2025 年度 新入社員の初任給調査
東証プライム上場企業197 社の速報集計
「全学歴引き上げ」は83.2%、大学卒の水準は25 万5115 円
労務行政研究所

⺠間調査機関の⼀般財団法⼈労務⾏政研究所(理事⻑:猪股 宏)では現在、今年4⽉の新卒⼊社者の初任給を調査している。このほど、4⽉9⽇までにデータを得られた東証プライム上場企業197社について、速報集計の結果を取りまとめたので紹介する。
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初任給の改定状況
初任給を「全学歴引き上げ」た企業は83.2%と前年度(24 年度速報 集計時)より3.6ポイント低下したものの2 年連続で8割を超えた。「全学歴据え置き」は14.2% と前年度より5.0ポイント上[図表1])。 -
初任給の⽔準
⼤学卒(⼀律設定)25万5115円、⼤学院卒修⼠27万3327円、短⼤卒22万1640円、⾼校卒(⼀律設定)20万6523円[図表3]。 -
⼤学卒(⼀律設定)に⾒る上昇額の分布
24年度から「引き上げ」が83.6%、「据え置き」 が16.4%。引き上げた場合の上昇額は「1万〜1万2000円未満」が20.5%で最も多い。引き上げた場合の平均上昇額は1万8220円[図表4、5]。
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調査項⽬
2025年度の賃⾦⾒直しによって確定された2025年4⽉⼊社者の決定初任給(学歴別)。なお、初任給は原則として時間外⼿当と通勤⼿当を除く、諸⼿当込みの所定内賃⾦である。また、固定残業代(時間外労働等⼀定分の定額⽀払い)は除いて集計している。 -
調査時期・⽅法
3⽉下旬に調査票を発送、併せて電話による取材も⾏い、4⽉9⽇までに回答のあった分を集計。 -
調査・集計対象
東証プライム上場企業のうち1586社に調査票を発送し、回答のあった197社を集計。
1.初任給の改定状況[図表1]
若年労働⼒⼈⼝の減少に伴う新卒採⽤競争の激化や、物価上昇に伴う⼤幅な賃上げ機運の⾼まりなど、初任給の決定をめぐる状況は⼤きな転換点にあり、注⽬を集めている。
2025年度の初任給を前年度から「全学歴引き上げ」た企業は83.2%となり、24年度速報集計時の86.8%から3.6ポイント低下したものの、2 年連続で8割超となった。⼀⽅、「全学歴据え置き」した企業の割合は14.2%と、同速報集計時の9.2%から5.0ポイント上昇した。産業別に⾒ると、製造業は90.4%と9割以上の企業が全学歴引き上げたのに対し、⾮製造業は76.7%と約4分の3であった。
2.初任給引き上げ率の推移[図表2]
過去10年間における、初任給を「全学歴引き上げ」た企業の割合(初任給の引き上げ率)の推移を⾒ると、16年度と17年度は引き上げ率が30%前後で推移したが、18年度は上昇して39.7%となった。19年度、20年度は下降基調ながら30%台で推移した後、21年度はコロナ禍による業績不振の影響などを受け17.1%と⼤幅に低下。しかし、22年度は⼀転して40%台、23年度は70%台と、2年連続で⼤幅な上昇となった。24年度はさらに上昇して86.8%と過去10年で最多となり、25年度はやや低下したものの83.2%と8割台を維持した。
ちなみに、初任給を「全学歴据え置き」とした企業は、20年度の58.5%から21年度には74.3%と上昇したものの、22年度は49.7%、23年度は26.1%と⼤幅に低下し、24年度は1割に満たない9.2%、25年度は14.2%となっている。
※21年度以前は「東証1部上場企業」、22 年度以降は「東証プライム上場企業」の割合。
3.2025 年度決定初任給の⽔準および同⼀企業における上昇額、上昇率[図表3]
全産業で⾒た学歴別の初任給⽔準は、⼤学卒(初任給に差を設けず、⼀律設定の場合。以下、⼀律)25万5115円、⼤学院卒修⼠27万3327円、短⼤卒22万1640円、⾼校卒(⼀律)20万6523円となった。同⼀企業における前年度初任給と⽐較した上昇率は、⼤学卒(⼀律)6.3%、⼤学院卒修⼠6.2%、短⼤卒7.0%、⾼校卒(⼀律)6.7%である。
4.学歴別決定初任給の改定状況と上昇額[図表4、5]
⼤学卒(⼀律)では、「引き上げ」が83.6%、「据え置き」が16.4%となっている。引き上げた場合の上昇額は「1万〜1万2000円未満」が20.5%で最も多い。引き上げた場合の平均上昇額は1万8220円となった。
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