産業界が学生に期待する資質、能力、知識は「主体性」と「実行力」。リカレント教育を受けた人物を7割の企業が中途採用時に「評価している」~『高等教育に関するアンケート結果』:日本経済団体連合会
一般社団法人 日本経済団体連合会は、4月17日、『高等教育に関するアンケート結果』を発表しました。
高等教育に関するアンケート結果(PDF)
【主要結果(PDF)】抜粋
●産業界が学生に期待する資質、能力、知識
・文科系、理工系での大きな差は見られず、これまでの累次のアンケート結果と同様、「主体性」と「実行力」が上位
・前回調査(2014年度)と比較して文系・理系ともに「課題設定・解決能力」がより一層求められており、さらに理工系では「創造力」も高い順位となった。IoTやビッグデータ、人工知能などをはじめとする技術革新が急速に発展する中、指示待ちではなく、自らの問題意識に基づき課題を設定し、主体的に解を作り出す能力が求められていることが示された。
・論理的思考力や意見の発信・傾聴力、情報活用能力、外国語能力なども一定のポイントを得ており、基本的能力に基づく課題解決能力等が求められている。
・文系学生においては、「専攻分野での基礎的知識」「専門知識」がともに理系学生と比べて相対的に低い順位に留まっている。
●優先的に推進すべき大学等の教育改革
・技術革新が加速的に進む中「イノベーションを起こすことができるリーダー人材育成への取り組み」が最も高いポイントを得た。
・経団連会員企業からは「日本人学生の海外留学を奨励する」という意見が多く、あらためてグローバル人材へのニーズが示された。
・一方で、地方別経済団体に加盟する企業からは「地域活性化を担う中核的人材を育成するための地域の大学等と地域企業との連携強化」という意見が多く、大学に多様な人材の育成が求められていることがうかがわれる。
●産業界における大学等への従業員送り出しの現状と今後
現状:会員企業においては、半数以上の企業が従業員を大学等に送り出している。専攻分野としては、直近5年間は、MBA取得のため経済学・経営学に送り出している企業が最も多い。
今後:多くの企業が今後も「経済学・経営学」に送り出しを希望すると回答し、経営トップ層の育成ニーズは引き続き高いことがうかがえる。他方、直近5年間は派遣が少なかった「情報・数理・データサイエンス」「IT関連」が上位にランクインしており、企業はIoTやビッグデータ、人工知能などの技術革新に対応できる人材の確保を求めていることがうかがえる。過去5年間に送り出しをしたことがない企業は6割にのぼるが、「今後も送り出しを考えていない」企業は15%に留まり、企業も大学等への期待を高めていることがうかがえる。
●リカレント教育を受けた人物に対する中途採用時の評価
・現時点でも約7割の企業が中途採用時に「評価」していると回答しており、リカレント教育の意義はあるといえるであろう。
・一方、その理由を見ると「学ぶ姿勢」を評価するといった声が多く見受けられる。
・「評価しない」企業には、大学等で学ぶ時間よりも実務を経験した時間を評価するといった声が数多くある。
・政府は補助金の拡大、大学等は企業のニーズに即したカリキュラム創設、企業は学んだ成果を評価するなど、産学官が一体となり、ベクトルをあわせて推進していくことが必要である。
<アンケート概要>
【調査目的】
急速に進展する技術革新や、経済活動の一層のグローバル化などの時代において、イノベーションを起こせる人材や、グローバル・ビジネスの現場で活躍できる人材の育成が不可欠である。こうした背景を踏まえれば、知の拠点としての高等教育の役割はきわめて大きく、経団連としても今後の高等教育のあり方について提言を取りまとめるべく、アンケートを実施した。
【実施期間】2017年12月8日~2018年2月8日
【回答数】443社
内訳:◆製造業188社◆建設業47社◆電気・ガス・水道業13社◆運輸・通信業22社◆卸・小売・飲食業50社◆金融・保険業38社◆不動産業6社◆サービス業31社◆情報関連業22社◆その他26社
○経団連会員企業258社(回答率19%)
○経団連非会員企業185社
(以下の24の各都道府県の地方別経済団体に加盟する経団連非会員企業)北海道、青森、岩手、宮城、福島、栃木、茨城、東京、千葉、神奈川、山梨、新潟富山、石川、岐阜、山口、島根、徳島、愛媛、香川、高知、福岡、長崎、宮崎
◆本発表の詳細は、こちらをご覧ください。
(一般社団法人日本経済団体連合会 http://www.keidanren.or.jp/ /4月17日発表・同社プレスリリースより転載)