「副業・フリーランス人材白書2025」を公開
活用経験のある企業は3割未満にとどまるも、約8割が満足と回答
~企業運営の根幹を担う業務への活用が進む一方、理解不足や環境整備に課題も~
パーソルキャリア株式会社のプロフェッショナル人材の総合活用支援サービス「HiPro」は、「副業・フリーランス人材白書2025」を公開しました。本白書は、副業・フリーランス人材の活用実態や課題、満足度、今後の展望などを、企業と個人それぞれの視点からまとめたものです。特に、ハイクラス層※1とメンバークラス層※2に分けて分析することで、具体的な活用の傾向や障壁が明らかになりました。
※1:本白書では、高度な事業課題を解決できる経験・スキルを有する人材層と定義
※2:本白書では、日常的に発生する業務に従事する人材層と定義
<「副業・フリーランス人材白書2025」サマリ>
(企業)
・副業・フリーランス人材を活用したことがある企業は3割未満にとどまるものの、約8割が「満足」と回答。
・「新規事業創出・推進」「経営・経営企画」など、企業運営の根幹を担う業務を依頼する企業も多い。
・活用しない企業は、理由として費用面の不安感や活用に適したケース・メリットの理解不足を挙げる。
・活用企業の7割以上が、副業・フリーランス人材の活用についてサポートを必要としている。
(個人)
・副業経験のある会社員は2割未満にとどまるものの、副業・フリーランスともに6割以上が「満足」と回答。
・活動の目的は「収入」のみならず、キャリアアップの意向も。
・副業しない理由は「社内規定で禁止されているから」が最も高い。企業側の環境整備が課題。
「副業・フリーランス人材白書2025」の概要
<企業>
■活用したことがある企業は3割未満、しかし約8割が「満足」
調査の結果、副業・フリーランス人材を活用したことがある企業は3割未満と、限定的であることがわかりました。一方で、活用中の企業のうち約8割が「満足」と回答しており、一定の成果を上げていることも事実です。特に、「業務プロセスの改善・効率化」(23.5ポイント)や「新規事業創出・推進」(22.1ポイント)、「経営・経営企画」(21.3ポイント)などの企業運営の根幹を担う業務において、ハイクラス層の副業・フリーランス人材の活用が多く見られました。
■未活用企業は具体的な活用イメージができていないことが壁に
一方で、副業・フリーランス人材を「活用していない」と回答した企業の多くが、その理由として「費用が高い(高そう)」「現場での活用イメージがわかない・どのようなケースに適しているのかわからない」「副業・フリーランス人材に業務委託するメリットがわからない」と回答。副業・フリーランス人材活用についての理解が不足しており、具体的な活用イメージができていないことが主な障壁となっていることがわかります。
■活用中の企業も副業・フリーランス人材受け入れの負担に、7割以上が「サポートが必要」
活用中の企業でも「求める人材要件が現場とすり合わない」などの人材要件定義や「社内の協力が得にくい、連携がうまくいかない」などの社内調整といった、副業・フリーランス人材の受け入れに付随する業務に課題を感じる回答が多数を占めました。実際に、現在活用中の企業の7割以上が「サポートが必要」と回答し、自社だけでは推進が困難な様子も見受けられました。今後は受け入れ体制構築や運用支援のニーズがますます高まることが予想されます。
<個人>
■副業経験のある会社員は2割未満、関心のある層を含めても約5割
調査の結果、副業経験のある会社員はまだ2割に満たず、関心を示す「検討者+興味者計」を含めても約5割にとどまっています。副業しない理由は「社内規定で禁止されているから」がトップのほか、時間的制約、体力的な問題などが副業を阻む要因となっており、副業したくてもできない状況が多くありました。
■目的は「収入」だけでなく、キャリアアップも
副業・フリーランス活動の主な目的は「生活費を稼ぐ」や「自由に使えるお金を稼ぐ」といった収入面が最も高いですが、ハイクラス層ではキャリアアップや希望する条件ではたらくといった目的も多く見られました。担当業務は「営業」が共通して上位ですが、それ以外は副業・フリーランス、ハイクラス層・メンバークラス層でそれぞれ異なる業務を担う傾向にありました。副業のハイクラス層は「経営・経営企画」「業務プロセスの改善・効率化」など、企業運営の根幹を担う業務も多く見られます。
■満足度は6割以上、継続意向も高い
副業・フリーランスとして現在活動している人の6割以上が「満足」と回答しました。中でもハイクラス層では満足度が約8割にのぼり、「業務の内容」や「はたらき方、就業環境」に対するポジティブな評価が目立ちます。継続意向も6割以上と、現在の活動に一定のやりがいや価値を感じている人が多いことが伺えます。
■活動時の課題は事務処理と案件獲得
一方で、副業・フリーランスの共通課題として、「確定申告が面倒・難しい」「新規案件の獲得が難しい」など、事務的な手続きの負担感や案件獲得に関する難しさが上位に挙げられました。副業者の半数以上が、活動における何らかのサポートを必要としており、「困りごとを相談できる窓口」や「第三者による伴走サポート」などが望まれています。
調査概要
調査方法:インターネット調査
調査時期:
企業調査 2025年1月14日(火)~20日(月)/個人調査 2025年1月16日(木)~21日(火)
企業調査:【サンプル】本調査:4,400サンプル回収
※スクリーニング調査:60,000サンプル回収(うち人口構成比に合わせて回収した10,000サンプルを分析)
【分析対象者】
・25~69歳男女 ・ハイクラス層・メンバークラス層いずれかで人材獲得業務に関与あり
・職業が「代表取締役/社外取締役・社外監査役など/顧問/会社役員(委任型・雇用型)/会社員 (正社員 総合職)/自営業者(雇人あり※小規模事業者)/自営業者(農林漁業従事者)」のいずれか
個人調査:【サンプル】本調査:2,400サンプル回収
※スクリーニング調査:120,000サンプル回収(うち人口構成比に合わせて回収した10,000サンプルを分析)
【分析対象者】
・20~64歳男女
・副業の分析では職業が「会社役員(雇用型)/会社員(正社員 総合職・一般事務・アシスタント職)/会社員(契約社員)」で「副業の活動経験・検討・興味者」、フリーランスの分析では職業が「フリーランス」で「現在活動者」が対象
パーソルキャリア株式会社
執行役員 エージェントサービス事業部 事業部長 兼
タレントシェアリング事業部 事業部長 鏑木 陽二朗 コメント
白書をまとめるにあたって実施した調査では、企業の副業・フリーランス人材活用経験、会社員個人の副業経験ともに低い水準となりました。特に企業においては、副業・フリーランス人材を受け入れる際の費用・方法・メリットへの理解不足、自社社員が社外で副業する制度の未整備など、「受け入れ」と「送り出し」の両面で課題を抱えています。
一方、実際に活用している企業・活動している個人ともに満足度は高く、企業運営の根幹を担う業務を依頼する企業も多く見られました。企業は変化の激しい経営環境の下で、イノベーション創発や人的資本を重視した経営への変革が迫られており、「副業・フリーランス人材にも責任のある仕事が任せられる」という認識が広がりつつあります。
本白書は、副業・フリーランス人材活用という新たな選択肢について周知することを目的に制作し、独自の分析を行うことで、多様化する「雇用によらない人材活用&はたらき方」の今が見えてくる白書を目指しました。本白書が、人材不足を乗り越え、ビジネスを前に進めようと奮闘する方々の一助となれば幸いです。
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(パーソルキャリア株式会社/5月22日発表・同社プレスリリースより転載)
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