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HR業界TOPインタビュー「人・組織」ビジネスを牽引する希代の経営者

SAPジャパン株式会社 代表取締役社長

福田 譲さん

ソリューション協創型ビジネスを新たな柱に
グローカリゼーションのスイッチを押し続けていく

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SAPジャパン株式会社 代表取締役社長 福田 譲さん

SAPジャパン株式会社は、ERP(基幹業務統合システム)の世界ナンバーワン企業として知られるグローバルカンパニー「SAP」の日本法人。その先頭に立つのが、2014年に30代の若さで代表取締役社長に就任した福田譲さんです。年齢もさることながら、同社に新卒入社した「生え抜き」であるというその経歴は、転職によってキャリアアップしていくケースが多い外資系IT企業の経営陣としては、ある意味で異色といえるもの。入社以来、ハイパフォーマーとして存在感を示し、営業部門のトップに立っていた頃も「英語はあまり得意ではなく、最初の10年は英語から逃げていた」といいます。そんな福田さんがグローバルカンパニーで働くことの意義を再認識し、現在はSAPジャパンの「グローカリゼーション」を強力に推進することになった背景には何があったのでしょうか。社長就任時に打ち出した施策の現状、これから取り組んでいきたいテーマ、さらには人事や人事関連サービスに対する独自の視点なども交え、多様性に富んだ組織を率いる若きリーダーの経営への思いを語っていただきました。

プロフィール

福田 譲(ふくだ・ゆずる)●1997年4月にSAPジャパンに入社、プロセス製造業の大手顧客を担当し、ERP(基幹業務統合システム)導入による業務改革(BPR)・経営改革・情報化の提案活動に従事。2002年4月以降、素材・エネルギー業界担当、流通業界担当、中堅企業担当の営業部⻑を歴任、2007年に新規事業を統括するバイスプレジデントに就任し、ビジネスインテリジェンス(BI)、経営管理ソリューション(EPM)事業や、SAPが買収したビジネスオブジェクツ社日本法人の統合を指揮。2011年から、特定戦略顧客、流通・サービス業、通信・メディア業、プロセス製造業等の営業部門を歴任し、2014年7月に代表取締役社長に就任。早稲田大学教育学部卒業、INSEAD Regional Management Development Program 修了、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應大学ビジネス・スクール)高等経営学講座修了。

グローバルカンパニーでの経験と二つの大学院で学びなおしたこと

―― 福田社長は新卒でSAPジャパンに入社されていますが、入社を決めた理由とは何だったのでしょうか。

もともと、特にITに興味があったわけではなく、いたって普通の学生生活を楽しく送っていました。就職活動を始めて、OB訪問や会社説明会などでいろんな人の話を聞くうちに、何でもいいから「世界一」に関わる仕事がしたいと思うようになりました。私は性分としてとにかく「真っ直ぐ」が好きなんです。子供の名前にも真っ直ぐを表す漢字をつけたくらい。世界で二番、三番、あるいは日本では一番とか、そういうことではなく、嘘いつわりのない本当の「世界一」に携われる仕事がしたいと思った。その一つがSAPだったんです。IT業界には詳しくはありませんでしたが、世界一の会社ということでご縁がありました。

もう一つのきっかけとしては、大学3年生の春に外資系企業でインターンを経験したこともあるかもしれません。日本企業でもアルバイトをしたことがありましたが、比較するとグローバルカンパニーのほうが若い人たちがいきいきと働いているし、企業風土も闊達(かったつ)。そんな印象がありました。あまり堅苦しい上下関係が好きではなかったこともあって、「外資系企業、グローバルカンパニーっていいな」と漠然と思っていましたね。

―― 入社後は営業部に配属され、めざましい業績をあげられます。ハイパフォーマンスの秘訣は何だったのでしょうか。

入社した時には「とにかく5年間、必死に頑張ってみよう」と決めました。それまでは要領よく学生生活をエンジョイしていたわけですが、就職をきっかけにとにかく真剣にやりきろうと心に決めました。そこで最初の「スイッチ」が入ったという感じでしょうか。

