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職場のモヤモヤ解決図鑑 掲載日:2024/12/27

職場のモヤモヤ解決図鑑【第92回】
八方ふさがりを抜け出したい!
管理職に必要なメタ認知[前編を読む]

職場のモヤモヤ解決図鑑

自分のことだけ集中したくても、そうはいかないのが社会人。昔思い描いていた理想の社会人像より、ずいぶんあくせくしてない? 働き方や人間関係に悩む皆さまに、問題解決のヒントをお送りします!

漫画
山下 健悟(やました けんご)
山下 健悟(やました けんご)
関東圏のメーカー課長職45歳。20人ほど部下がいる。部下がもっと働きやすく、活躍できるチームを目指し、試行錯誤の日々。

業務を抱え込んでしまっている山下さん。部下から指摘されたことで、さらに落ち込んでいるようです。仕事は終わらない、部下の育成もままならない。八方ふさがりと思える状況から抜け出すには、「メタ認知」というキーワードが鍵になります。

業務効率化のための自己理解

自己理解とは、自分の性格や価値観、考え方などを知り、受け止めること。自己理解には、他者からどのように見られているかを理解する「公共の自己理解」と、自分の感情を理解する「私的自己理解」があります。

自身の好き嫌いや思考のクセなどを理解しておくことで、部下との関係構築をスムーズに行うことが可能です。また、自分の感情のコントロールにも役立ちます。

自己理解を深めることは、自分が変化するきっかけになります。たとえば、「業務負担が一定ラインをこえると、感情的になりやすい」という自己理解があれば、「業務負担が超えないようにどうすればいいか」を考えるきっかけを得られます。自己理解で自分自身を客観的に見ることで、徐々に自分の行動や感情に変化が生まれるのです。

自己理解のためのメタ認知

自己理解のためには、メタ認知が重要です。メタ認知とは、自分が物事を認知している状態を、客観的に認知している状態をいいます。イメージとしては、自分の中にもう一人の自分がいて、考えや発言、行動などを客観的に見ている状態です。メタ認知能力が高い人は、自身の思考や行動を的確に把握できます。

メタ認知が得意な人と不得意な人の違い

メタ認知が得意な人は、冷静に判断しながら業務を遂行できます。逆に、不得意な人は感情に左右されやすく、仕事のモチベーションに影響が出てしまいます。以下に、管理職の仕事で発生する違いを見てみましょう。

部下とのかかわり方

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メタ認知が苦手な「A課長」

A課長の部下への指示は、一方的に話すだけです。部下と自分の関係性や、力量などに配慮せず「とにかくよろしく!」と仕事を回してしまいます。ある日、新人のCさんが指示された仕事をうまく進められず、進行が大幅に遅れてしまいました。
A課長は、「なんでこんな簡単なことができないんだ!」と叱責するだけ。Cさんは、具体的な手順がわからず、叱られたことでさらに混乱してしまいます。A課長はCさんを「仕事ができない新人」と考え、CさんはA課長に強い苦手意識を持つようになってしまいました。

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メタ認知が得意な「B課長」

B課長は、部下の様子にいつも目を配っています。ある日、新しいプロジェクトを任された部下のEさんが、不安そうな顔でパソコンに向かっているのに気づきました。B課長は、「何か私の指示でわかりにくいところがあった?」と尋ねました。
Eさんにとって、未経験の業務も含まれており、進め方など判断しかねる部分があるとのこと。B課長は、具体的な事例をもとに再度説明しました。結果として、Eさんの自信がつき、モチベーションの高い状態でプロジェクトに取り組めました。

メタ認知が得意な人は、物事の本質をとらえられます。部下の仕事がうまくいっていなければ、何が問題となっているのかを考え、適切な対処ができます。メタ認知が不得意だと、A課長のように表面的な部分しか認識できず、物事の本質を無視してしまいます。

他部署の管理職とのかかわり方

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メタ認知が苦手な「A課長」

A課長は、とあるプロジェクトで経理部の課長と連携する必要がありました。しかし、A課長は「このプロジェクトは自分の部の主導だ」と考え、経理部課長の提案をほとんど無視しました。結果として、経理部の視点が反映されず、予算計画に問題が発生。プロジェクトの進行が遅れてしまいました。後から「なぜもっと早く調整しなかったのか」と上層部から指摘されても、自分のやり方を変えようとはしませんでした。

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メタ認知が得意な「B課長」

B課長は、新規のサービスを立ち上げるために、営業部の課長と共同で進める必要がありました。B課長は、「自分の視点が偏っていないか確認したい」と営業部課長に話し、意見交換を積極的に実施。B課長は企画部で長年活躍した経験を持ちますが、営業経験はほぼありません。営業部門の意見も必要だと考え、「こちらの進め方で問題がないか教えてください」とフィードバックを求め、調整を行いました。その結果、営業部と企画部の両方の強みを生かしたサービスが完成し、成功を収めました。

メタ認知が得意な人は、自分の弱み・強みをわかっています。自分の得意分野を生かしつつ、何が不足しているのかを認識しているため、仕事で他者の協力を仰げます。

どうすればメタ認知ができるようになるのか

メタ認知は、鍛えられる能力です。セルフモニタリングやフリーライティングなど、自分を客観的に見ることで、メタ認知を高めることができます。

セルフモニタリング

セルフモニタリングとは、自分の行動を客観的、俯瞰(ふかん)的に見るくせをつけることです。人間は自分の短所や欠点に対しては、目をそむけてしまいがち。「自分は〇〇だから〇〇なんだ」という、心理的な防衛本能からゆがんだ認知を持ってしまうことも少なくありません。

職場で発生したトラブルなどを振り返り、「なぜ自分はこのように発言したのか」「なぜこのように思ったのか」など、状況を分析します。そして、次に同じような状況になったとき、どうすればいいのかという行動指針を考えます。これを繰り返すことで、自分を客観視するモニタリング能力が高まります。

フリーライティング

フリーライティングとは、自分の悩み、考え、不安など思考を紙に書き出すことです。フリーライティングでは、手を止めずに10分〜20分ほど、頭の中にあるものを吐き出すイメージで書くのがポイントです。自分が考えていることを可視化でき、内面を把握することにつながります。

チームマネジメントとの関係性

チームをマネジメントするには、管理職が業務スキルを高めることだけが有効な方法ではありません。自己の状態を把握し、部下やチームといった他者との関わりを客観的に見ることも、チームマネジメントに欠かせない要素です。メタ認知能力を高めることで、課題解決の糸口を見つけられます。これまで当たり前だと思っていた自身の思考やマネジメント方法を、見直すきっかけにもなるでしょう。

【まとめ】

  • 自己理解とは、自分の性格や価値観、考え方などを知り、受け止めること
  • 自己理解には、もう一人の自分の視点から客観的に物事の認知を把握する「メタ認知」が役立つ
  • メタ認知能力を高めることで、自身の思考のくせや感情、行動を知り、改善につなげられる

メタ認知か……なるほど、いまの僕に必要なのはこれかもしれない。先週も部下のあんなことやこんなミスに気づかずに大変なことになったし……

仕事が詰まってくると、ネガティブになるのは山下くんの昔からのクセだね

人と話すのもメタ認知につながる……! ちょっと頑張ってみるか~

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「人事辞典「HRペディア」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

職場のモヤモヤ解決図鑑【第91回】 忙しすぎる管理職。部下への権限移譲をどうする?
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この記事ジャンル 業務改善

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