本誌特別調査
2017年度労働時間総合調査(労務行政研究所)
所定・総実労働時間、休日・休暇、時間外労働等の最新実態と長時間労働削減への取り組み状況
- ポイント
- 1 2017年度の所定労働時間・休日日数の実態
- 3 年次有給休暇の取得状況
- 4 時間外労働の実態
- 時間外労働の実態[図表15]1人1ヵ月当たり平均18.9時間
- 法内残業分を含むか否かで見た実態[図表16]「法内残業分を含む」ほうが、「含まない」よりも1.0時間長い
- 休日労働分を含むか否かで見た実態[図表17]「休日労働分を含む」ほうが、「含まない」よりも2.4時間長い
- 業種別の実態[図表18]陸運の月平均30.1時間が最長
- 分布状況[図表19]「20~25時間未満」が21.5%で最も多く、30時間未満に88.6%が集中
- 推移[図表20]11年度以降は17時間台だったが、14年度は4年ぶりに18時間台に乗り、以後増加傾向にある
- 時間外労働の算出・確認方法[図表21]「申告時間を基に、事後に管理者が確認して時間外を算出」が48.1%
- 5 出退勤時間の管理方法
- 6 時間外労働の算定における端数時間の取り扱い
- 7 長時間労働削減に向けた取り組み状況
当研究所が毎年実施している「労働時間・休日・休暇等に関する実態調査」の2017年度調査結果がまとまった。今回は定例の(1)所定労働時間、(2)所定休日日数、(3)年間総実労働時間、(4)年次有給休暇の取得状況、(5)時間外労働の実態に加え、以下の内容についても調べている。
・時間外労働時間の算出・確認方法
・出退勤時間の管理方法
・時間外労働の算定における端数時間の取り扱い
・長時間労働削減に向けた取り組み状況
ポイント
(1)2017年度年間所定労働時間、休日日数:1908時間59分、119.7日[図表1]
(2)年間総実労働時間(2016年度):全産業平均で2057.6時間。「2000~2050時間未満」「2050~2100時間未満」が各14.6%と最も多いものの、分布にはバラつきが見られる。産業別では、非製造業のほうが製造業よりも長時間の傾向にある[図表7~8](省略)
(3)年次有給休暇の取得(最近1年間):全従業員平均の取得日数は9.6日、取得率は52.5%[図表11]
(4)時間外労働の実態(2016年度):全社または本社における1人1ヵ月当たり平均で18.9時間。12年度以降、4年連続で増加[図表15、20]
(5)一般社員の出退勤管理の方法:「自己申告」のみで管理している場合が32.1%と最多、次いで「タイムカード・ICカード」のみが29.5%と続く[図表23]
(6)1日当たり、1ヵ月当たりの残業時間の端数取り扱い:1日当たりでは、46.8%が端数処理の原則を決めており、取り扱い単位では「15分」が最多。1ヵ月当たりでは「端数処理は行わない」が69.5%で主流[図表26~28]
(7)長時間労働削減に向けた取り組み:93.2%が何らかの取り組みを実施。最も実施率が高かったのは「管理職層に対する意識啓発への取り組み」で76.9%[図表30~31]
1 2017年度の所定労働時間・休日日数の実態
所定労働時間・休日日数の水準[図表1、5~6]
年間所定労働時間は1908時間59分、年間休日は119.7日
2017年度の1日当たり所定労働時間(始業時刻から終業時刻までの時間から、休憩時間を除いたもの)は平均7時間47分、休日日数は年間119.7日である。年間の所定労働時間は1908時間59分で、同一企業における前16年度の水準(1909時間37分)から約40分短くなった。
ちなみに、年間所定労働時間を基にして単純計算すると、1ヵ月当たり(12分の1)は159時間5分、1週当たり(52分の1)は36時間43分となる。
規模別では、1日当たりの所定労働時間は1000人以上が7時間46分、300~999人7時間49分、300人未満7時間47分と、規模による差は見られなかった。年間所定休日日数は1000人以上が120.6日で最も多く、次いで300~999人119.3日、300人未満119.0日の順となっている。年間所定労働時間は300~999人が最も長く1920時間26分、次いで300人未満1912時間15分、1000人以上1899時間9分である。
業種別の状況は後掲[図表5](省略)を、所定労働時間と所定休日日数の推移は[図表6](省略)を参照いただきたい。
また、後掲2(省略)では、年間所定労働時間に時間外労働の実績、年次有給休暇の取得分を加味した年間総実労働時間(16年度)を試算している。併せて参照いただきたい。
年間所定労働時間の分布状況[図表2]
1850~1950時間未満の間に47.5%
全産業・規模計では「1900~1950時間未満」が23.9%で最も多く、「1850~1900時間未満」が23.5%で続く。よって、“1850~1950時間未満” の範囲に47.5%と約半数が分布している。
この範囲に収まる企業の割合を規模別に見ると、1000人以上では58.3%と過半数を占める。一方、300~999人は42.4%、300人未満は38.6%と4割前後にとどまり、規模により分布にバラつきが見られる。同様に産業別で見ると、製造業は62.4%、非製造業は33.1%と29.3ポイントも差がある。
ちなみに、年間所定労働時間が2000時間以上の企業の割合は、全産業・規模計で10.5%。前16年度(9.6%)から増加した。
1日の所定労働時間の分布状況[図表3]
「8時間」が48.3%で最も多い
「8時間」が48.3%で最も多く、以下「7時間45分」18.1%、「7時間30分」14.7%と続く。「7時間45分」から「8時間」の間に全体の約7割が集中しており、この範囲で1日の所定労働時間を設定している企業が多いことが分かる。
年間所定休日日数の分布状況[図表4]
「120~124日」が53.4%を占める。全体の71.8%が120日以上の設定
「120~124日」が53.4%で最も多く、次いで「125日以上」の18.5%。これらを含め、年間120日以上の休日を設定している企業が、全体の71.8%と約7割を占める。
規模別に見ると、年間休日120日以上の企業の割合は、1000人以上77.1%、300~999人64.4%、300人未満71.1%であり、1000人以上では8割近くを占める。また産業別では、製造業は78.6%、非製造業は65.3%と13.3ポイントの差が見られる。
※『2 2016年度年間総実労働時間(試算)』は省略
人事の専門メディアやシンクタンクが発表した調査・研究の中から、いま人事として知っておきたい情報をピックアップしました。