労使および専門家の計485人に聞く
2025年賃上げの見通し
~定昇込みで4.60%と予測、24年実績より下回るも高水準を維持~
労務行政研究所
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民間調査機関の労務行政研究所(理事長:猪股 宏)では、1974年から毎年、来る賃金交渉の動向を把握するための参考資料として、労・使の当事者および労働経済分野の専門家を対象に、「賃上げ等に関するアンケート調査」を実施しています。
このほど、2025年の調査結果がまとまりましたので紹介いたします。
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2025年の賃上げ見通し(東証プライム上場クラス)
全回答者485人の平均で「1万5057円・4.60%」(定期昇給分を含む)となった。賃上げ率は24年実績より下回るも高水準の予測。労使別に見た平均値は、労働側1万5384円・4.70%、経営側1万4856円・4.54%で、労働側が経営側を528円・0.16ポイント上回る[図表1])。 -
自社における2025年定昇・ベアの実施
25年の定期昇給(定昇)については、労使とも「実施すべき」「実施する予定」が約9割と大半を 占める。ベースアップ(ベア)について、労働側は「実施すべき」が94.0%で大半を占め、経営側は 「実施する予定」が55.2%で、「実施しない予定」の14.7%を大きく上回る[図表2]。
1.2025年の賃上げ見通し(東証プライム上場クラス)
- 賃上げ額・率は東証プライム上場クラスの一般的な水準を目安に回答いただいたもので、定期昇給込みのものである
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賃上げ額・率を回答する際の目安として、調査票上に以下のデータを示している
①厚生労働省調査による主要企業の24年賃上げ実績は1万7415円・5.33%
②上記から推測される大企業の賃上げ前ベースは32万6724円程度
③定期昇給のみの場合は1.8%(5890円)程度
実際の賃上げ見通し[図表1]
25年の賃上げ見通しは、全回答者の平均で1万5057円・4.60%となった[図表1]。厚生労働省調査における主要企業の24年賃上げ実績(1万7415円・5.33%)から2358円・0.73ポイント下回るものの、高水準を維持する見通しである(<調査結果のポイント>参照)。
賃上げ率の分布を見ると、労働側は「5.0~5.1%」が29.8%で最も多く、「3.0~3.4%」が
12.1%で続く。経営側は「5.0~5.1%」が35.3%で最も多く、次いで「4.0~4.1%」が12.1%である。
労使別の額・率の平均は、労働側が1万5384円・4.70%、経営側が1万4856円・4.54%と
なっており、労働側が経営側を528円・0.16ポイント上回っている。
2.自社における2025年定昇・ベアの実施
定昇の実施[図表2]
労働側と経営側の回答者に対し、自社における25年の賃金制度上の定期昇給(定昇。賃金カーブ維持分を含む)およびベースアップ(ベア。賃金改善分を含む)の実施意向・検討状況を尋ねた[図表2]。なお、労働側・経営側の回答者は、それぞれ異なる企業に属しているケースが多い点に留意いただきたい。
定昇については、労働側で90.2%が「実施すべき」、経営側で92.2%が「実施する予定」と回答し、労使とも大半が実施に前向きな意向を示している。
ベアの実施[図表2~3]
ベアに関して、労働側では「実施すべき」が94.0%で大半を占めた[図表2]。経営側では「実施する予定」が55.2%と約半数を占め、「実施しない予定」(14.7%)を大きく上回っている。
[図表3]には、各年におけるベアを「実施すべき」(労働側)、「実施する予定」(経営側)との回答割合の推移を示している。
経営側では、ベアを「実施する予定」の割合が15~19年は“20~30%台”で推移していたが、20年に16.9%と2割を下回り、21年は4.8%とさらに低下した。22年に17.0%と若干上昇した後、23年は41.6%と大幅に上昇。24・25年も上昇を続け、25年は55.2%と半数を超えて過去10年で最高となった。
なお、20年調査から経営側の設問項目に「検討中」を追加しており、19年以前とは回答傾向が異なる可能性があるため、比較の際は留意いただきたい。
ベアの24年の実績と25年の予定(経営側)[図表4]
経営側について、自社におけるベアの“24年の実績”と“25年の予定”を示したのが[図表4]で
ある。24年の実績は、「実施した」が79.3%と、「実施しなかった」の17.2%を大幅に上回っている。
24年の実績と25年の予定を併せて見ると、両年とも“実施”が53.4%で最も多く、両年とも“実
施しない”は9.5%にとどまっている。
3.25年春季交渉で課題・焦点となる人事施策
交渉で話し合う予定の人事施策[図表5]
賃上げ以外で25年春季交渉において課題・焦点になると思われる人事施策7項目を挙げ、それぞれについて交渉で話し合う予定があるかを労働側・経営側に尋ねた[図表5]。
「話し合う予定」の割合を見ると、労働側では「②人材の採用・確保」が47.3%で最も多く、「①時間外労働の削減・抑制」が30.0%、「⑥福利厚生の見直し」が29.3%で続いている。一方、経営側では全項目において「話し合う予定」の割合が労働側より少ないものの、労働側と同様に「②人材の採用・確保」が31.5%と最多である。以降は、「①時間外労働の削減・抑制」が20.8%、「⑦育児・介護関連施策の導入・拡充」が20.0%と続いている。
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調査名
2024年12月2日~2025年1月16日 -
調査対象
7313人。内訳は下記のとおり
①労働側
東証プライムおよびスタンダード上場企業の労組委員長等1397人(労組がない企業は除く)
②経営側
全国証券市場の上場企業と、上場企業に匹敵する非上場企業の人事・労務担当部長等 4577人
③労働経済分野の専門家
主要報道機関の論説委員・解説委員、大学教授、労働経済関係の専門家、コンサルタントな ど1339人 -
回答者数および集計対象
労働側265人、経営側116人、専門家104人の合計485人。ただし、6ページの3.につい ては、労働側283人、経営側130人
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