身体的な負荷軽減と生産性向上を実現。パワーアシストスーツの導入進む
歩行の支援や作業時の身体的負荷軽減を目的とした機器「パワーアシストスーツ」を導入する企業が増えている。
日本航空(JAL)グループで、手荷物や貨物搭降載作業などの「グランドハンドリング業務」を担う株式会社JALグランドサービスは、腰をサポートするパワーアシストスーツを羽田空港と成田空港に10着ずつ導入すると発表。作業員の身体的負荷の軽減と生産性の向上を目指している。今後は他の空港への展開や作業負担のさらなる軽減を目指して、メーカーとパワーアシストスーツの共同開発も視野に入れているという。
積水ハウス株式会社では、施工従事者向けに改良した上向き作業用のアシストスーツを共同開発。住宅施工現場に順次導入し、軒裏の取り付けや天井石膏ボードの設置といった姿勢が上向きになる作業の負荷を軽減して現場環境の改善につなげたい考え。
大和ハウス工業株式会社では、腰への負荷を最大4割低減できるパワーアシストスーツを、部材の集積やピッキング、梁(はり)の加工作業などを行う全国9箇所の工場に導入。腰痛などの体に関わるリスクの軽減など、工場作業者の労働環境改善を図っていくという。
日本能率協会総合研究所の調査によると、日本国内におけるパワーアシストスーツの導入数は、2018年度で推計2000台前後。2018年後半に価格を引き下げた新製品が主要メーカーから発表されており、今後は2020年度で4500台、2023年度で8000台と大きく伸びると予測している。
建設業をはじめとして、労働者の高齢化や人手不足が深刻な業界では、健康経営や安全衛生の観点からも、今後はさらにパワーアシストスーツを導入する企業が増えそうだ。
(『日本の人事部』編集部)