働き方改革に取り組んでいる企業は昨年度から1割強増加し、今年度は49.3%~『働き方に関する調査』:NTTデータ経営研究所、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション
株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:川島 祐治、以下 当社)とNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:塚本 良江)が提供する「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に、「働き方に関する調査」を実施しました。本調査は、2015年より毎年「働き方改革」の取り組み状況を調査しています。
2019年の本調査では、まず働き方改革の取り組み状況とその効果について経年で概観し、続いて、2019年4月1日から施行された働き方改革関連法に関する従業員の意識を調査分析し、今後の働き方改革の方向性への考察を試みました。
【主な調査結果と考察】
(1)働き方改革の動向 ~2社に1社が取組み、中小企業においても3割が取り組む~
働き方改革に取り組む企業は、昨年度比で10ポイントを超えて増加し、本調査開始以来最大の増加割合となり、全体の49.3%となっている(38.9%→49.3%)。2019年4月1日からの働き方改革関連法(2018年6月29日成立)施行への対応に向け、企業が働き方改革に本腰を入れ始めた効果が現れている結果となっている。
従業員規模にかかわらず働き方改革に取り組む企業の割合は増加し、従業員1,000人以上の規模の企業では、74.5%の企業が働き方改革に取り組んでいる。従業員100人未満の規模の企業においては、昨年度と比べて12.8ポイント増加し、30%の企業が働き方改革に取り組んでいる結果となった。
働き方改革に取り組む企業の従業員は、取り組んでいない企業と比べて、働きやすさを感じている割合が3割弱高く、その差は昨年度比で1割弱拡大していることから、働き方改革の推進が働きやすさにつながっているといえ、採用力強化や従業員のリテンションには働き方改革の推進がより一層求められていると言及できる。
一方で、働き方改革に取り組んでいる企業の従業員が感じるプラスの変化として、「休暇の取りやすさ」は5.3ポイント増加(32%→37.3%)しているものの、「労働時間の減少」をはじめとしてプラスの変化を挙げる割合が昨年度比で減少している。特に、「生産性向上」をプラスの変化として挙げる割合は、昨年度比で7.5ポイント(18.5%→11%)減少する一方、マイナスの変化として「収入の減少」、「管理職の部下に対するマネジメントのしにくさ」に続いて「生産性の低下」を挙げる割合が昨年度比で増加している。
働き方改革の実施内容をみると、働き方改革に取り組んでいる企業の40%を超える従業員が「休暇取得の推進」、「働き方改革に対するトップのメッセージの発信」、「労働時間の削減目標の設定」は継続して行ってほしいと回答している。
働き方改革を推進していない企業は、上記3点を第一歩として始めることで、その効果が従業員に実感されやすく、より効果的な働き方改革の推進するためには、生産性向上への取り組みが求められている結果となった。
(2)つながらない権利 ~働き方改革の進展により、権利侵害(就業時間外の対応)も拡大の可能性~
上司や同僚から、就業時間外において業務に関して緊急性のない電話やメール(LINE等を含む)があり、通話・返信などを週1回以上対応している人は15%程度あるものの、その職場のうち6~7割程度が働き方改革を実施している結果となっている。働き方改革の推進でいつでもどこでも仕事ができる環境が、「つながらない権利」を侵害しているともいえる。
「できれば対応したくないが、対応するのはやむを得ない」と考えている人を含めて「連絡があれば対応する」人は約65%となっている。今後一層テレワークが促進されることを考えると、就業時間外の連絡には職場内の一定のルールが必要になってくるであろう。
(3)休暇に対する満足度 ~休暇に対する満足の要諦は、希望した日に休めるか否か~
半数近くの人が過去1年間の取得できた休暇日数・時間やその過ごし方に満足している。休暇の過ごし方に満足している人のうち約6割の人が「希望する日程で休暇が取得できた」ことをその理由として挙げている。
休暇の過ごし方に満足できなかった人のうち、満足できなかった理由として28.4%の人が「希望する日程で休暇が取得できなかった」ことを挙げている。加えて、13.6%の人は「休暇中も仕事の問い合わせがあり、休まらなかった」と回答している。従業員が満足できる休暇とするためには、従業員が希望する日程で休暇が取得できた上で、つながらない権利を行使できるルール作りが求められる結果となった。
(4)賃金と終身雇用制に対する意識 ~終身雇用制で働いていると感じる人が過半数~
受け取っている賃金の水準(月例給与の額)の1年前と比較して、66.8%の人が賃金水準はほとんど変わらないと回答し、賃金が上昇したと回答した人はわずか12.5%であった。上昇した人のうち、その理由として定期昇給が44.9%と最も多く、2割程度がベースアップや会社業績が良好で利益が従業員に還元されたと回答している。
本調査では正社員間での同一労働同一賃金についての調査を行ったところ、50%の人が同じ役割や責任を有する社員間での処遇(賃金水準や育成の仕組み等)の賃金の水準(月例給与の額)の差を感じていると回答し、差を感じていない人は30%程度であった。
経団連の中西会長の「終身雇用維持は企業にとってインセンティブがない」「これ以上の最低賃金の引き上げは企業がもたない」とする発言がある中で、本調査において自社の終身雇用制について問うてみたところ、5割以上の人が自身の会社の人事制度をはじめとした労働慣行が終身雇用制となっていると感じていた。
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(株式会社NTTデータ経営研究所 https://www.nttdata-strategy.com/index.html /7月5日発表・同社プレスリリースより転載)