人事辞典 最終更新日:2020/01/10

【ヨミ】オーセンティックリーダーシップ オーセンティック・リーダーシップ

「オーセンティック・リーダーシップ」とは、「自分らしさ」を基本としたリーダーシップのこと。これまでのリーダーシップでは主に、人を先導する能力や、生まれ持った特別な資質などが求められてきました。しかし時代とともに、誰もが自分らしさを発揮してリーダーになることが求められるようになっています。

1. オーセンティック・リーダーシップとは?

オーセンティック・リーダーシップの意味

オーセンティック(authentic)とは、英語で「本物の、確実な、真正な」という意味です。簡単に言えば「自分らしさ」ということ。つまり、オーセンティック・リーダーシップとは、人のまねではなく、自分自身の価値観や信念に正直になりながら、リーダーシップを発揮することを意味しています。

オーセンティック・リーダーには、次の五つの特性が備わっているとされています。

オーセンティック・リーダーシップに必要な五つの特性
  • 自らの目的をしっかり理解している
  • しっかりした価値観に基づいて行動する
  • 真心を込めてリードする
  • しっかりした人間関係を築く
  • しっかり自己を律する

参考「グロービスMBAリーダーシップ」

オーセンティック・リーダーシップが注目されている背景

オーセンティック・リーダーシップが注目されている背景には、時代の変化とともに、働き方やリーダーシップへの考えが変わってきたことがあります。これまでは、強い力、パワー、権力といったハードなものを備えた人がリーダーだとされてきましたが、現在では知識や価値観といった、よりソフトなものに基づくリーダーが求められるようになりました。

従来の強い権力を握るリーダーの弊害は、情報化社会において顕著に表れてきたとされています。というのも、情報化社会では扱う知識の量が膨大になるため、一人のリーダーの力だけでは処理することができないからです。その結果、時代の流れについていけなくなる恐れがあります。

また、最近ではティール組織やホラクラシー組織など、新しい組織のあり方にも注目が集まっています。これらの概念も情報化社会の広がりを受けて、一人ではなく組織全体で時代の流れに対処するために生まれてきたものです。組織論だけでなく、リーダーシップ論も変化し、オーセンティック・リーダーシップだけではなく、組織の構成員に積極的に奉仕をする「サーバント・リーダーシップ」なども出てきました。

オーセンティック・リーダーシップは、このような時代の流れを受けて登場したリーダーシップ論の一つであり、誰もが自分らしさを発揮し、リーダーとなれるという考え方です。ただしその実践には、単に「自分らしく」以上のものがあります。このことについて、以下でさらに見ていきましょう。

2. オーセンティック・リーダーシップ実践のポイント

オーセンティック・リーダーシップを発揮するために必要な能力

多くの人は、リーダーを「強くてたくましい存在」とイメージしています。しかし、オーセンティック・リーダーシップでは、必ずしも強いリーダーシップが必要とは限りません。弱くても、親しみのあるリーダーの方が、あるチームにとっては良いこともあるでしょう。ただし、努力なしにリーダーになれるわけではありません。

オーセンティック・リーダーシップに必要な能力は、第一に自分を知ること、第二に自分の思想を実行する行動力があることです。詳しく見ていきましょう。

自己認識能力

自己認識能力とは、自分がどのような人間か、どのようなことを実現したいかの、どのような欠点を持っているかなどを知る力です。人は意外と自分の価値観や、その欠点について、気づかないものです。

自分を知る方法の一つとして、自分史(自分の来歴や価値観が形成された課程など)の振り返りがあります。多くの偉大なリーダーは、自分がどのような人生を歩み、どのような価値観を形成してきたかを振り返ることで、社会で成すべきことを理解し、夢や目標、そして行動力を手に入れてきました。

ここでの自分史は「輝かしい経歴を披露する」ことではありません。自分の人生における困難や努力、幸福にどのような意味付けをするか、どのようなストーリーを描くかが重要なのです。

価値観を体現する行動力

自分の価値観を認識しても、行動に移らなければ意味がありません。特にリーダーの場合は、行動力が求められます。自分のビジョンを共有し、仲間とともに追い求めるには、まず自分が行動することが必要となるからです。

内から出てくるやる気に注目する

リーダーには、誰よりも高いモチベーションが必要です。リーダーのやる気がなければ、他の人もやる気がなくなってしまうでしょう。仲間の高いやる気を維持するためには、利益や報酬だけではなく、自分の内側から出てくるやる気が必要になります。

権限を与えて周りをリーダーにする

オーセンティック・リーダーシップに求められるのは、自分が全ての権限を持って決定するのではなく、周りの人々に権限を与え、周りが自分らしいリーダーシップを発揮できるための環境づくりです。情報社会においては、さまざまな権限を周りに与えて、自主的に情報を処理し行動してもらう方が、成果は上がりやすいでしょう。

3. オーセンティック・リーダーシップのメリット

オーセンティック・リーダーシップのメリットは、これまでの強い「リーダー」像に惑わされて自分を失うことなく、適切なリーダーシップが発揮できる点です。リーダーが自分らしくあることこそが情報社会において成果を出すための近道、というのがオーセンティック・リーダーシップの基本的な考え方。この機会に、一度リーダーシップについて見直してみてはいかがでしょうか。

<参考>
・「オーセンティック・リーダーシップ」 (ハーバード・ビジネス・レビュー [EIシリーズ])
著者: ハーバード・ビジネス・レビュー編集部/ダイヤモンド社
・「【新版】グロービスMBAリーダーシップ」
著者: グロービス経営大学院/ダイヤモンド社
・「リーダーシップの哲学―12人の経営者に学ぶリーダーの育ち方」
著者: 一條 和生/東洋経済

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