若手の離職防ぐ リテンションマネジメント
売り手市場が続き、人材を確保するのが難しくなっている。そこで、社員の離職を防止し、より長く働いてもらうためのリテンション施策が必要になっている。
機械の開発・設計を手がけるタマディックは、新入社員の9割を希望部署に配置し、仕事への意欲を持たせている。新入社員の配属希望は、採用の選考過程で徹底的に聞き込むほか、入社後に開く各部門の説明会後にもう一度調査する。配属前には面談を行い、とくに希望がかなえられなかった1割の新卒社員には、その部署への配属理由や働きとして期待すること、部署の魅力を丁寧に説明する。採用対策として始めた施策だが、導入後、若手の離職率が低下したという。(リクルートワークス研究所より)
食品製造のカネテツデリカフーズは、先輩社員の背中を見て学ぶ方法が主流だった若手育成を変更。入社2、3年目の若手社員を指導員に指名し、新入社員にマンツーマンで技術を伝えるようにした。若手社員に「教える技術」を身につけさせ、忙しさに遠慮して先輩社員に話しかけられずにいた新入社員との会話を増やすことを目的としている。施策を導入したことで、50%前後だった入社後3年の離職率が10%に改善されている。(厚生労働省より)
リテンションについて研究する青山学院大学経営学部の山本寛教授は、若手社員を定着させるには、働きやすさや悩みを相談できる人間関係が重要であり、そのためのモラールサーベイとして、退職者面談が有効だと話す。企業には社員を辞めさせないという目的にとらわれ過ぎず、「より働きやすい会社をつくる」という気持ちを持って組織改革を進めることが求められそうだ。
(『日本の人事部』編集部)