人材マネジメント実態調査2021
~コロナ禍で「ミドルマネジメント層の過重な負荷」が相対的に高まる~
次世代経営人材、新人・若手、中堅社員など人材開発の停滞に課題感
その結果、ミドルマネジメント層の負荷が高まり続けるバッドサイクルも
企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都品川区 代表取締役社長:山崎 淳 以下、当社)は、現在人事業務に携わっている管理職491名に対し、「人材マネジメント実態調査」を実施し、「現在の組織・人材マネジメント、人事評価、昇進・昇格に関する課題認識とコロナ禍による変化」「人材マネジメントの成果指標」など、調査結果から見える実態について公表しました。
<調査の背景>
中長期を見据えた組織・人材課題の認識およびその変化、それらを踏まえた「人事の役割」の認識に関する実態調査を、新型コロナウイルス感染症への対策が優先される社会情勢(以下、コロナ禍)に対応しながらの2度目の年度を控えた2021年2月に実施した。
<調査のポイント>
●組織・人材マネジメントの課題は「次世代経営人材の不足」「ミドルマネジメント層の過重な負荷」「新人・若手の立ち上がりの遅れ」「中堅社員の小粒化」。コロナ禍で「ミドルマネジメント層の過重な負担」が高まる
- 現在の課題認識としては選択率の多い順に、「1.次世代の経営を担う人材が育っていない」(55.2%)、「8.ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」(55.2%)、「2.新人・若手社員の立ち上がりが遅くなっている」(51.9%)、「3.中堅社員が小粒化している」(51.1%)の4項目が突出している。
- 上記4項目は、コロナ禍において課題感が高まっているとの認識も相対的に高い(それぞれ22.0%、26.1%、24.2%、17.5%)。特に、コロナ禍において「8.ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」(26.1%)という課題認識の高まりがうかがわれる。
- 上記の他に、コロナ禍での課題感の高まりが指摘されるものには、「15.テレワーク・在宅勤務に関する今後の方針が定まらない」(21.0%)、「9.職場の一体感が損なわれている」(20.6%)、「10.従業員にメンタルヘルス不調者が増えている」(18.7%)などがある。
●人事評価の課題は「人事評価制度への納得感」「評価基準のあいまいさ」。コロナ禍で「テレワーク下での部下の仕事ぶり評価の難しさ」が高まる
- 現在の課題認識としては選択率の多い順に、「1.人事評価制度への従業員の納得感が低い」(48.7%)、「2.評価基準があいまいである」(48.3%)、「6.テレワーク下での部下の仕事ぶりの評価が難しい」(46.0%)、「7.管理職によって取り組みや意識・スキルにばらつきがある」(40.3%)で、いずれも40%以上の選択率である。コロナ禍において課題感が高まったものとしては、「6.テレワーク下での部下の仕事ぶりの評価が難しい」が39.3%と突出している。
●昇進・昇格の課題は「昇進・昇格そのものの魅力」。その一方で、管理職の資質が厳しく問われるように
- 現在の課題認識としては選択率の多い順に、「6.昇進・昇格そのものに魅力を感じない者が増えている」(57.4%)、「1.昇進・昇格要件(基準)があいまいで納得性がない」(42.6%)、「7.現管理職の後に続く人材が枯渇してきている」(41.8%)、「8.管理職全体の質(レベル)が低下してきている」(41.8%)で、いずれも40%以上の選択率である。
- コロナ禍において最も課題感が高まったのは「6.昇進・昇格そのものに魅力を感じない者が増えている」で、25.9%の回答者がそのように考えている。
⇒コロナ禍の環境下でマネジメント層が苦労する場面が増えていることが、そのような課題認識を強めているのかもしれない。
●人材マネジメントの成果指標としては従業員満足度が突出
- 現在の人材マネジメントの成果指標については、「1.従業員満足度」(60.3%)が最も多く選ばれていた。何を成果指標と置くかは、自らの貢献領域の認識に通じるところでもあるが、約6割が人材マネジメントでの各施策を通じて従業員満足度の向上を実現したいと考えているようだ。「2.有給休暇取得率」(48.9%)、「3.時間外労働時間」(47.7%)、「4.総額人件費」(44.0%)、「5.従業員一人当たりの売上あるいは利益」(41.3%)がそれに続く。
- 今後について、「7.女性管理職比率」(31.4%)が「1.従業員満足度」(37.1%)に次いで多く選ばれていた。
●従業員を動機づけるために重要なものは、現在、5年後とも「仕事のやりがい」「高い給与」「多様な働き方の選択」は現在より10ポイント以上多い
- 従業員満足度の重視度合いが高まるなかで、どうやって従業員を動機づけたらいいのだろうか。それを考える1つの手がかりとして、従業員を動機づけるために重要なものを選んでもらった結果としては、現在については「1.仕事のやりがい」(58.0%)、「2.高い給与」(46.4%)が多く選択されている。
- 5年後についても、「1.仕事のやりがい」(48.7%)、「2.高い給与」(36.7%)が多いという傾向に変わりはないが、「8.多様な働き方の選択」(26.9%)は現在(15.1%)より10ポイント以上多く選択されている。
⇒コロナ禍でのテレワークの急拡大により、世の中的には多様な働き方の選択への関心は高まったかにみえたが、企業の多くは急場の対応となっていて、従業員の動機づけを高めるといった本来的な目的での多様な働き方については、今後の課題として捉えられているのかもしれない。
<調査概要>
調査目的:
コロナ祠における組織・人材マネジメント課題や人事の役割についての意識を明らかにすること
実施時期:2021年2月12~14日
調查对象:
会社勤務の正社員で、現在人事業務に携わっている人 491名
※役職は管理職以上
※「自社の人材マネジメントの全体像や短期・中長期の課題を把握している」と回答した人
※勤務先の従業員規模は 300 名以上 ※製造業・非製造業が均等になるようにデータを収集
調査方法:インターネット調査
調査内容:
現在の組織課題への認識とコロナ禍による変化、評価や配置・異動に関する制度の導入状況、人事の役割、 人材マネジメントの成果指標、従業員を動機づけるものなど
回答者の属性:
役職:管理職(課長相当) 55.2%/管理職(部長相当) 40.9%/役員3.9%
勤務先企業の従業員規模:300~499名13.8%/500~999名17.1%/1000~2999名20.0%/ 3000~4999名 11.6%/5000~9999名 12.8%/10000名以上 24.6%
管轄している人事領域:人事全般 27.3%/採用 36.0%/人材開発 43.2%/組織開発 32.8%/人事企画 21.4%/労務 10.6%(人事全般以外は複数回答)
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社リクルートマネジメントソリューションズ/8月2日発表・同社プレスリリースより転載)