休憩時間の一斉付与の例外はどのようにすれば制定できるか
休憩時間は、労働時間の途中に一斉に与えなければならないことが労働基準法で定められていますが、業種や企業形態、従業員の働き方によっては、一斉に休憩を与えることが困難なこともあるでしょうあ。そのため、休憩時間の一斉付与には例外の取り扱いがあります。どのようにすれば休憩を一斉付与しなくてよいのかを解説するとともに、近年導入が進むフレックスタイム制での休憩時間の取り扱い方法についても解説します。
一般的な事業であれば労使協定が必要
休憩は一斉に与えるのが原則ですが、労使協定を締結することによって、交代で休憩を取得させることなどが可能です。この協定書のことを「一斉休憩の適用除外に関する労使協定書」と呼びます。
協定書には、一斉休憩を与えないこととする労働者の範囲や休憩の与え方を定め、社内で保管し、従業員がいつでも見られるように周知する必要があります。なお、労働基準監督署に届け出る必要はありません。
管理監督者はそもそも一斉に休憩を取る必要がない
例外として、労働基準法の管理監督者に該当する地位にある者は、自分の裁量で労働時間を決められるため、休憩時間・休日・労働時間に関する労働基準法の規定が適用されません。
管理監督者とは、労働条件の決定や労務管理について一定の権限を持っていて、経営者と一体的な立場にある者を指します。一般的には、工場長や執行役員のように労働者の身分で会社からの指揮命令を受けて労働に従事するが、会社役員などといった経営者に近い立場で、労働条件の決定や労務管理上の裁量を持って業務に従事する者が該当します。
店長や部長などといった肩書や役職名があったとしても、名ばかり管理職で裁量が不十分な場合は管理監督者に該当せず、休憩時間を与えなければならない点に注意する必要があります。
一部の例外では労使協定は必要ない
労働基準法では一斉休憩を原則としていますが、特定の業種には例外があります。以下の業種では、労使協定がなくても休憩を一斉に与える必要はなく、休憩時間の一斉付与から除外されます。
- 運輸交通業
- 商業
- 金融広告業
- 映画・演劇業
- 通信業
- 保健衛生業
- 接客娯楽業
- 官公署
顧客対応や利用者対応が勤務中に常時発生する業種、一度業務を始めたら停止ができない業種などは、一斉に休憩を取ることが難しいため、適用を除外されています。サービス業などでは、フレックスタイム制度を導入する企業も増えています。
フレックスタイム制での休憩時間の運用
フレックスタイム制では、従業員ごとに始業・終業の時刻が異なるため、一斉に休憩をとると、始業してから休憩を取るまでの時間がばらばらになってしまいます。必ずしも同じ時間に勤務しているとは限らないため、休憩時間の一斉付与を疑問に思われるシーンもあります。
フレックスタイム制での休憩時間の設定方法は、以下のように3パターンにわけて考えられます。
- 一斉休憩が適用除外になる「特定の業種」の場合
- 一斉休憩の適用除外に労使協定が必要な業種で、コアタイムありの場合
- 一斉休憩の適用除外に労使協定が必要な業種で、コアタイムなしの場合
一斉休憩が適用除外になる「特定の業種」の場合
一斉休憩が適用除外になる「特定の業種」では、一斉休憩にする必要がそもそもないため、特別な対応は必要ありません。就業規則に、フレックスタイム制における休憩のルールとして「休憩時間の長さ」と「休憩を取る時間帯を労働者に委ねる旨」を記載します。
一斉休憩の適用除外に労使協定が必要な業種で、コアタイムありの場合
一斉休憩が適用除外になる「特定の業種」以外の業種では、コアタイム中に休憩時間を定めるのが原則です。フレックスタイム制では休憩時間をコアタイム内に与えなければならないことが労働基準法の通達(昭63・3・14 基発150号)で示されており、フレックスタイム制であっても労働基準法の一斉休憩の原則が適用されるからです。なお「一斉休憩の適用除外に関する労使協定書」を締結し、一斉休憩を適用しないようにしても問題ありません。
一斉休憩の適用除外に労使協定が必要な業種で、コアタイムなしの場合
コアタイムがない会社の場合は、「一斉休憩の適用除外に関する労使協定書」を締結し、一斉休憩を適用しないようにしなければなりません。その際は、就業規則にも休憩のルールを定めておく必要があります。スーパーフレックスを導入している場合も、労働基準法の休憩のルールは適用されるため、「一斉休憩の適用除外に関する労使協定書」を締結しておかなければなりません。
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