【ヨミ】トクテイモクテキコウイ 特定目的行為

「特定目的行為」とは、労働者派遣契約の締結に際して、派遣先企業が派遣労働者を特定することを目的とする行為のことで、労働者派遣法26条7項により禁止されている違反行為です。具体的には、労働者派遣に先立つ事前面接や履歴書の送付要求、性別や年齢による派遣労働者の限定などが、これに含まれます。派遣法が特定目的行為を禁じる理由は、派遣先には派遣社員の採用を判断する権限がなく、これを認めると派遣先による派遣社員選別という雇用行為につながりかねないためです。
(2016/1/29掲載)

特定目的行為のケーススタディ

派遣先による派遣社員選別は法律違反だが……
罰則なしで実質的な“事前面接”も野放しに

労働者派遣法は26条第7項において、「労働者派遣(紹介予定派遣を除く)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない」と規定し、派遣労働者の「特定目的行為」を禁じています。条文の「労働者派遣(紹介予定派遣を除く)の役務の提供を受けようとする者」とは、派遣先企業のこと。派遣労働において、労働者と雇用契約を結ぶのは派遣元の派遣会社であり、派遣先企業に派遣社員を選別する権限はありません。「特定目的行為」が禁止されているのは、それが派遣先による派遣社員選別という雇用行為にあたるためです。

特定目的行為とは「特定を目的とする行為」を指し、実際のところ、その範囲は幅広く、かつ曖昧です。事前面接や派遣社員の指名といった特定行為そのものにかぎらず、派遣先への事前訪問、履歴書やスキルシートの送付を要望すること(特定準備行為)、「なるべく若い人を」「女性に限る」などと派遣社員を性別や年齢で限定するような要望を示すこと、などが該当します。これら以外にも、派遣労働者を特定しているとみなされる行為全般が禁止され、解釈として広く法の網をかけるかたちになっています。

ただし条文をよく見ると、こうした行為を「してはならない」とは書かれていません。「しないように努めなければならない」――すなわち努力義務を課しているにすぎないのです。派遣先企業が特定目的行為を行っても、法的に処罰されることはありません。また派遣法も、労働者と派遣先が契約前に接触すること自体を全面的に禁止しているわけではなく、選考・選別のための「面接」という形でなければ、直接会うことは可能です。そのため、実際には「面接」と呼ばず、「面談」「顔合わせ」「打ち合わせ」などと称して、実質的な面接が行われているのが通例です。「あの人なら来てほしい」「あの人ではダメ」などと、派遣先による派遣社員の選別が当たり前のように行われており、現状、特定目的行為は野放し状態だと指摘されています。

なお、特定目的行為の規制が努力義務にとどまっている背景には、派遣法26条7項を立法化する際、「特定目的行為によって派遣先と派遣社員との間のミスマッチを防ぐことができ、双方にとって有益である」などの反対意見が出て、一定の支持を得た経緯があります。財界には、派遣法改正のたびに、事前面接解禁を求める声が少なくありません。

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