【ヨミ】ホールシステム アプローチ ホールシステム・アプローチ

「ホールシステム・アプローチ」とは、特定の課題やテーマに関係するすべてのステークホルダーあるいはその代表が組織や分野の壁を超えて一堂に会し、大規模なダイアローグ(対話)によって創造的な意思決定やアクションプランを生み出していく一連の方法論の総称です。従来のトップダウンやボトムアップに替わる、組織マネジメントの第三の手法として注目されています。
(2011/8/12掲載)

ホールシステム・アプローチのケーススタディ

関係者を一堂に集めて問題の全体像を再現
利害を超えたオープンな「対話」が未来を創る

最近の若手には、自ら主体的に考えて行動するアグレッシブな人材や、率先して新しいテーマにチャレンジしたり、チームを引っ張ったりするリーダータイプが少なくなったとよく言われますが、では単なる“指示待ち族”ばかりかというと、そうでもありません。「言われたからやる」という機械的な行動パターンより、自分自身が納得しないと動かないし、動けないというタイプが少なくないのです。彼らにとっては、納得感や腹落ち感こそが最も重要なモチベーション。いいかえれば、もはやトップやマネジャーのツルのひと声で、組織全体が一斉に動き出すような時代ではないということかもしれません。

仕事を取り巻く環境も多様化・複雑化の一途を辿っています。かつてのように業務や意思決定のシステムが自社内、自組織内だけで完結することはなく、組織や分野、立場を超えて、さまざまなステークホルダーが相互に関わり合っているのが普通でしょう。他のセクションとの連携や顧客、取引先、消費者との関係など、内外を十分に調整しながら進めないと何事もうまくいきません。それでいて、組織としてのアクションや対応にはスピードも求められるのです。

こうした流れを背景に、できるだけ多くのステークホルダーが一堂に集まり、自分たちの課題や目指したい未来について話し合う、「ホールシステム・アプローチ」と呼ばれる大規模な対話による組織変革のアプローチが注目されるようになってきました。あらゆる関係者が揃い、テーマを取り巻くシステムの全体=“ホールシステム”の縮図をその場に再現することによって、話し合いに多様な視点や価値観が反映され、合意や施策へのコミットメントも引き出しやすくなるのです。

ホールシステム・アプローチの一連の手法は、1980年代から90年代半ばにかけてアメリカで開発されました。主な具体的手法としては次のようなものが挙げられます。いずれも、組織を機械ではなく生き物として捉える生命体組織論に基づき、人や組織が有する自己組織化能力を最大限に発揮させようとするところに共通の基盤があります。

 (1) ワールド・カフェ
“カフェ”にいるようなリラックスした雰囲気の中、参加者が少人数に分かれたテーブルで自由に対話を行い、ときどき他のテーブルとメンバーをシャッフルしながら話し合いを発展させていくこと。相互理解を深め、集合知を創出していく組織開発の手法。その考え方や方法論は世界中に普及し、ビジネスや市民活動、まちづくり、教育などさまざまな分野で活用が進められている

 (2) OST(オープンスペース・テクノロジ―)
あるテーマについて関心や情熱を持つ関係者が一堂に会し、解決したい問題や議論したい課題を自ら提案した上で、自主的にスケジュールを調整して話し合いを進める会議の手法。参加者の当事者意識と自己組織化能力を最大限に引き出すことにより、全員が納得できる合意への到達を目指す。最大1,500人以上が参加して行われた、大規模な事例もある

(3) AI (アプリシエイティブ・ インクワイアリー)
ポジティブな面に着目した質問や継続的な対話によって、個人や組織が潜在的に持つ強みや真価を探求・共有し、それらの可能性を組織全体として最大限に拡大させるプロセス。肯定的な言葉遣いやイメージ、ストーリーテリングを重視する

(4) フューチャー・サーチ
自主参加が基本のOSTと異なり、課題を共有しながら利害が異なるステークホルダーをすべて招くのが大前提。過去と現在の状況について認識を共有した上で、全員が望む未来のビジョンを確認、協力関係を生み出し、参加者が自己の責任においてアクションプランの作成を行うファシリテーション手法

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