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【ヨミ】リテンション リテンション

優秀な人材を自社に確保しておくための施策。コア人材や将来重要な戦力となる若手社員の社外流出を防止する人事戦略として、経営者や人事担当者に、その取り組みが重視されています。
(2007/10/22掲載)
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リテンションのケーススタディ

人材の流出防止には「非金銭的報酬」が重要
労働環境の整備と能力開発の支援策が不可欠

90年代後半、日本経済が低迷期に陥って以降、企業はリストラや早期退職など会社都合による非自発的な離職を促し、人員整理を行ってきました。しかし、現在は景気が復調傾向にあり雇用も安定してきました。以前6%近くあった失業率が3.8%まで低下するなど、それまで滞っていた企業の採用活動も、活発化してきています。

雇用の安定に伴い、自己の将来を見据えて、いまよりも優れた環境や待遇を求め、転職をする人が増加しています。多くの企業は、このような人材の流動化と団塊の世代の大量退職や少子高齢化などによる人材不足を懸念しており、今後も人材獲得競争は激しくなるでしょう。人材が流出すると、不足した社員の補填や育成コストが増えるほか、基幹業務が停滞したり、利益の損失にもつながります。また、企業機密や既存顧客、同僚や部下までも流出する可能性が高まります。企業にとって、これ以上人材を流出させないための防止策を講じることが、いま最も重要でしょう。とくにコア人材や優秀な若手社員を自社にとどまらせるには、“リテンション”が今後の経営戦略において必要となりそうです。

リテンションは「金銭的報酬」と「非金銭的報酬」に大別できます。
「金銭的報酬」は各人に応じた給与やインセンティブを保証し、ストックオプションなどを付与するものです。成果主義導入以後、人事査定は能力給や成果給、業務連帯型賞与、コンピテンシー評価などが主流となり、多くの成果を上げる優秀な社員は今まで以上に高報酬が得られるようになりました。しかし、仕事にゆとりがなくなったと感じる労働者が増加し、多くの企業は高報酬を約束しても人材流出に歯止めがかけられていないのが現状です。過大解釈された成果主義と単なる高報酬だけでは、リテンションとして効果的ではないと考えられます。

リテンションにおいて最も重要なのは、「非金銭的報酬」です。 転職する人材の多くは、いま以上の報酬を求めて転職しているとは限りません。むしろ、仕事のやりがいや専門的スキルが向上できる職場、充実した福利厚生、ワークライフバランスが実現されている環境など、各人が働く価値を見出せている企業を求めて転職を考えています。人材の社外流出を防止するには、離職要因を客観的に分析し、自社に適した施策を導入する必要があります。

具体的には、

  • 経営者との対話の機会を設け、会社の発展や社員の努力を分かち合い、経営理念や企業倫理を浸透させる
  • 在宅勤務やフレックスタイム制の導入など多様な雇用・勤務形態を取り入れ、ワークライフバランスの実現に注力する
  • 社員間で自由闊達な議論が展開され、濃密なコミュニケーションが図れる企業風土の整備
  • 5S(整理・清潔・整頓・清掃・しつけ)の徹底など、健全な労働環境の提供

などです。

さらに不可欠とされているのは、能力開発や専門的スキルの強化の支援策を講じているかということです。とくに上昇志向の強い優秀な人材を確保しておくためには、「社内公募制」や「社内FA制」、キャリアカウンセリング制度などを導入し、キャリアアップを全面的に支援する環境を整えることが有効です。つまり、企業は個人を尊重し、社員が働くことに喜びを感じられる組織風土を創り上げる必要があります。これらの施策を階層別に取り入れ、対象に応じて具体的かつ継続的に展開していくことが、社員の会社に対する帰属意識を高め、ひいては優秀な人材の確保につながります。

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