40代・50代社員の課題と役割に関するアンケート
管理職・非管理職別に期待役割と実践度、活躍支援に向けた課題を調査(労務行政研究所)
3 非管理職に期待している役割と実践度
非管理職に期待している役割[図表9〜10]
(2)(10)が8割を超える。仕事に対する姿勢・行動に関する割合が高い
40代・50代の非管理職(ラインに就いていない一般社員)にも、会社が期待している役割として、以下の10の選択肢を提示し、自社の非管理職に対する役割として当てはまるかどうかを回答してもらった。なお、「ラインに就いていない一般社員」の定義は、「役職離任者や専門職にも該当せず、回答企業における標準的な管理職昇進年齢を超えて、ラインに就いていない一般社員」とした。
【非管理職に期待している役割の選択肢】
(1)後継のメンバーの成長を意識した指導・育成・提案を行う
(2)上位の方針に基づいて、課題を明確にし、自らの目標を設定して、その達成に向けて行動する
(3)組織内の多様なメンバーと信頼関係を築き、周囲を巻き込む
(4)社内外の関係者と適切にコミュニケーションを取り、人的ネットワークを構築し、維持・拡大する
(5)リーダーシップを発揮し、従来の方法にとらわれずに変革を推進する
(6)自部署と他部署が関係する横断的な課題・問題を把握し、対応策を立案する
(7)困難な場面でも、自分を律し、高いモチベーションを維持する
(8)さらなる価値創造を目指して、日々の仕事に創意工夫を凝らす
(9)自らの業務について、成果創出にこだわり、個人業績を高める
(10)日頃から専門知識・専門技術を向上させ、環境変化にも柔軟に対応する
非管理職に期待している役割(複数回答)としては、「(10)日頃から専門知識・専門技術を向上させ、環境変化にも柔軟に対応する」が86.7%と最も高く、次いで「(2)上位の方針に基づいて、課題を明確にし、自らの目標を設定して、その達成に向けて行動する」が81.6%と8割を超えた[図表9]。
なお、規模別に見ると、ほとんどの項目で1000人以上の企業が300人未満の企業の割合を上回っている(下回ったのは、「(1)後継のメンバーの成長を意識した指導・育成・提案を行う」のみ)[図表10]。特に、「(8)さらなる価値創造を目指して、日々の仕事に創意工夫を凝らす」に関しては、1000人以上が83.3%で、300人未満の65.5%を約18ポイント上回っており、仕事に対する取り組み姿勢の差が見て取れる。
非管理職に期待している役割の実践度[図表11]
全体的に低調で、高い項目でも(2)(9)が4割台、(10)が3割にとどまる
管理職と同様に、非管理職に対しても、期待している役割に関する現状の実践度を尋ねている[図表11]。実践度が高い項目としては、「(2)上位の方針に基づいて、課題を明確にし、自らの目標を設定して、その達成に向けて行動する」が43.0%、次いで「(9)自らの業務について、成果創出にこだわり、個人業績を高める」が40.3%と4割に達したが、続く「(10)日頃から専門知識・専門技術を向上させ、環境変化にも柔軟に対応する」は30.1%にとどまっている。総じてどの項目でも実践度が低く、とりわけ「十分に実践できている」という回答はいずれも5%以下だった。
なお、前記の期待している役割で「(6)自部署と他部署が関係する横断的な課題・問題を把握し、対応策を立案する」は30.6%、「(5)リーダーシップを発揮し、従来の方法にとらわれずに変革を推進する」は28.6%だったが、その実践度は(6)が10.3%、(5)が7.1%と1割程度にとどまり、期待している役割が低調な項目は、実践度においても数値が低いことが分かった。
非管理職に期待している役割と実践度との対応関係[図表12]
(10)専門知識・技術を向上させ、環境変化にも柔軟に対応が最多(86.7%)だが、その実践度は2.17点と低|
非管理職についても、「期待している役割」と、その「実践度」を “ポイント化” したものをレーダーチャートにして、両者の対応関係を示した[図表12]。
実践度は、いずれの項目でも中央値の2.5点を下回る結果になった。特に、期待している役割として当てはまるが、実践度が弱い項目として、「(1)後継のメンバーの成長を意識した指導・育成・提案を行う」(期待している役割:64.3%、実践度:2.11点。以下同じ)、「(7)困難な場面でも、自分を律し、高いモチベーションを維持する」(76.5%、2.19点)、「(8)さらなる価値創造を目指して、日々の仕事に創意工夫を凝らす」(72.4%、2.09点)、「(10)日頃から専門知識・専門技術を向上させ、環境変化にも柔軟に対応する」(86.7%、2.17点)の四つが挙げられる。
中でも、「(10)日頃から専門知識・専門技術を向上させ、環境変化にも柔軟に対応する」に関しては、期待する役割として求めている企業の割合は最多(86.7%)にもかかわらず、その実践度は2.17点と中央値から0.33ポイント低いことが明らかになった。
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