選択的週休三日制
選択的週休三日制とは?
「選択的週休三日制」とは、希望者が週に三日間休むことができる働き方のこと。多様な働き方を実現するため、2021年4月には自由民主党の一億総活躍推進本部が提言を取りまとめました。選択的週休三日制が導入されれば、育児・介護、治療、学業、ボランティア、兼業・複業など、さまざまな事情を抱える人々にとって仕事との両立がしやすくなり、企業は人材の確保をしやすくなります。導入にあたって法改正は必要なく、所属企業が労使の合意を得て制度を導入すれば利用できるようになります。
選択的週休三日制の議論が進む背景は?
すでに導入している企業も
日本では1990年代から段階的に土曜が休日になり、現在では多くの企業が週休二日制度もしくは完全週休二日制度を設けています。また、労働基準法の改正で時間外労働の上限規制が導入されるなど、かつての長時間労働国から、徐々に労働環境が改善されています。
経済協力開発機構(OECD)の調査によれば、2019年における日本の年間労働時間は1644時間でした。1位のメキシコ(2137時間)や2位のコスタリカ(2,060時間)、3位の韓国(1967時間)と比べて、短い労働時間になっているにもかかわらず、なぜ今、選択的週休三日制が必要なのでしょうか。
背景の一つには、労働力の縮小という問題があります。日本の生産年齢人口は1995年以降減少の一途をたどり、2030年には7000万人を下回る見込みとなっています。従来の男性に標準化された労働環境のままでは、労働者の確保が難しくなり、女性やシニア、外国人などのさまざまな属性の人を職場に呼び込むためには、多様な労働環境の整備が必要です。
とくにITなどの分野で高度技術を持つ人材が不足しており、大学院などで新たな知識を得て社会に還元する、学び直しの促進も想定しているといいます。今回の選択的週休三日制は単に「休みを増やす」ことが目的ではなく、「生産性を高める」ことが目的と考えられます。
いくつかの企業ではすでに導入が進んでいます。ファーストリテイリング、みずほフィナンシャルグループ、ヤフーなどでは、選択的週休三日制を用意しています(雇用形態や勤務地により制限あり)。このうち、みずほフィナンシャルグループでは週休四日制も選択することができます。給与形態も企業によってさまざまで、週休三日を選択した場合は給与が通常の約8割となるケース、一日あたりの労働時間を増やすことで週休二日制と同じ給与を維持するケースなどがあります。自社で導入を検討する際には従業員の働き方や要望を踏まえて、制度条件を策定する必要があるでしょう。
・関連キーワード
週休三日制
・参考
労働時間調査(OECD)
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