企業にとって最も大切なものは理念とビジョン
経営者として「キャリア開発があたりまえの世の中」を実現する
アデコ株式会社 代表取締役社長
川崎健一郎さん
丁寧に人財と向き合う
これからの人材サービス業界について、どのような展望をお持ちでしょうか。
今後も企業がすべての働き手を正社員化していくとは考えられません。なぜなら世の中の不確実性が高まっていて、どんな製品やサービスが発展し続けるのか、正確に予測することはもはや誰にもできないからです。そういった状況下で一律に正社員化を進めることは、かなり勇気の要る経営判断です。そのため、外部の人材サービス会社を有効に活用することで人材をフレキシブルに対応させるスタイルの経営は、今後も求められるはずです。その意味で、人材サービスの未来は非常に大きな可能性を秘めていると思います。
ただ、人材サービス業界自体は、これまで以上にキャリア開発に力を入れていくことが間違いなく求められます。少子高齢化で労働人口が減少し、今後はAIやロボットの活用による生産性向上がさらに進むでしょう。そうなった時代に対応できる働き手を、私たち人材サービス業界は自ら育てていかなくてはなりません。今後、未来に起こりうることを常に予見し、働く人たちに対して的確な道を提示し、同時に本人の志向や条件も最大限考慮しながら、必要なトレーニングを行い、それぞれの働き手が豊かな人生を歩めるように導いていく。最終的には、キャリアをセルフマネジメントできる人材を生み出すこと。それがキャリア開発の役割です。当然、これは業界全体、世の中全体でやるべきことでもあり、アデコは先駆的な取り組みで業界をリードする存在になりたいと考えています。
キャリア開発の結果、やりがいを持って働ける人が増えれば、産業界や国全体が活性化して人々の幸福につながります。今まさに政府が掲げているようなGDP600兆円の世界はそういった取り組みの先に実現していくものではないでしょうか。メーカーが「モノをつくる会社」なら、私たち人材サービス会社は「人とキャリアをつくる会社」です。その意味では人財に対して最も向き合っていかなくてはならない業界だと考えています。
人材サービス業界で働く方々にメッセージをお願いいたします。
私たちのサービスや仕事は、その多くが人々の「人生の転機」にかかわっています。派遣で働く人にせよ、転職を考えている人にせよ、この業界の仕事は、そういった方々の人生を預かっているといっても過言ではないくらい、崇高なサービス、業界であると私は思っています。
だからこそ、人が働くことに対して真剣に向き合わなくてはならないし、どの業界よりもプロフェッショナルであるべきなのです。人々の人生を預かるのは重みがあることですが、その重み、責任があるということを「やりがい」ととらえて、この業界、ひいてはわが国の発展に貢献していきたい。そこに働く大きな喜びのある業界ではないでしょうか。
社名 | アデコ株式会社 |
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本社所在地 | 東京都港区南青山1-15-9 第45興和ビル |
事業内容 | 人材派遣(一般派遣・特定派遣)、紹介予定派遣、人材紹介、アウトソーシング、人事支援サービス |
設立 | 1985年7月29日 |
日本を代表するHRソリューション業界の経営者に、企業理念、現在の取り組みや業界で働く後輩へのメッセージについてインタビューしました。