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【ヨミ】エンパワーメント エンパワーメント

エンパワーメント(Empowerment)とは、組織の構成員一人ひとりが「力をつける」という意味。企業経営においては、組織としてのパフォーマンスを最大化するために、現場に権限を与え、従業員の自主的・自律的な行動を引き出す支援活動を指します。
(2008/12/15掲載)

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エンパワーメントのケーススタディ

理念の共有でマニュアルレスを実現
現場の意欲と創意工夫が顧客満足を高める

旧来のピラミッド型の組織構造では、ヒエラルキー(階層)の中を情報が伝わるのに時間がかかってしまい、情報そのものの質や価値も劣化しがちです。組織や事業の規模が拡大するにつれて、管理上の情報処理量は増えていきます。現場からトップマネジメントへ、いちいちヒエラルキーをさかのぼって意思決定を仰がなければならないような体制では、とても競争優位は保てません。たえず膨大な量の顧客ニーズに接し、迅速かつ的確な対応を求められるサービス業や接客業の現場で、いわゆる「マニュアル」が重要視されるのはこのためです。

とりわけ急速に店舗網を広げた外食チェーンやファストフード業界では、現場を支えるパートやアルバイトを事細かなマニュアルで管理することによって業務効率を高め、全国一律のサービス水準を維持しています。ところが最近はマニュアルでがんじがらめにするのではなく、エンパワーメントを高めることによって従業員のモチベーションや自主的な創意工夫を引き出し、成果をあげている企業が増えてきました。顧客ニーズがさらに高度化・多様化する中で、低価格やスピードだけではなく、画一的なサービスでは対応できない、より高い満足感を提供することが求められるようになってきたからです。

世界各国で1万店以上のチェーンを展開する「スターバックスコーヒー」は、そうしたエンパワーメントの先進事例として最も注目される企業のひとつでしょう。同社の業務の80%はマニュアルレスで進められます。あえてマニュアルを設けず、現場のパートナー(スターバックスではすべての従業員をこう呼ぶ)の判断に店舗運営をゆだねることで、顧客の多様性やビジネス環境の変化に対応する柔軟な組織をつくりあげているのです。

エンパワーメントは単に「権限委譲」と訳されることもありますが、ただ闇雲に個人の裁量権を拡大するだけでは現場の混乱や顧客の不満を招きかねません。スターバックスでは、教育プログラムや支援体制を整えると同時に、創業者ハワード・シュルツ氏が示した「ミッション宣言」を現場の一人ひとりにまで深く浸透させることで自律型の人材マネジメントを確立しています。エンパワーメントを機能させるためには、企業の基本理念や行動規範など現場判断の前提となるべき指針を、非正社員も含めて組織全体で共有することが重要です。

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