【特別企画】
新たな学びの場つくりのユニット
『アトリエMALLプロジェクト』を密着取材 <第一回>
[ 取材・レポート ]
一般社団法人経営学習研究所 理事 田中潤
8月6日(水)、新たな学びの場づくりのユニットが発足しました。その名は『アトリエMALLプロジェクト』。一般社団法人経営学習研究所(MALL)が募った企画に13名のビジネスパーソンが集って立ちあげたものです。この『アトリエMALLプロジェクト』は、自ら手を上げて集まった見ず知らずの異業種のメンバーが、日常の所属企業の活動からは離れ、オープン・コラボレーションの進め方や、ワークショップ型イベントの企画・運営方法を体験的に学びながら、これからの人材育成のあり方を知的に探求することを目指していく、越境的な取り組みです。アウトプットは11月に予定されている「学びのイベント」。このイベントまでの道のりを『日本の人事部』でリレー・レポートいたします。
【MALLの目指す世界に共感する13人が集まった】
一般社団法人経営学習研究所(MALL)とは
2012年に研究者4名と実務家4名の計8理事によって立ちあげられた「これからの人材開発・人材育成を面白くする」ことを目指す、非営利の一般社団法人です。「組織」「学習」「デザイン」の三つの交差する学際的領域に魅了され、志を同じくする大学の研究者、実務家が、既存の団体からの寄附・支援を一切受けず、全くの手弁当で資金を出し合い、立ち上げた団体です。2012年のキックオフイベントを皮切りに、さまざまなイベントを毎月一つ程度の頻度で提供しています。MALLが目指す世界観は「学習立国・日本」。日本中に学びが満ち溢れることによってこそ、日本がキラッと輝ける存在感を持ち続けられる、そんな想いです。これまでも各イベントでは、次代を担う大学生にスタッフとして参加してもらい、学びの場づくりを体験的に学習し、自らも学びの場を創る側に立つことを促してきました。
「アトリエMALL」プロジェクト始動
異なる企業に所属する若手ビジネスパーソンが集い、MALLと協働しながら、人材育成イベントを自主企画・運営します。「越境学習」という言葉が人材育成の世界でも市民権を得つつありますが、継続的なイノベーションを起こし続けるためには、組織の枠を超えたオープンなコラボレーションをデザイン・実践していける若手企業人の存在が不可欠です。そんな思いから「アトリエMALL」プロジェクトは生まれました。アートやデザインの世界では、多士済々の若手が「アトリエ」に集い、そこから溢れ出た創造性が新たな時代を切り開いてきました。そして今回、MALLのビジョンに共感し、人材育成のオープン・イノベーションを起こす意欲に満ちた若手企業人が13名集まりました。アトリエMALLプロジェクトの始動です。
今までにないタイプの越境型アクション・ラーニング のプロジェクトの始まり
キックオフ・ミーティングは、8月6日(水)の夜に渋谷にて開催されました。日常の多忙な業務の中であるにも関わらず、手を上げてこの企画に参加した13名全員がここに集います。いつものMALLイベントとは異なり、少し緊張感のある滑り出しです。田中理事からの趣旨説明、長岡理事のミニレクチャーのあと、岡部理事・島田理事からのガイダンスで参加者に命題が与えられます。
<命題>
- アトリエMALLの参加者13名が、2チームに分かれ、チーム毎に企画・運営を担当し、11月21日(金)、26日(水)のいずれかでそれぞれのチームが「人材育成イベント」を開催する。
- イベントのテーマは「人材育成」に関すること。ただし、定番のテーマはできる限り避け、「今後の人材育成のあり方を考える上でキーとなるイノベーティブなテーマ」を設定する。
- イベント形式としては、参加者:30~50名程度、参加費:3,000円~5,000円程度、参加対象者:「人材育成」に関心のあるビジネスパーソン、2~3時間程度のプログラムで参加型の要素を部分的には取り組むことを前提とする。
- アトリエMALLの各チームが主催者となり、MALLは協力者となる。MALLの各資源は活用可ではあるが、イベント開催の費用・収益ともにアトリエMALLメンバーでの負担・分配となる。
- MALLの理事4名(板谷和代、田中潤、平野智紀、牧村真帆)が各チームのアドバイザーをつとめる。板谷、田中理事は担任として各チームにつき、平野・牧村理事は両チームをサポートする。ただし、あくまでも企画・準備・運営の一切は主体的にアトリエMALLメンバーが担う。
- 9月24日(水)にイベント企画についての審査会を実施する。審査会はMALL全理事と、アトリエMALL参加者で行うが、ここでOKを取り付けられない場合は、イベント開催自体が認められない。
- 12月8日(月)にはリフレクション・ミーティングを開催する。
ガイダンスのあと、さっそくチームに分かれたミーティングが始まります。今までにないタイプの越境型アクション・ラーニングのプロジェクトの始まりです。
参加者は皆、それぞれの分野で活躍している方ばかりで、自ら多くのワークショップに足を運び、自らも手掛けている経験のある人が多数いました。しかし、初めて会う人と協業でワークショップを企画するということには、当然ですが慣れていないため、少し勝手が違う感じでの議論のスタートです。ミーティング終了後も、懇親会場に場所を移し、話し合いは続きます。MALLでは各理事が自らのラボを持ち活動をしています。それぞれの独立性・自律性を確保したうえで、それぞれの多様な専門性や経験に根ざした、さまざまなイベント・企画を実施し、世の中に提案していく。この「自律性」や「多様性」こそが、MALLを設立した理事らに共有されている考え方です。しかし、これは設立を志してから、何度も積み重ねられたミーティングを経て共有された価値観だともいえます。いきなり集まった13名が自律性と多様性を発揮しながら、命題として提示されたようなレベルのイベントを開催するのは容易なことではありません。13名はどのようにこの課題に取り組み、どのようにイベントを創り、何を考え、どう行動するのでしょうか。次回以降は、アトリエMALLの参加者がこの模様をレポートしていきます。どうぞお楽しみに。