2015年賃上げの見通し―労使および専門家504人アンケート
~定昇込みで昨年実績並みの2.2%と予測。
経営側の35.7%がベアを「実施する予定」~

民間調査機関の労務行政研究所(理事長:矢田敏雄)では、1974年から毎年、来る賃金交渉の動向を把握するための参考資料として、「賃上げに関するアンケート調査」を労・使の当事者および労働経済分野の専門家を対象に実施している。このほど、2015年の調査結果がまとまった。

※『労政時報』は1930年に創刊。80年の歴史を重ねた人事・労務全般を網羅した専門情報誌です。ここでは、同誌記事の一部抜粋を掲載しています。

【調査要領】

1. 調査時期:2014年12月8日〜2015年1月14日

2. 調査対象:被調査者6079人(内訳は下記のとおり)
◆労働側→東証第1部および2部上場企業の労動組合委員長等2135人(労働組合がない企業は除く
◆経営側→東証第1部および2部上場企業の人事・労務担当部長2250人
◆労働経済分野の専門家→主要報道機関の論説委員・解説委員、大学教授、労働経済関係の専門家、コンサルタントなど1694人

3. 回答者数および集計対象:1月14日までに回答のあった合計504人。対象別内訳は、労働側200人、経営側157人、労働経済分野の専門家147人

4. 集計要領・方法:賃上げ額・率は東証第1部・2部上場クラスの一般的な水準を目安に回答いただいたもので、定期昇給込みのものである。「賃上げ額」「賃上げ率」はそれぞれ別の項目として尋ね、具体的な数値の記入があったものをそのまま集計したため、両者の間には必ずしも関連性はない。

実際の賃上げ見通し

  • 全回答者の平均:6788円・2.18%で、昨14年実績と同水準との予測
  • 労使の見通し:労働側6867円・2.21%、経営側6507円・2.08%

額・率の見通し[図表1~2]

15年の賃上げ見通しを東証第1部・2部上場クラスの主要企業を目安とした世間相場の観点から回答いただいたところ、全回答者の平均で6788円・2.18%となった。厚生労働省調査における主要企業の昨14年賃上げ実績は6711円・2.19%であり、これと同水準との予測である。

労使別では、労働側6867円・2.21%、経営側6507円・2.08%となった。本アンケートにおける「実際の賃上げ見通し」は、ここ数年、労働側と経営側の平均値が極めて近接した水準で推移していた [図表2]。昨14年は企業業績の回復、政府の賃上げ要請などもあって社会的にも賃上げムードが高まる中、労使の見通しには開きが生じる結果となったが、15年はその差はやや縮小している。

賃上げ率の分布は[図表1]、労使とも「2.0〜2.1%」が3割弱で最も多く、2.0〜2.5%の範囲に、労働側では4割台、経営側では5割超が集中している。各種調査による大手企業の“定期昇給率”は平均で1.6〜1.8%程度とみられ、今回の調査の前提としては定昇率を「1.8%程度」と提示している。調査結果から、定昇にどれだけのベアを積むかが交渉の争点になるものとみられる。

【図表1】実際の賃上げの見通し(額・率)
【図表1】実際の賃上げの見通し(額・率)
【図表2】実際の賃上げ見通しに見る労使の差の推移
【図表2】実際の賃上げ見通しに見る労使の差の推移

留意点
「実際の賃上げ見通し」については、調査票上に以下のデータを提示し、それを目安として東証第1部・2部上場クラスの主要企業における15年の賃上げがどうなるか、世間相場の観点から回答いただいた。なお、賃上げ額・率は定期昇給込みのものである。

  • 厚生労働省調査による主要企業の昨14年賃上げ実績は6711円・2.19%
  • 上記から推測される大企業の賃上げ前基礎ベースは31万3000円程度
  • 定期昇給のみの場合は1.8%(5630円)程度
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【用語解説 人事辞典】
賃上げ促進税制
賃上げ