憧れの地方移住、その実現可能性は?
リモートワークを前提とした転職支援を考える
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面接日程が決まらない……その理由は
Bさんは当時首都圏に住んでいたが、趣味のサーフィンを楽しめる海が近い都市への移住を考えていた。自然豊かな地方都市にあるK社を紹介したところ、とても気に入ったようだった。
「田舎暮らしに憧れているので、K社の環境はとても魅力的です。ぜひ話を聞いてみたいものです」
さっそくK社に書類を送ったところ、感触は良好。ぜひ面接に来てほしい、という返事がきた。ところが、何日たっても肝心のBさんから面接の候補日の返信がない。ようやく連絡がついたと思ったら、意外な状況を告白された。
「私自身はK社のある地方都市への引っ越しを考えていたのですが、妻が難色を示していまして。子どもの学校のことを考えて、今住んでいる場所は離れたくない、というんです」
転職相談を受けた際に「転居に家族は同意しているのか」と質問したが、「選考が進んでから家族に同意を得れば問題ないだろう」という軽い気持ちで、Bさんは「はい」と答えていたのだった。しかし、いざ地方の企業へ面接を受けに行くと告げたところ、「無断で移住を計画するなどとんでもない」と一刀両断されたという。
「自分から言い出しておいて誠に申し訳ないのですが、今回の件はなかったことにしていただけないでしょうか」
Bさんの事例は、地方都市の企業に転居を伴う転職をするというものだったが、今後は、地方に移住して都会の企業で働きたい、という人がますます増えるだろう。エリアをまたいだ転職の難しさや家族内でのコンセンサスについて、大いに考えさせられる。
現在は便利なオンラインミーティングシステムが採用面接でも活用されている。Bさんが今転職活動を行っていたとしたら、家族に知られることなくK社との転職話(移住話)を進めているかもしれない。そうなると、さらに事態は複雑になっていく。
「本人や家族にどんなサポートが必要なのかを、考えなければいけないな」
スムーズな紹介のために人材紹介会社としてやるべきことは何かを、あらためて考えさせられた。
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