21世紀型スキル
21世紀型スキルとは?
「21世紀型スキル」とは、世界の教育関係者らが立ち上げた国際団体「ATC21s」(The Assessment and Teaching of 21st-Century Skills=21世紀型スキル効果測定プロジェクト)が提唱する概念で、これからのグローバル社会を生き抜くために求められる一般的な能力を指します。批判的思考力、問題解決能力、コミュニケーション能力、コラボレーション能力、情報リテラシーなど、次代を担う人材が身に付けるべきスキルを規定したもので、各国政府も知識重視の伝統的な教育から21世紀型スキルを養い伸ばす教育への転換に取り組み始めています。
65%の子供が“いまはない仕事”に就く
職業が安定化しない時代に必要な能力とは
「今年小学校に入学した子どもたちが大学を卒業するとき、その65%が現在は存在していない職業に就くだろう」――そう予測するのは、米デューク大学のキャシー・デビッドソン教授です。2011年8月にニューヨークタイムズ紙のインタビューで語り、注目を集めました。
もちろん65%という数字は米国を対象にした予測であり、そのまま日本にあてはまるものではありません。しかし、情報化やグローバル化など経営環境の劇的な変化を受けて、企業がイノベーションを進めるたびに新しい業種・業態が生まれ、既存の専門職は新しい仕事に置き換えられていきます。東京大学大学院の山内祐平准教授は、すでに日本に存在する「ソーシャルメディア・コーディネーター」や「情報セキュリティマネージャー」といった職業も10年前にはなかったことを指摘した上で、「同じように2030年には、現時点で想像もしないような職業が次々と生まれているはず」だと予測します。
どんな仕事が新しく生まれ、逆に消えていくのかは見通せませんが、雇用の前提となる専門性が変化しやすくなり、職業が一生働き続けられるような固定的なものでなくなるとしたら、そのための能力やスキルを習得する教育システムも、当然、パラダイムシフトを迫られることになるでしょう。
社会の変化に適応して21世紀のグローバル社会を生き抜いていくために、若い人材に求められる能力を整理したのが「21世紀型スキル」の考え方です。いまはまだ存在しない職業への準備であり、情報化によって生まれる“新しい職業”に適した“新しい教育”――それが「21世紀型スキル」であると、前出の山内准教授は言います。
米、豪など6ヵ国の政府と教育・産業界が協働する「ATC21s」では、21世紀型スキルとして挙げられる能力を以下の四つのカテゴリーに分けて定義しています。
■思考の方法 ―― 創造性、批判的思考、問題解決、意志決定と学習
■仕事の方法 ―― コミュニケーションと協働
■学習ツール ―― 情報通信技術(ICT)と情報リテラシー
■社会生活 ―― 市民性、生活と職業、個人的および社会的責任
こうした定義から浮かび上がる人材像について、山内准教授は「ICTを活用しながら高度な思考をフルに発揮し、世界の課題をイノベーションによって解決していく“グローバルでタフな”ビジネスパーソンやNGO関係者の姿が透けて見える」と述べています。
用語の基本的な意味、具体的な業務に関する解説や事例などが豊富に掲載されています。掲載用語数は1,400以上、毎月新しい用語を掲載。基礎知識の習得に、課題解決のヒントに、すべてのビジネスパーソンをサポートする人事辞典です。