そんな私にとってラッキーだったのは、SAPがIT業界では異色の企業だったことでした。一般的なIT企業は「お客様の求めるものをつくる」のが普通。しかし、SAPは業種別・業務別に、「このような課題があるのなら、こんなふうに業務や経営のやり方を変えましょう、それによってこういった効果を出しましょう」というものがパッケージになっている。いわゆる御用聞きではなく、課題をこちらで想定・発見し、それに対するソリューションを提案するビジネスなんです。従って、「今までの延長線上で良い」とか「システムが古くなったから更新したい」といったお客様ではなく、業務を効率化したい、新たなビジネスモデルを創りたいといった変革マインドがあるお客様を探す、提案を通じて創るのが仕事です。

SAPジャパン株式会社 代表取締役社長 福田 譲さん インタビュー photo

私が最初に配属されたのは化学・石油業界担当の営業部門でした。担当したのは、プラント一つ作るにしても数百億円、その投資を20年以上かけて回収していくような業界です。当然、日本を代表する企業ばかり。そういう大企業に対して、20代の若者が、顧客自身もまだ認識してないような課題をこちらから指摘する。「在庫が減らない真の原因は何だとお考えでしょうか?」「世界では他社はこのような取り組みを通じて成果を上げています」といった会話が求められるので、まず相当勉強しないといけません。徹底的に顧客の立場になって考えるために、週末に一般客として顧客の工場見学に出かけたりしました。食品業界を担当した時には、その会社が販売している商品を全部買ってきて試食したり、海外に出張した際には現地のスーパーマーケットを観察したり、とにかく顧客になりきって考えるよう心掛けました。

課題についての共通認識を持った後は、それを変革していく意志と力を持つキーパーソンを探し出して、その方の信頼を得ることが必要です。当然、ほとんどの方が大企業の役員クラスで、年齢も自分の父親と同じかもっと上くらい。そういう方々が何を考えているのかを知るには、時間をいただいて、まず話を聞くしかありません。接待や宴席はあまり好きではありませんでしたが、この人をもっと理解したい、信頼を得たいと思った人とは、会食などにも行きました。大きなビジネスをされている方々とお付き合いすると、勉強になることも多く、人間的にも非常に刺激を受けました。最初の数年間の経験はとても大きな財産になっていると思います。

―― ビジネスパーソンとして実績をあげる傍ら、大学院にも二度通われています。

シンガポールのINSEADに行ったのは31歳の時。社命でした。その頃、営業部長として成果も出していたので、今考えるとちょっと調子に乗っていました。「自分はあまり英語が得意ではないが、英語がペラペラなだけの人よりも仕事ができる」などと思っていました。英文のメールが来ても苦手なので逃げたり、それでいてとにかく生意気でした。それを見ていた当時の南アフリカ人の日本法人社長から「INSEADに行ってこい」と言われたんです。おそらく「世界は広い、もっと大きな視野を持て」という意図だったのでしょう。

行ってみたらやはり、鼻っ柱を折られました。英語が母国語でなくても、どの国から来たメンバーもみんな英語を当たり前に話し、それに加えてロジカルで、多様な意見を一つの方向にまとめる力があったり、リーダーシップに優れていたり。そういう人間がたくさんいました。英語というコミュニケーションツールから逃げていては損だし、世界は広いと感じました。帰国後すぐに「上司が外国人の部署に異動させてほしい」とお願いしました。せっかくグローバルカンパニーで働いているのだし、真剣に英語や世界と向き合ってみようと思ったんですね。イギリス人がボスの部署に移り、日常的に英語を使う環境に身を置いた結果、TOEICの点数は450点から2年で860点になりました。学生時代から逃げ回っていた英語があっという間に世界と繋がる便利なツールになり、見える景色が大きく変わりました。この経験は、自分の中ではSAPに入社したのと同じくらい自分を変えた出来事だったと思います。

二度目の慶応ビジネススクールは、自分から希望しました。日本の大学院を選んだのは、グローバルカンパニーでは経験できない日本企業や文化の良さを深く知りたいと考えたから。日本企業の社長や経営幹部が参加するコースを選んで、そういう人たちと議論して学びたいと思ったんです。海外の企業とは異なる、日本企業ならではの考え方や強み・課題、そしてINSEADとの比較から、日本のビジネスパーソンの立ち位置を良く理解できました。


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