キャリアアドバイザーに転職経験は必要か
ちょっと変わったポイントが気になる人たち
人材紹介を進めるにあたって大切な「転職相談」。求職者の希望や条件をすりあわせるだけでなく、転職の心配事や疑問の解消にもあたる場だ。求職者には初めて転職する人も多いので、基本的な質問、素朴な疑問にも数多くお答えする。二人三脚で転職活動を進めていくためには必要なステップだ。ただ、「それを聞いてどうされるんですか?」というちょっと風変わりな質問をされることもある。
質問の背景には何があるのか
「つかぬことをおうかがいしますが、ご自身もこれまでに転職された経験はおありでしょうか?」
転職の相談者から、こんな質問をされることがある。おそらく転職経験のあるキャリアアドバイザーのほうが、経験をもとにきめ細かいサポートをしてくれそうだというイメージがあるのだろう。
気持ちはわかるのだが、結論からいえば、転職経験がなくても十分なサポートができる。近年では人材紹介会社に新卒で入社し、転職支援一筋という人がたくさんいる。そして、彼らはしっかりした実績を上げているのである。例えるなら、ガンの手術をする外科医が必ずしもガン経験者でなくてもいいようなものだ。
実際のところ、人材紹介会社を利用する人の多くは「豊富な求人情報」や「マッチング能力」、「提案能力」を重視しているので、キャリアアドバイザーの転職経験を気にする人はほぼいない。興味本位の質問なら、「転職サポートには関係ないです」だけですませても問題ないかもしれない。しかし、「転職前後のメンタルのケア」もしてほしいと思っている人が、アドバイザーの転職経験の有無を気にしているのだとしたら話は違ってくる。より丁寧に話を聞く必要があるはずだ。
このように、少し変わった質問にはその背景まで考えて対応しないといけないのだ。別のパターンも見てみよう。
「もしご自身がこの会社を紹介されたら、入社したいと思われますか?」
こういう質問が出るときは、紹介された企業の求人情報に求職者がピンときていない場合が多い。何が良いのかわからないから、アドバイザーの意見を聞きたくなるのだろう。そんなときには、マッチングの背景を十分に説明していけばたいてい納得してもらえる。
注意しなくてはいけないのは、その企業についてのネガティブな情報を他の場所で聞いている場合だ。こちらが何も考えずに「いい会社だと思いますよ」などと答えてしまうと、一気に信頼を失いかねない。いずれにせよ、企業の気になる部分をしっかり聞き出すことが重要になる。