少子化、産業構造の変化――
「人の価値」がより高くなる時代
人材サービスこそが高付加価値を生むビジネスになる
ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス株式会社 代表取締役社長
渡部 昭彦さん
社長就任後、まず取り組んだ持株会社化とグローバル対応
そして楽天グループを経て、2007年からヒューマン・アソシエイツ・グループの社長を務めていらっしゃいます。
ヒューマン・アソシエイツは、1996年に初代社長の安藤が立ち上げた人材紹介会社です。安藤はもともとデニーズの出身ということもあり、同じセブン&アイ・グループのセブン‐イレブンとは取り引きがありました。私がセブン‐イレブンで採用を担当していた頃から、クライアントと人材紹介会社という関係でおつきあいしていたんです。安藤が年齢的なこともあってそろそろ引退しようと考えるようになり、「ヒューマン・アソシエイツを引き継いでくれないか」と私に直接声をかけてくれたのがきっかけです。
ただ、その話があった時は、ちょうど楽天グループに移ったばかりのタイミングだったので、ヒューマン・アソシエイツには結局、2年ほど待ってもらうことになりました。楽天グループでは、証券会社の常務取締役やCFO、本体の執行役員などを歴任しましたが、その中には人事をはじめとする管理部門の統括の仕事も含まれていました。結果的に採用や人事関係のキャリアが最も長くなっていましたし、これからは経営の仕事も面白そうだと考え、決断しました。
それまでは企業内の人事を担当してこられて、ヒューマン・アソシエイツでは人材紹介。ビジネスの形態が変わることについてはどうお考えでしたか。
銀行の人事部では、人事異動などの仕事も担当しました。行員の経歴、能力、性格などを総合的に判断して、どの部署、どの仕事に向いているのかを考える。いわゆるマッチングです。人材紹介は、それを社内ではなく外部労働市場で行う仕事。そう考えると大きな違いはないし、話をもらった時から興味を持っていました。実際に担当してみると、採用する立場の考え方もわかるし、業態の違いによる戸惑いのようなものは、まったくありませんでした。
社長就任後、最初に取り組まれたことは何ですか。
一つ目は「持ち株会社化」です。ヒューマン・アソシエイツ・グループには「人材紹介」とメンタルヘルスケアを手がける「EAP」の二つの事業がありますが、当時は人材紹介のヒューマンアソシエイツが親会社で、その下にEAPのヒューマンフロンティアが子会社としてあるという関係になっていました。そのような中、EAPは急速に伸びていて、いつまでも子会社のままにしておくのはどうか、という考えがありました。また、将来的にM&Aを行って事業を拡張する際にも、持ち株会社のほうが受け皿として適しています。実は、ちょうど私がセブン‐イレブンにいた時にセブン&アイ・ホールディングスという持ち株会社ができ、それを現場で見ていました。規模こそ違いますが、その時の経験も生きたかもしれません。
二つ目は「グローバル対応」です。人材紹介事業の中からAIMSインターナショナルジャパンを切り出して、別会社にしました。AIMSは、世界50ヵ国で展開しているフランチャイズ型のグローバル人材チェーン。大手企業の社長や役員クラスといったエグゼクティブをリテーナースタイル(専属契約)で紹介します。資本はわれわれが持ちますが、世界中のネットワークを使って、人材や案件を紹介し合うことができるのがメリットです。また、昨年、オプティア・パートナーズのM&Aも行いました。この会社はトップも社員も全員外国人で、顧客も外資系企業のみ。紹介するのは、主に日本人を含むグローバル人材です。
就任10年目を迎えられた現在、ヒューマン・アソシエイツ・グループはどのような組織構成になっているのでしょうか。
持ち株会社のヒューマン・アソシエイツ・ホールディングスの下に、4社の事業会社があります。内訳は、人材紹介事業のAIMSインターナショナルジャパン、A・ヒューマン、オプティア・パートナーズの3社、EAP事業のヒューマン・フロンティア。グループ全体で正社員120人、契約社員80人というのがおおよその陣容です。
日本を代表するHRソリューション業界の経営者に、企業理念、現在の取り組みや業界で働く後輩へのメッセージについてインタビューしました。