2023年度 新入社員の初任給調査
東証プライム上場企業157社の速報集計
「全学歴引き上げ」は70.7%となり、過去10年で最多
労務行政研究所
民間調査機関の一般財団法人 労務行政研究所(理事長:猪股 宏)では現在、今年4月の新卒入社者の初任給を調査している。このほど、4月11日までにデータを得られた東証プライム上場企業157社について、速報集計の結果を取りまとめたので紹介する。
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初任給の改定状況
初任給を「全学歴引き上げ」た企業は70.7%で、昨22年度速報集計時の41.8%から28.9ポイント上昇。「全学歴据え置き」は26.1%となり、昨22年度速報集計時の49.7%から23.6ポイント低下[図表1] -
初任給の水準
大学卒(一律設定)22万5686円、大学院卒修士24万3953円、短大卒19万5227円、高校卒(一律設定)18万3388円[図表3] -
大学卒に見る上昇額の分布
22年度から「引き上げ」が71.7%、「据え置き」が28.3%。引き上げた場合の上昇額は「10,000円台」(10,000円以上11,000円未満)が18.6%と最も多く、次いで「5,000円台」と「7,000円台」が10.5%。引き上げた場合の平均上昇額は9523円[図表4、5]
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調査項目
2023年度の賃金見直しによって確定された2023年4月入社者の決定初任給(学歴別)。なお、初任給は原則として時間外手当と通勤手当を除く、諸手当込みの所定内賃金である。 -
調査時期・方法
3月下旬に調査票を発送、併せて電話による取材も行い、4月11日までに回答のあった分を集計。 -
調査・集計対象
東証プライム上場企業1784社のうち、回答のあった157社を集計。
1.初任給の改定状況[図表1]
急激な物価上昇を受けた賃上げ機運の高まりや、若年労働力人口の減少に伴う新卒採用競争の激化など、初任給の決定をめぐる状況は大きな転換点にあり、注目を集めている。
2023年度の初任給を前年度から「全学歴引き上げ」た企業は70.7%と、昨22年度速報集計時の41.8%から28.9ポイント上昇した。一方、「全学歴据え置き」した企業の割合は26.1%と、同速報集計時の49.7%から23.6ポイント低下した。産業別に見ると、製造業は83.3%の企業が引き上げたのに対し、非製造業は56.2%となり、製造業が非製造業を27.1ポイント上回っている。
2.初任給の引き上げ率の推移[図表2]
過去10年間における、初任給を「全学歴引き上げ」た企業の割合(初任給の引き上げ率)の推移を見ると、14年度は輸出産業を中心とする企業業績の回復、デフレ脱却に向けた賃上げの政労使合意などを背景に、13年度の4.2%から19.0ポイント上昇の23.2%となり、賃上げ基調が続いた15年度はさらに上昇し39.9%となった。16年度と17年度は引き上げ率が30%前後を推移したが、18年度は再び上昇し39.7%となった。19年度、20年度は下降基調ながら30%台で推移したが、21年度はコロナ禍による業績不振の影響などを受け17.1%と大幅に低下。しかし、22年度は一転して40%台、さらに23年度は70%を超え、2年連続で大幅な上昇となった。
ちなみに、初任給を「全学歴据え置き」とした企業は、20年度の58.5%から21年度には74.3%と上昇したものの、22年度は49.7%、23年度は26.1%まで低下し、過去10年で最も低くなっている。
※21年度以前は「東証1部上場企業」、22年度以降は「東証プライム上場企業」の割合。
3.2023年度決定初任給の水準および同一企業における上昇額、上昇率[図表3]
全産業で見た学歴別の初任給水準は、大学卒(初任給に差を設けず、一律設定の場合。以下、一律)22万5686円、大学院卒修士24万3953円、短大卒19万5227円、高校卒(一律)18万3388円となった。同一企業における昨22年度初任給と比較した上昇率は、大学卒(一律)3.1%、大学院卒修士3.2%、短大卒3.5%、高校卒(一律)3.7%である。
4.学歴別決定初任給の改定状況と上昇額[図表4、5]
大学卒(一律)では、「引き上げ」が71.7%、「据え置き」が28.3%となっている。引き上げた場合の上昇額は「10,000円台」が18.6%で最も多く、次いで「5,000円台」と「7,000円台」が10.5%。引き上げた場合の平均上昇額は9523円となった。
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