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3年目社員の「賢い」育て方 Episode-2
新人教育を通じて得た「気付き」と「成長 」

注目の記事研修・人材育成[ PR ]掲載日:2008/05/14

→Episode-1はこちら

自分にまだ自信のない若手社員…新人教育に四苦八苦

B氏がメンターとして、指導を担当することになったのは新入社員のM。4月中旬、B氏と同じ営業部に配属された。いかにも新人らしいその初々しい姿に、最初はB氏も好感を持った。
「彼となら、うまく仕事をやっていけそうだな」
責任の重さと自分自身の力不足は感じていたが、B氏は気持ちを入れ替え、前向きに新人教育に挑戦していくことを決意した。

ところが新人教育は、なかなかB氏の思い通りには進まなかった。現在B氏がMに直接教えているのは、電話のかけ方や来客への対応の仕方、日報の書き方…など。社会人としては、ごく基礎的なもの。B氏からすると、一度教わったらその後は、一人でやれて当然のことばかりだ。しかし、Mはもの覚えが悪いのか、何度も同じ事を質問してくる。その成長ぶりは、B氏の期待通りとはいえなかった。

「覚えることも多いし、社会人になったばかりのM君に完璧を求めるのは酷だよな。まだ学生気分も抜けきっていないだろうし、最初から何でもこなせる訳がないのは当然か…」
しかし、そういった点を差し引いても、Mが思うように成長していないことについて、B氏は少々いらだちを覚えていた。

そんなある日、いつもは冷静なB氏が、Mに対して語気を荒くする場面があった。
「それはこの前教えたばかりだろう?何でそんなこともわからないんだ!」
先々週教えた「伝票の書き方」について、Mがまた質問してきたのだ。もう、今度が3回目。「仏の顔も三度」というが、温和なB氏もついに堪忍袋の尾が切れてしまった。

「この説明が最後だからね!君はいつもメモを取らないから覚えられないんだよ。これからは、しっかりメモを取るようにしてくれよ!」
普段は見ることのないB氏の剣幕に少々気後れしていたMだったが、B氏の言葉が終わるやいなや、自身の意見を展開し始めた。
「はい、わかりました。でも…」
「うん…何だい?」
「質問すれば、またすぐに教えてもらえるのに、何でメモを取る必要があるんですか?わからないことがあれば、すぐにネットで検索すれば済むことだし…」
次の言葉がすぐには出てこないB氏だった。

後輩を「叱る」ことも指導・育成の方法のひとつだが、今回のB氏の言葉はMに全く響かなかったようだ。
「自分の仕事だけでも大変なのに、物分りの悪い新人の面倒なんてみていられないよ…」
そんなB氏の心の声が聞こえてきそうである。

3年目・若手社員の「不安」や「心の叫び」に対応するような研修プログラムを実施することは、大変効果的といえるのではないでしょうか。プログラムの実施と同時に、同世代で似たような悩みを持つ仲間達と一緒に課題を共有し、相談できる環境を作っていくことも、若手社員にとっては心の支えとなり、その後の大きな成長が期待できます。

指導の上で必要な「コミュニケーション能力」

2人の様子を遠目に見ていたF課長が、B氏に声をかけてきた。F課長はB氏の直属の上司。B氏を入社以来指導しており、その成長を社内の誰よりも高く評価している人物でもある。
「B君、叱ることも大事だけど、最初は誰だって物覚えが悪いもんだよ。君だって、新人の頃は相当覚えが悪かったしなぁ…俺だって何回注意したことか。自分の伝えたいことは、想像以上に相手には伝わらないんだよ。そのことを肝に銘じることだね」

B氏のように、これまで後輩を叱ることがほとんどなかった若手社員は、その行為に大きなエネルギーを消費する。後輩の教育には意義を感じていながら、ストレスが続くことで、プレッシャーに屈してしまうことも多い。
「そうだな…F課長のいう通りだ。新人に完璧を求めるのは無理な話だし、僕の伝え方にも問題がありそうだ。まずは、気持ちを入れ替えてがんばってみよう」

先ほど注意したばかりで何となく気まずかったが、B氏はMのデスクに足を運び、声をかけた。
「M君、さっきは強く言い過ぎてすまなかったね…僕も反省している。新人のうちはすぐにできなくて当然だからね。これからはとことん付き合っていくから、M君も仕事をしっかり覚えて、成長していって欲しい。でも、さっきも言った通り、一度教わったことは必ずメモを取ること。しっかりと自分の物にするためには、それが大事だからね」
「はい、わかりました。僕の方こそ、屁理屈ばかりいってすいません。これからは僕も仕事を早く覚えるよう努力しますので、よろしくお願いします」

自分に非があればそれを認めること、また、なぜその行為が必要なのかを明確に伝えること…。人を指導していく上では、自分自身の考えを押し付けるだけではなく、コミュニケーション が大切であることがわかったB氏だった。

責任感のある仕事が若手を伸ばす

いま振り返ると、B氏自身、決して仕事を早く覚えられるタイプではなく、先輩や上司に注意されながら、成長してきた。新人時代には、たびたび「こんな嫌な思いをするくらいなら、今すぐにでも辞めてしまいたい」などと考えたものだ。だが今では、後輩がどんどん成長していく姿を見ることに喜びを感じている。組織のなかで先輩社員が担わなければならない大切な役割を、実際に後輩を指導することで学ぶことができたのだ。

若手社員に責任感のある仕事を与えることは、大きな「気付き」が得られるのと同時に、大きな「成長」にも繋がる。早い段階から「組織の成長」や「人材育成」という重要課題に触れることは、若手社員のその後の成長を考えると、とても有意義なことだろう。自分自身の欠点を発見できるほか、忘れかけていた事柄も再確認もできるなど、利点も多い。「次世代」を担う管理職の育成も、よりスムーズに行うことができるのではないだろうか。(完)

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この記事ジャンル 中堅社員育成

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