ポイント制退職金制度
ポイント制退職金制度とは?
在職中の企業への貢献度に応じて、1年ごとにポイントを付与し、これを累積したものにポイント単価を掛け合わせて、退職金額を算出する制度のことです。賞与と同じように、退職金に報酬(成果の見返り)機能を持たせる点が特徴です。
会社への貢献度を退職金に反映
社員の意欲を引き出す育成効果も
既存の退職金制度は基本給・勤続年数との連動型が一般的で、長期勤続者優遇の制度になっています。このため、従業員にとっては同じ企業に勤務し続けることが有利とされてきました。
しかし、終身雇用制が崩壊して、雇用の流動化が始まっています。これから企業が優秀な中途採用者を受け入れるためには、能力のある者に対しては勤続年数のハンディが大きくならず、さらに企業への貢献度に比例して支給額が増えるように、退職金制度の仕組みを変える必要があります。そうした中で各企業が導入し始めたのが「ポイント制退職金制度」です。
京浜急行電鉄は昨年9月、関東の私鉄大手としては初めて、在籍する満57歳未満の全社員約3900人を対象にポイント制退職金制度を導入しました。同社は「より在職期間中の貢献度を反映できる仕組みであり、毎期のポイント付与数と、その時点までの累計ポイント数が社員に通知されるため、社員も明確に(企業への貢献度を)把握することができる」(報道発表資料)と導入理由を説明しています。
また、通信大手のNECも厚生年金基金の代行返上に合わせてポイント制年金制度を導入しました。累積ポイントに単価(1000円)を乗じて退職金額を算出する方式で、退職金合計額の約半分が企業年金に移行される仕組みです。
ポイント制退職金制度は、従業員が自らの位置を正確に把握し、将来の目標をしっかりと見据えることで、本人の意欲・能力を最大限に引き出す「人材育成効果」もあると言われています。ただし、この制度を導入するには、賃金に職能資格制度などの等級制が採用されていることや、人事考課が能力主義的に行われていることなどが必要不可欠です。人事考課が年功的に行われていると、ポイント制退職金制度も年功的にならざるを得ません。
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