事探しをする際、職種や雇用形態のみならず、具体的な賃金額(時給や月給、年収額)をキーワードとした仕事検索も行われています。これらの検索賃金のデータを分析することで、一般的に求職者が希望する賃金の水準がどの程度かを把握することができます。
求職者が希望する賃金額である検索賃金は、労働市場の状態やインフレーションの動向を理解する上で重要です。2024年2月にIndeed Hiring Labが公開したレポート「仕事探しにおける検索時給動向を調査」ではアルバイトやパートタイム労働者において主要な給与体系となる「時給」にフォーカスし、仕事を探す際に求職者が検索する時給額(検索時給)の動向を調査しました。そして今回、Indeed Hiring Labでは、正社員・フルタイム労働者において主要な給与体系である「月給」に着目し、Indeedにおいて検索されている月給額(検索月給)について調査分析を実施、動向をまとめたレポートを公開しました。
※本プレスリリースは、Indeed Hiring Lab日本サイトの「高まる賃金期待:インフレ下で求職者は月給35万円以上を検索」(11月6日公開)を要約したものです。
◾️本レポートの主要ポイント
- 仕事を探す際に求職者が検索する月給額(検索月給)は上昇傾向
Indeed上で検索される月給額(検索月給)は、2021年9月から2024年9月にかけて、平均328,123円から355,032円と8.2%(26,909円)上昇。 - 検索月給はインフレーションの影響を受けており、今後も連動する可能性が高い
2022年以降、物価上昇と求職者の賃金期待の上昇も同じタイミングで顕著になってきていることから、インフレーションと検索月給の上昇は比例していると言える。今後の検索月給上昇率は、インフレーションの規模に左右されるが、インフレーションが2%以上で続く限り、検索月給の上昇率も物価と連動する可能性が高いと予想される。
◾️Indeed Hiring Labエコノミスト 青木 雄介 コメント
今回の分析の結果、検索月給の上昇率は物価上昇率と密接に関連しており、物価上昇タイミングや規模に連動して変化していると考えられます。特に、物価がさらに上昇する局面や、インフレーションが2%以上で推移する場合には、賃金上昇期待も高まりやすい傾向にあるため、今後も検索賃金とインフレの動きが連動する可能性が高いでしょう。
一方、仮に今後物価上昇率が鈍化し1%以下等の低い水準におさまった場合には、検索月給上昇率は物価上昇率と同様に鈍化する可能性もある一方で、物価上昇率との関係性が薄れ、インフレーションとは別の理由(例:仕事の成果における個人の自己評価、関心のある職種における市場価値の向上など)によってインフレーションとは異なる動きを見せる可能性も十分ありえます。 しかし、今後エネルギー価格が政策反動で上昇する見込み等を考えると、今後も2%程度のインフレーションが続くと予想されます。そのため、全体的には、今後も検索月給上昇率が物価上昇率と連動し続ける可能性が高そうです。
◾️本レポートの詳細(要約)
・仕事を探す際に求職者が検索する月給額(検索月給)は上昇傾向。2024年9月時点で平均35万5千円、3年間で8.2%上昇
2024年9月にIndeed上で検索された月給(検索月給)の加重平均は355,032円で、2021年9月の328,123円から8.2%(26,909円)上昇しています。2024年8月は358,636円とさらに高い値を示しており、対2021年8月比で10.2%の上昇でした。この上昇は、一般労働者の所定内給与(平均)1の上昇率6.2%(2021年8月:313,184円、2024年8月(最新月):332,632円)を上回るものであり、求職者がより高い賃金を求めていることを示しています。
1:厚生労働省「毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査):結果の概要」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1a.html)
・検索月給はインフレーションの影響を受けており、今後も連動する可能性が高い
本分析の結果、検索月給の上昇率は、インフレーションと強く連動する傾向にあることがわかりました。
消費者物価指数(CPI)と検索月給の上昇率(前年同月比3ヶ月移動平均)を比較すると、特に2021年以降、両者が重なるように推移しています。
消費者物価指数の推移を見ると、2022年より前はデフレの状況にあり、2022年からようやく物価が上昇、2023年1月に4.3%でピークに達しました。その後は緩やかに鈍化し、2023年には多くの月で3%台を維持、2024年9月時点で2.5%となっています。
検索月給の上昇率の推移を見ると、消費者物価指数の推移と同様の動きをしていることがわかります。検索月給の上昇率は、2022年から顕著に上昇し、2022年後半から2023年12月までは多くの月で3%台で推移しました。2024年に入ってからは上昇率が鈍化し、2%前後で推移するケースが増え、2024年9月時点で1.8%を示しています。
理論的には、賃金への期待の高さは、労働市場の逼迫程度やインフレーションだけではなく、求職者自身のパフォーマンスやスキルの自己評価等とも関係すると考えられるため、検索月給が1つの要素のみと強く連動するとは限りません。しかし、本分析結果からは、求職者の賃金期待は、インフレーションに即時に反応しやすいということが分かります。
なお、一般労働者の所定内給与における名目賃金上昇率は上昇傾向ではあるものの、消費者物価指数(CPI)や検索賃金の上昇率からは遅れてピークを迎えつつあります。実際の給与には、企業の意思決定が影響するため、上昇率の水準やタイミングに差が出るのは自然なことです。重要なことは、求職者の賃金期待の方が、インフレーションに即時に反応しやすいという点です。
◾️調査概要
- 調査・分析主体:Indeed Hiring Lab
- 調査・分析対象期間:2019年1月〜2024年9月
- 調査・分析方法:
【検索月給の加重平均値の算定方法】1万円刻みの値を賃金帯として、賃金帯ごとに検索数及び賃金検索数全体に占めるシェアを計算。各賃金帯と上記シェアの掛け合わせで算出。
※本分析では、日本で、Indeed上で検索された賃金に関連するキーワードのうち、月給のみの検索を分析対象としており、時給や年収の検索は分析対象外である。
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(Indeed Japan株式会社 /11月7日発表・同社プレスリリースより転載)